本命とセカンドの違いって何?ドラマ「来世ちゃん」原作者に聞く

女子SPA! / 2020年3月18日 15時45分

写真

いつまちゃん

 恋に迷う女性の共感を呼んでいるコメディドラマ『来世ではちゃんとします』通称「来世ちゃん」(テレビ東京、水曜深夜1:35~)。性に奔放なアラサー女子・桃江を内田理央が演じて話題になっていますね。

 原作は、「いつまちゃん」による同名漫画。ツイッターで人気を博し、『グランドジャンプ』(集英社)で連載中です。前回に続き、いつまちゃんに作品誕生の秘密を聞きました。

<「来世ちゃん」とは:小さな映像プロダクション「スタジオデルタ」に勤める5人は、みんな性をこじらせ気味。セフレが5人いる性依存系の大森桃江(27)、恋愛に興味がないオタク女子・高杉梅(27)、付き合った女性をメンヘラにする魔性の男・松田健(26)、処女信仰を持つセカンド童貞・林勝(26)、風俗嬢に恋して貢ぐ檜山トヲル(29)……ダメだけど愛しい彼らの命運は!?>

◆失恋で絶望的になって漫画を描き始めた

――失恋をきっかけに漫画を描き始めたと伺いました。

「美大の4年生だった当時、付き合っていると思っていた彼から『ごめん、本当は7年付き合っている彼女がいる』って言われたんです。月イチしか会えないので疑ってはいましたけど、やっぱり好きだから信じたいじゃないですか。『付き合うって言ってくれたしな』とか『彼は忙しいから会えないんだろう』とか、自分に言い聞かせていた感じですね。

 そのとき就活もボロボロで、4年の冬まで内定ゼロでした。

 今、立ちあがらないと就職もできないし留年もしてしまうと思って、この悲惨な体験を漫画に書いて、卒業制作にしちゃおう、と。そうしたら、結構面白いものが描けて、すごく心が軽くなったんですよ。

 倫理の授業で習ったんですけど、人間、嫌なことがあったときのストレスのはけ方は、そこから逃げる『逃避』、言い訳をする『合理化』、そして歌にしたり漫画にしたりする『昇華』などがあるそうです。効きましたね、すごく」

――それが初めて描いたマンガというのが驚きです。

「私は勉強ができなさすぎて美大に行ったんです。ちょっとでもいい大学に行きたいけど、勉強じゃ入れない。そういえば、ちょっと絵は得意だったなと思って、美大を受験しました。でもいざ入ったら何が表現したいのか全く分からなくなってしまって。やっと卒業制作で『あ、これかもしれない』って思ったんです。

 社会人になってからは、漫画を毎日ツイッターに投稿していました」

◆お付き合いとセフレの違いって何?

――しかし、恋人だと思っていたのに、自分がセカンドだったというのは辛すぎますね。

「でもそれは『どうして私の家はお金持ちじゃないんだろう』というのと一緒で、しょうがないものなんじゃないかな。美人のほうがモテるし、ピカチュウよりはミュウツーのほうが強いとか、そういうのはありますけど、結局は相性が悪かったんだなと思います。

 自分が『くさタイプのポケモン』だったとしたら、彼は『ほのおタイプのポケモン』だったので、利用される側に回ってしまったんだなって思っています」

――そう思えるようになるまで、すごく時間がかかりそう。

「そう。だから、傷ついて学んでいくしかないですかね(笑)」

――たとえば、登場人物の大森桃江は、セフレとするのは楽しいけど、「自分を選ばない男とやると、確実に何かを失っている」とも感じている。読んでいて共感するところがいっぱいあります。

「そういうことって、自分だけの特別な経験かと思いきや、みんな同じような経験をしているんですよね。つらいことがあっても、嬉しいことがあっても、そんなに特別なことでもないのかな、って思うようになりました」

◆お付き合いとセフレの違いって何?

――「セフレ」と「お付き合い」の違いって何なんですかねぇ。

「お互いに相手を独り占めしたいと思ったときに、じゃあ付き合いましょうかってなる。漫画にも書いたんですけど、恋人は『ほかの人とはしないようにしましょう』っていう契約だと思うんです。『ほかの人との恋愛関係を我慢してでも、あなたと付き合いたいです』っていう感情がお互いにないと、恋人関係は成立しないですよね。暗黙の了解とはいえ、相手がその契約を破ったら、みんな怒って不快に思うんじゃないでしょうか」

――暗黙っていうところが難しいですよね。

「『浮気はダメ』というルールはみんな知ってますが、それ以外は人によってルールが違うので難しいですね。たとえば、男の人は『忙しいときでも会うんだから、俺たちは付き合っているだろ』って思うけど、女の子は『付き合っていたら週1回は会いたいし、プレゼントをもらわないと不安になるし』みたいな感じで。言葉にしないで暗黙の了解で進んでいくから恋人関係がこじれることもありますね」

◆“ひとり脳内反省会”のたまもの

――『来世ではちゃんとします』に共感する読者は多いと思いますが、どうしてそんなに共感を呼ぶネタを作れるのでしょう?

「私って、『あの人は今、私のことをどう考えているのか』とか、『今この人が目を伏せたのは、ちょっと不快にさせてしまったんだな』とか、すごく考えてしまうんですよ。それで落ち込んだりもして、“ひとり脳内反省会”をたぶん人の5倍、10倍くらいしてる。だから、経験数自体はそんなに多いわけではないんですけど、人間のことばかり四六時中考えていたので、その蓄積があるのかなと思います」

――描いていて楽だとか、楽しいキャラはありますか?

「スタジオデルタに勤める5人に関しては、もう勝手にしゃべってくれるので、楽ですね。風俗嬢に恋している檜山はすごく楽に描けるのでありがたいくらいです。ただ、ボーイズラブ好きの梅ちゃんに関しては、コミケに行くとか、イケメンキャラの同人誌を作っているとか、文化が絡んでくるので、ちょっと作画が難しいですね」

――『来世ではちゃんとします』は今も連載中ですが、どのくらい続けますか?

「すごく書きやすいし、ネタも全然尽きないので、ずっと続けられたらと思います。私と彼らは同世代だから、私と一緒に歳をとらせて、いつか誰かが妊娠・出産してもいいし、家庭をもってもいい。老後に突入したら『みんなで老人ホーム入るか』みたいになってもいいかなって思っています。『グランドジャンプ』さんがずっと載せてくれるのであれば(笑)」

<文/和久井香菜子 文字起こし/ブラインドライターズ 撮影/坂本陽>

【和久井香菜子】

ライター・編集、少女マンガ研究家。『少女マンガで読み解く 乙女心のツボ』(カンゼン)が好評発売中。英語テキストやテニス雑誌、ビジネス本まで幅広いジャンルで書き散らす。視覚障害者によるテープ起こし事業「ブラインドライターズ」運営

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング