犬猫ちゃんが実は嫌がってる“インスタ映え投稿”にご用心

女子SPA! / 2019年7月29日 8時46分

 SNSが普及している近ごろは、愛犬や愛猫のとっておきショットを専用のアカウントで投稿している方も多いもの。でも、それがもし動物の心を無視した“インスタ映え”だったら、愛犬や愛猫が強いストレスを抱えてしまうことも…。

 今回は愛玩動物飼養管理士である筆者が、ストレスになりやすいインスタ映え投稿を解説します。

◆猫が毛づくろいできない洋服。無理強いしてはダメ

 最近では、犬と同じように猫にも洋服を着せ、かわいらしいコスプレ姿をSNS上に投稿している飼い主さんが多くなってきています。しかし、猫が嫌がったり脱ぎたがったりする場合はコスプレを無理強いしてはいけません。

(手術後や皮膚病のケアなどで、服が必要なケースもありますが)

 猫は被毛を舐めて清潔を保っています。また、肉球や鼻の頭付近にしか汗腺がないため、毛づくろいをすることで体温を調節しています。暑いときは毛づくろいで被毛を濡らし、その気化熱を利用して体温を下げており、寒いときは被毛の中に空気を取り入れ、毛をふわふわの状態にし、冷たい空気を遮断するのです。

◆毛づくろいは猫のストレス緩和にも

 そして、毛づくろいには心を落ち着かせる働きも。猫はストレスや緊張を緩和したい時にも毛づくろいを行うのです。

 そのため、洋服が邪魔で毛づくろいが十分にできないと強いストレスを感じるだけでなく、体のコンディションも悪くなってしまいます。被毛を清潔に保てないと皮膚病が発症しやすくなりますし、体温調節が十分にできないと猫風邪などにも、より注意しなければなりません。

 これは、洋服だけでなく首輪にも通ずること。首輪は子猫の頃から慣れさせていないと嫌がってしまう子も多いもの。どれだけデザインが凝っていても、毛づくろいをしにくそうにしているときは外してあげることも考えてみましょう。

 とはいっても、首輪は飼い主の情報を記せ、脱走時や災害時に役立つ可能性が高いアイテム。一般的な首輪に嫌がる素振りを見せる子には、締め付けのゆるいものや細めのものを付けさせ、反応をみながら、どれがよいか検討していきましょう。

◆サマーカットのギャップは笑えるけれど…

 気温が高くなってくるこれからの時期は、愛猫が快適に過ごせるようにサマーカット(夏に毛を短くカットする)を行おうと考えている方もいるのでは? サマーカットは前後のギャップにインパクトがあるため、インスタ映えもしやすいものです。

 ですが、皮膚が見えるほど被毛をカットするのはNG。この場合も毛づくろいができなくなるので、先ほどご説明したような様々な弊害が起きる恐れがあります。

 特に、長毛種を育てている飼い主さんはサマーカットを行ってあげたくなるかもしれませんが、その際は皮膚がむき出しにならない程度に留めましょう。猫は暑いと、お腹を床やテーブルで冷やすものなので、エアコンなどで熱中症対策をしても不十分な場合は、お腹周りの被毛を少しだけカットしてあげるのもよいでしょう。

◆過剰なパフォーマンスは誰のために

 昨年、韓国のSNSでは飼い犬を空中に投げて撮影した「ハヌル(空)ショット」という写真が話題になりました。

 こうした過剰なパフォーマンスは動物虐待にあたる可能性があるので、行わないようにしましょう。実際、「ハヌルショット」も一時は2万件を超えるほど写真が投稿されていましたが、動物虐待が指摘されるとほとんどの投稿が削除されたそうです。

 過剰なパフォーマンスは愛犬や愛猫に怪我をさせてしまう可能性も高くなります。例えば、人間の膝から落下しただけでも怪我をしてしまう可能性が高い小型犬にこうしたパフォーマンスをすると、どうなるでしょうか。柔らかい場所に投げれば怪我をしないという考えは、甘いように思えます。

 猫は高い場所から落ちても大丈夫な動物だというイメージが強いかもしれませんが、実際は上手く体勢を立て直せず、着地に失敗し、骨折することだってあります。空中に投げられた時に咄嗟に機転を利かせ、体勢を瞬時に立て直せる保証はありません。

◆びっくりする姿、確かにかわいいけれど…

 派手なパフォーマンス動画は斬新に見え、インスタ上で注目を浴びやすいもの。しかし、おもちゃのように動物を扱って獲得した「いいね」にはどんな価値があるのでしょうか。

 一時期、SNS上では背後にそっとキュウリを置くと、猫がパニックになって跳び上がる光景が話題となり、チャレンジする飼い主さんが急増。Twitterやインスタグラムには、多くの実証動画が溢れました。しかし、ブームに左右され、突然驚かされた動物たちは一体どんな気持ちだったでしょうか。

<編集部注:米国の認定動物行動学者、ジル・ゴールドマン氏は、「猫はキュウリでヘビを連想しているかもしれない」として、この動画を強く批判しています(「ナショナル・ジオグラフィック」2015.11.20)>。

 SNSでたくさんの「いいね」を貰えたりバズったりすると、自分という人間が認められたような気持ちになり、満足感が得られます。けれど、その満足感の裏側で犠牲になっているものはないか、今一度考えてみてほしいのです。

 動物たちはアクセサリーではなく、意志を持った命あるもの。「自分の投稿は身勝手ではないだろうか」と、“映え”を狙い、投稿ボタンを押す前に、そう自分の胸に問いかけてみてください。

<文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>

【古川諭香】

愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291

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