社内で2人とW不倫した妻。夫がとった驚きの「対処法」とは

女子SPA! / 2019年4月30日 15時46分

【ぼくたちの離婚 Vol.11 お気に召すまま #2】

 新聞記者の木島慶さん(仮名/38歳)は、大学時代に同じサークルで知り合った1つ下の後輩・典子さん(仮名/現在37歳)と在学中に交際をスタート。木島さん28歳、典子さん27歳の時に結婚した。木島さん曰く「状況に押し流される女」である典子さんは、自己主張せず、相手の求めには気持ちよく応える女性。そのため木島さんとはケンカひとつしたことがなかった。

 しかし、結婚して2年が経過した2010年秋。「私は不倫しています」というメッセージが木島さんの携帯に届く。

「いたずらだと思いました。昼間に典子から、携帯を落としちゃったと聞いていたので。当時典子はまだガラケーだったので指紋ロック機能はありませんから、拾った奴がたちの悪いいたずらをしてるんだろうなと」

◆真実は想像を絶する泥沼劇…

 ところが、いつもは遅くとも夜10時前には帰宅する典子さんが、終電の時間が過ぎても帰ってこない。

「結局帰ってきたのは午前2時前かな。今日はどうしたのと聞くと、ものの10分か15分ですべて白状しましたよ。他に付き合っている人が2人いる。そのうちのひとりが、もうひとり不倫相手がいることに逆上して典子から携帯を取り上げ、アドレス帳に入っている宛先に片っ端から暴露メールを出しまくったというんです。そのひとりが夫である僕だったと」

 妻が同時に2人の男と不倫。それだけでも尋常ではないのに、さらに驚くべき事実が判明する。

「不倫相手の2人をA夫、B夫としましょう。A夫、B夫は2人とも典子と同じ部署の先輩社員だというんです。暴露メールを送ってきたのがA夫で、A夫の奥さんは大手出版社の編集者。子供はいない。B夫には子供がいるんですけど、これまた驚くべきことに、B夫の奥さんは、典子・A夫・B夫と同じ部署。つまり不倫関係者5人中4人が、同じ部署の同僚なんです。笑うでしょ」

 にわかには信じがたい話だが、実は筆者はこの話を、その代理店の別の知り合いから数年前に聞いたことがあった。その代理店の営業部では、毎年新入社員に対して先輩社員が酒席で、「かつて部署内でひどい不倫騒動があったので、お前らは気をつけろ」と釘を刺されるのが恒例になっているというのだ。取材中にその話が目の前にいる木島さんのことであるとわかり、世界は狭いなと感じ入った次第である。

「A夫はなんというか、僕の理解の範囲外にいる人です。暴露メールなんかばらまいておおごとにしたら、自分の立場も危うくなるはずなのに。そういうことまで考えない。後で調べたら、彼は飯田橋のマンションに奥さんと暮らしているんですが、それ以外で芝公園に1LDKの部屋を自分用に持ってるんです。要は“ヤリ部屋”ですね。典子もそこに通っていたでしょうし、典子以外にも女がいたと思います」

◆なんと妻に「嘘のセクハラ告発」を指南

 典子さんの自白を受けた木島さんは、実に冷静な“対処”を指示する。

「僕は典子にこう言ったんですよ。僕と結婚を続けるのかどうかはさておき、社内不倫は絶対NGなんだから、もし既に会社の人にバレてしまってるんだとしたら、A夫とB夫に無理やり関係を迫られたというシナリオを作らなきゃだめだ。自分には一切非がないと、周囲の人たちに印象づけろ。

会社のセクハラ相談窓口に早急に話をして、職場の先輩に関係を迫られていると言うべきだ。変な噂が立っているけど、肉体関係はないと否定したうえで、あることないこと言われていて困っていると主張しろ。こういう時は女のほうが絶対有利なんだから。君が職場にいられなくなるのはまずい。相手のほうがいられなくなるよう仕向けなければいけない」

 少々面食らった。双方合意の不倫だと典子さんが自白しているにもかかわらず、木島さんは典子さんに「虚偽のセクハラ告発をしろ」と促しているのだ。それっていいんですか? と聞くと、木島さんは何が悪いのかという表情で平然と返してきた。

「当事者間の問題ですからね。本人さえ認めなきゃ、そんなの藪の中ですよ」

 正直、素直に飲み込めない理屈ではあったが、木島さんの話を聞いていてもっと不可解なことがあった。自白した典子さんに対する木島さんの感情が、ここまで一切説明されないのだ。その点を木島さんにぶつけると、その時は、感情をあらわにして責めたり理由を尋ねたりはしなかったという。配偶者からひどい浮気話を聞いて、怒りも悲しみもせず、淡々とTo Doだけを述べることなど、本当にできるのだろうか?

