シングルマザーに恋を諦めさせた意外な“障害”。『ミストレス』のような40代女性の恋

女子SPA! / 2019年5月8日 15時46分

(画像:NHK ドラマ10『ミストレス~女たちの秘密~』公式サイトより)

 過酷な日々に向き合う4人の女性を描いた『ミストレス~女たちの秘密~』(NHK、金曜夜10時~)。男女関係・不倫事情を長年取材し著書多数のライター・亀山早苗さんが、話題のドラマを読み解きます。(以下、亀山さんの寄稿)

◆心に秘密を抱えた女性たち

 女たちに限らず、人は誰しも他人には言えない秘密を抱えているのかもしれない。『ミストレス~女たちの秘密~』を見てそんなふうに感じた人は少なからずいるのではないだろうか。

 これは本国イギリスでシリーズ化され、ロシア、アメリカ、韓国などでもリメイクされた人気ドラマ。その日本版がいよいよ放映されることになったのだ。

 恋愛関係にあった既婚者が亡くなり、その息子が父親の死の真相に迫るため急接近してきたという状況にある医師の香織(長谷川京子)、7年前に夫が行方不明になってからひとりで娘を育ててきた友美(水野美紀)、バリキャリで子どもはまだいらないと思っている既婚の冴子(玄理)、恋多き肉食系だったがとある女性に心惹かれ始める樹里(大政絢)。マラソン大会で出会った4人はかけがえのない友人関係になっているが、それぞれに心に秘密を抱えている。

 2回目までの放映では、これからそれらの秘密が動き出していくのが見えたところ。

 中でも印象に残ったのは、7年前に夫が行方不明になり、つい最近、その死亡保険がおりて5000万円が手に入ることになった友美だ。彼女に近づいてきたのは娘の友だちの父親で、シングルファーザーの安岡(甲本雅裕)。彼に食事に誘われたとき、友美は何を着ていくべきか迷いに迷ってあれこれ洋服を出し、帰ってきた娘に「泥棒が入った」と言われるほど部屋を乱雑にしてしまう。7年ぶりに(それ以上か)男性とデートとなったとき、女心はそれほど乱れるのだろうか。

◆10年ぶりのデートに臨んだシングルマザー女性

 ドラマの友美と似たような状況だったというのは、ユキノさん(44歳)だ。29歳で結婚、30歳で娘を出産したものの、5年後に夫が急死した。

「心筋梗塞でした。多忙だったので心身への負担が大きかったんだと思う。でも労災は認められませんでした。夫の両親と同居だったので、どうしようか迷いましたが、私は専業主婦。いきなり家を出ても娘を育てられない。夫の両親はよかったら一緒にいてほしい、と。そのまま同居しながらパートで働くようになりました」

 夫の父親もまだ仕事をしていたので、裕福ではないがシングルマザーとして暮らしていくよりは余裕がもてたと彼女は言う。

「ただ娘が小学校に入った後、私に好きな人ができたんです。娘の同級生のおとうさん。ドラマと同じですよ。彼もシングルファーザーで。私自身ももう独身だし、誰に遠慮もいらないと思いながらも、娘や義父母への後ろめたさがありました。最初のデートは緊張しましたね。男性とふたりきりで会うなんて、10年ぶりくらいでしたから」

 パートから帰って、娘と義父母のために夕食の下ごしらえをし、あとは義母に任せて「仕事先の歓送迎会があるから」と嘘をついて外へ出た。真新しいワンピースを家で着ることができず、駅のトイレで着古した洋服から着替えたという。

◆10年ぶりのデートに緊張、その結果は……

「最寄り駅近くで会って妙な噂をされると嫌だから、彼とは3つ先の駅の繁華街で約束していたんです。でも駅のトイレで着替えたとき、私、何をしているんだろうと思って……。いっそ帰ろうかと思いましたが、やはり彼には会いたかった」

 初めてのデートは、いくつになってもドキドキするものなのだろう。年齢を重ねて自身の置かれた環境が複雑になればなるほどユキノさんのように罪悪感も増すから、それが緊張感をふくらませることにもつながる。

「デートは楽しかった。彼と話もはずみました。それから何度か会って、結婚を前提につきあってほしいと言われたけど、結局、私は新しい生活には踏み出せませんでした」

 彼にはホテルにも誘われたが、彼女はそれも受け入れることができなかった。

「長いこと男性と接触がないと、本当に自信がなくなるんです。自分が女として見られているとは思えなくて。彼がつきあってほしいと言ってきたときも夫の保険金をあてにしているんじゃないか、義父母の家が目当てなんじゃないかと考えてしまう自分がいました。私自身には何の魅力もないはずなのに、私を求めるはずがない、と」

◆女性の自己評価が下がるとき

 当時、彼女は42歳。ただでさえ40代になった女性たちは自己評価が下がりやすい。早い人は老眼にもなるし白髪も見つけやすくなる。「女としての外見」において「前の自分とは違う」と思いがちだ。一方で、他の同世代女性はみんなもっときれいなのに、もっと輝いているのにと比較してしまうこともある。

「彼の愛情を素直に受け入れられなかったんですよね。その後、彼は転勤で越していきました。今になると、彼を信じて新しい人生を始めてもよかったのにと後悔しています」

 彼女は今も義父母と暮らし、パートを続けている。娘は中学生になった。先に希望がたくさんある娘を見ていると、自分だけが変わらない人生を送っているように思えて落ち込むことも多いという。

「この先、一歩踏み出せるチャンスがあるかどうか」

 彼と別れて以来、彼女はまだ誰ともデートをしていない。

<文/亀山早苗>

【亀山早苗】

フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数

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