寺島しのぶ、ぶつかり合う母娘を演じ「私もかつては毒娘だった」

女子SPA! / 2019年7月6日 15時45分

 映画『告白』、ドラマ「Nのために」など、多くの作品が映像化されている人気作家の湊かなえさんが、母と娘の関係を軸に描いて直木賞候補にもなった短編集を連続ドラマ化した「ポイズンドーター・ホーリーマザー」がWOWOWにて放送開始。

 第1話、第2話では、ベルリン国際映画祭の銀熊賞に輝くなど、海外でも演技派として認められる寺島しのぶさんが主演を務めています。女優になった娘・弓香(足立梨花)への過干渉を続ける母・佳香を演じた寺島さんに、作品について、母でもあり娘でもあるご自身について、語っていただきました。

◆難しいと思わされる台本だから出演を決めた

――毒親と呼ばれる役です。出演を決めた理由は?

寺島「台本がおもしろかった、それだけです。とても難しい作品ですが、そう思わされる台本が好きなんです。勧善懲悪のようなものではないし、結論がはっきり出るようなものでもない。この役はこうだというのがはっきり見えない。だから選びました」

――分かりにくい部分を、どう理解していったのですか?

寺島「理解しませんでした。現場に入って、監督やスタッフとこういう感じで行こうと1シーン1シーン話し合いながらやっていきました。ディスカッションできるスタッフに恵まれて心強かったです」

◆母と娘はぶつかり合うもの

――寺島さん自身、母でもあり娘でもあります。共感できる部分などはありましたか?

寺島「佳香のことは分からないです。強烈だなとは思いますけど。私の母(女優の富司純子)も強烈ですが、同業者だからこそぶつかり合うというのもあったので、お母さんが芸能界の人じゃなくて、娘が売れたりしたらどうなるんだろうなと。

 撮影現場でも、『うちの母親は週刊誌のネタはうのみにしますよ』という方もいて。そういうことは私の母はないです。ただ自分の娘が悪く思われないように母が動くというのは、仕事に関係なく頷けました」

――たとえば?

寺島「私の母もすごく心配性で干渉してきたんです。たとえば、私が『赤目四十八瀧心中未遂』に出演しますと言ったときは、ヌードのシーンもあったので、『嫁入り前の娘がそんなことして、どうなるか分かってるんでしょうね!』と、指摘というより脅しのような感じで、やめさせようとしたり。

 ただ、見方を変えれば、そのときの私は母にとっては毒娘だったのかもしれません。作品が失敗していたら、『お母さんのいうことを聞かないからよ』と言われたかもしれません。ドラマはデフォルメされていますが、母と娘というのは、どうしてもぶつかり合うことがあると思います」

◆いま、振り返って母に感謝していること

――ぶつかり合いからうまく脱する秘訣はなんでしょう。

寺島「時間しかないですよね。相手に優しくしないと、というのは、努めてできればいいけれど、人間ってそんなに簡単なものじゃない。徐々に徐々に、お互いが変化したり、どちらかが弱ってどちらかが助けたりして、そのときにありがとうと言えるようになっていくとか」

――ご自身が母親になってみて、振り返って感謝できる、見習いたいと感じるところはありますか?

寺島「母は、私の子育てをしている期間、『3時のあなた』という情報番組をやっていましたが、基本、学校行事はすべて出ていました。すごく子育てに熱心でした。当時は『お母さんなんだから、当たり前でしょ』と思っていましたが、いざ自分が仕事をしながら、子どもの学校のこともとなると、いっぱいいっぱいで。でも母はやってきたんだなと思うと、自分も頑張るしかないと思います」

◆親子は、どこかで必ず向き合うべき

――本作に入られるとき、自分が母親になったことが、どう投影できるのか楽しみだとお話されていました。何か投影できましたか?

寺島「ほぼ投影ですよ。自分の通ってきたものとか感じたものとか。でもそれはこの作品に限ったことではないんです。結局、自分が人として経験してきたこと、それは人間観察をして感じたことも含めて、自分の身体を通してどう役を表現できるのか、その繰り返しなので。まして今回の題材というのは、娘であり母である自分に近いところがあったと思います」

――放送に向けて、ひと言お願いします。

寺島「このドラマを観て、もうちょっとちゃんと向き合おうとか、理解し合おうと思ってもらえたらいいのかなと。この親子は本当にすれ違いなので。相手のためにやっているのだけれど、こうしたよということを伝えることなしに進んでしまう。

 親子って、どこかで必ず向き合わないといけないと思うし、肝心なことはちゃんと話したほうがいい。これだけ毒親、毒母、毒娘という言葉が広がって、みんなが共感するということは、そういう家庭が多いということですから。作品がどう響くのか、とても興味があります」

(C) 1996-2019 WOWOW INC.

<文・写真/望月ふみ>

【望月ふみ】

70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。

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