「その時点ではまだ典子との関係を疑っていなかったんです。これが夫婦の危機というものか、こういうこともあるだろう、水に流せばいいやと。鷹揚に構えていました」

 本当に? と聞き返すと、少し間を置いて木島さんはつぶやいた。

「怒りとか悲しみの感情を……もしかしたら先送っていたのかもしれませんね、僕は。自己防衛本能、として」

 木島さんはA夫、B夫それぞれと話をつけるべく、典子さんを介して2人を呼び出すことにした。深夜の自白の翌日、場所は芝公園のセレスティンホテルにA夫、溜池山王のインターコンチネンタルホテルにB夫。いずれもラウンジにて。典子さんも同席した。

「B夫は平謝りで、その場で土下座しました。A夫からは『お前の奥さんがこうなったのは、お前の責任でもある。でも俺も悪いから、今回は引き下がるよ』みたいなことを言われました」

 ところが、これで一件落着かと思いきや、典子さんはふたりの男と関係を切らなかった。

◆妻がはじめて反抗する

「不倫相手を呼び出した一件の数日後に、また典子が深夜に帰宅したんです。理由を問い詰めると、A夫と会って話していたと。話すことなんてあるの? と詰め寄っても、答えを避ける。そこではじめて、典子に対して不信感を抱きました。同時に僕は、A夫とB夫にはしかるべき罰を与えるべきだと考えるようになったんです」

 木島さんはA夫、B夫に賠償請求すべく、典子さんを窓口にして改めて話し合いの場を設けようとしたが、いくら言っても典子さんは動いてくれない。

「典子に対する不信感が最高潮に達した僕は、典子が寝てる時に彼女の携帯を盗み見したんです。脇が甘くてロックをかけてなかったんですよ。キャリアメールには何もなかったんですが、Gメールの送受信履歴を見たら、あんのじょうA夫、 B夫とやり取りしてた。『携帯メールだとバレちゃうからGメールで送るね』、ってご丁寧に」

 B夫はともかく、A夫とのやり取り内容はショッキングだった。

「セックス中の動画を撮られていて、ばらまいてやると言われてるんですよ。ただ、それだけ聞くと脅迫なんですが、なんだか典子も焦っていないというか、全体にA夫と典子がじゃれ合ってるようにも読めました。何月何日に俺んとこ来い、みたいな求めに、典子も嬉々として応じている。すごく腹が立ちました」

 木島さんは寝ている典子さんを起こし、典子さんの携帯を手にしたまま、今すぐA夫に関係性を終わらせるメールを出せと告げた。すると典子さんは、今までの7年間で見せたことのない、断固たる意思表示をしたという。明確かつ積極的に、木島さんの指示を拒否したのだ。

「どういうつもりなのと聞いたら、A夫と関係を続けるつもりはないけど、今は別れられないと言う。めちゃくちゃです。なので、僕が代わりに典子の携帯でA夫にメールを打とうとしたら、典子が地鳴りのような唸り声をあげて、猛然と僕の方に襲いかかってきました。そんな典子を見たのは、7年の付き合いではじめてです。僕から携帯を奪い取ろうとする力がものすごく強くて驚きました」

 結局その日はメールを送らずじまい。翌日以降、木島さんは悶々とする日々をすごす。やがて不眠に悩まされるようになった。

「急に心臓の鼓動が早くなったりするんです。それで精神科を受診して軽めの睡眠薬をもらったんですが、医者が言うんですよ。来週から週1でカウンセリングにかかりましょう。1年くらいかけてゆっくり治していきましょうね、って。キタコレと思いましたよ。話には聞いていましたが、薬漬けにして治療を引き延ばす常套手段です。それで僕は思いました。僕が治るのに必要なのは環境を変えることだと。それで離婚を決意しました。自己防衛本能、ですね」

◆友人が「そういうことになると思ってたよ」

 お気づきだろうか。木島さんは、「典子さんとの関係が修復不可能だったから」離婚を決意したのではなく、「自分のメンタルを守るために」離婚を決意した。どちらが正しいとか、どちらが誠実だとかいうことはない。しかし、ここは大事なポイントである。

「このままでは頭がおかしくなると思いました。実際、3人全員を殺そうかなとまで思い詰めたんです。最悪B夫は許してもいいけど、A夫と典子は殺したいな、とか」

 この話をしている時の木島さんの目には、当時の狂気が甦ったかのような凄みが宿っていた。しかし「殺しても何も解決しない」と踏みとどまった木島さんは、自分と典子さんの共通の友人である大学時代の友人男性に相談する。

「離婚しようと思うと伝えたら、大爆笑されました。そういうことになると思ってたよ、当時典子ちゃんは、木島以外に付き合ってた男がいっぱいいただろうから。典子ちゃんはモテたからね、と。若いんだし、すぐ別れたほうがいいよと言われました」

 木島さんはその足で区役所に離婚届を取りに行き、その彼を含む友人2人に署名をもらって典子さんに突きつけた。典子さんは同意し、木島さんの求めに応じてすぐに家を出ていった。その後木島さんは弁護士を立て、典子さん、A夫、B夫に慰謝料を請求。1年ほどかけて希望通りの額を勝ち取った。

「僕はまた結婚したいと思っていたので、再婚相手に見せられる証拠を残したかったんです。前の離婚で自分には一切責任がないという証拠を」

◆「理解してもらう努力を怠っていた」

 慰謝料係争中に、木島さんのもとに典子さんから手紙が届いた。

「便箋で2枚。こう書かれていました。『私は、あなたに自分のことを理解してもらおうという努力を怠っていました。どうせあなたは私を理解しないだろうと思って、諦めていました』と」

 木島さんは典子さんとの関係を、こう総括する。

「典子は、僕みたいなのはタイプじゃなかったんですよ。大学時代に付き合っていたとされる人のことを離婚後に人づてで聞いたんですが、才気走ってて自信満々で、ちょっといっちゃってる規格外の人。A夫のような人です。僕とはまったく違うタイプ。にもかかわらず僕の求めに応じて交際・結婚したのは、僕の押しが普通の人より強く、かつ彼女が普通の人よりずっと状況に押し流されるタイプだったからです」

 木島さんが典子さんの気質について再三繰り返している「多少の不満があっても自分から環境を変えようとはしない」が思い起こされる。

「典子が学生時代、水道の蛇口と洗濯機をホースでつながないまま4年間すごしたって話をしたでしょ? 僕との結婚生活は、まさにあれだったんですよ。ベストな状態ではないけど、当座困るわけじゃないから、ほっといた。それだけです」

 木島さんの言葉から、静かなる怒りが伝わってくる。

「典子に言い寄ってくる男が2人いて、彼女としてはどちらも特に断る理由がないから、求めに応じて相手に尽くした。そういう意味では、僕のプロポーズを受けたのも、彼らからの不倫の持ちかけに応じたのも、彼女の中では同じことなんですよ。相手に罪悪感を抱かせることなく期待に精いっぱい応えようとした。ただ、それだけなんです」

 木島さんは2年前に再婚したというので、最後に不躾な質問をしてみた。今の奥さんが典子さんと一番違う点はどこですか? 木島さんは即答した。

「僕のことを好きだってところ、ですね」

<文/稲田豊史 イラスト/大橋裕之 取材協力/バツイチ会>

【稲田豊史】

編集者/ライター。1974年生まれ。キネマ旬報社でDVD業界誌編集長、書籍編集者を経て2013年よりフリーランス。著書に『ドラがたり のび太系男子と藤子・F・不二雄の時代』(PLANETS)、『セーラームーン世代の社会論』(すばる舎リンケージ)。「SPA!」「サイゾー」などで執筆。

【WEB】inadatoyoshi.com

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