テレビ東京社員2人が本を出版。TVの裏側&ヤバすぎるグルメ番組の全てを明かして大評判に

女子SPA! / 2020年6月23日 15時46分

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「ハイパーハードボイルドグルメリポート」上出遼平を真船佳奈がレビュー

 今、テレビ東京が熱い。バラエティでは『家、ついて行ってイイですか?』や『ゴッドタン』、ドラマでは『きのう何食べた?』『レンタルなんもしない人』など、独自の方向性を打ち出す人気番組が続き、学生が就職したいテレビ局ナンバーワンはテレビ東京という調査結果も。

 そんなテレビ界の新旗手、テレ東の現役社員2人が、同じ日に著書を出版しました。

 真船佳奈さんの『オンエアできない! Deep』と、上出遼平さんの『ハイパーハードボイルドグルメリポート』です(ともに朝日新聞出版社より)。

 真船佳奈さんが2012年、上出遼平さんが2011年に入社と、近い入社年で親交のあるおふたりに、おたがいの著書を読んでレビューしてもらいました。

◆真船佳奈さん寄稿・『ハイパーハードボイルドグルメリポート』評

 このように“局員同士で褒め合う”という、貴重な機会をいただきありがとうございます。

「ハイパーハードボイルドグルメリポート」は、私の新作漫画「オンエアできない!Deep」と同じ出版社・同じ担当編集から同日に発売されたという「誕生日と出身地が同じのクラスメイト」的な存在と勝手に思っていたのですが、かたや入手困難となる程の爆売れ本となり、もう同じ誕生日を主張するのもはばかられるレベルの差がついています。

 各界のそうそうたるメンツが絶賛している中、一介の兼業漫画家の私がレビューを書かせていただくのも…とはばかりつつ、「便乗して本が売れるんではないか」という一縷の望みにかけて、ラブレターを書かせていただきました。

 ――もう私みたいな誰やねんみたいな人が告知するまでもなく、爆売れしているベストセラー本「ハイパーハードボイルドグルメリポート」。

 ゴミ山暮らしの若者飯、人喰い少年の飯、台湾マフィアの飯など、常軌を逸した世界の飯をリポートする番組の書籍版!テレ東の一学年上の上出さんが書きました。

 上出さんには超美人アナウンサー・大橋未歩さんと結婚した時も度肝を抜かれましたが、この番組を見た時も度肝を抜かれました。

 テレビっていい意味でも悪い意味でもわかりやすく、答えや結論に向かってナレーションや大げさな煽り文句で視聴者を誘導したりしますが、この番組はそんな「お約束」が一切ありません。

 それでいてあくまで「飯番組」なので報道番組よりもずっしりリアルに響いてきます。こりゃ大橋未歩さんも惚れるわけです。

 そんなわけで、書籍版も当然ものすごく面白いのですがめちゃくちゃ売れすぎていて手に入らないので、すぐ手に入る私の漫画を買ってください。

 こんなこともあろうかと、上出さんのエピソードも漫画化しておきました。

 なんで、私の漫画の方、よろしくお願いします。

 …まだ本著をお読みで無い方は「同僚をこんなに褒めるなんて!」と思われるかもしれませんが、私はSNS上でどんな上司からバトンが回ってきても完全に無視するほど感情に正直な女なので、ここに書いたことは全て本心です。

 良い「テレビ」も良い「本」も、未知の世界に私たちを連れて行ってくれますが、ハイパーは「見ようとしてこなかった世界」も、「みたくなかった世界」も見せてくれます。そういう意味では、人生を変える一冊だと思います。

 なかなか手に入らないですが、ぜひ手段を見つけて読んでみてください。

◆上出遼平さん寄稿・『オンエアできない! Deep』評

「海外から独自ルートで輸入した痩せ薬をラムネのようにバリバリと食う女がいる」。

 そんな触れ込みを携え制作局(バラエティ班)にやってきたのが、将来の漫画家・真船佳奈である。常軌を逸していれば逸しているほど盛大な拍手をもって迎えられる我らが制作局にあって、この入場の様はまさしく鳴り物入りのお祭り騒ぎ。社会性を著しく欠いた諸先輩方の舌なめずりがしばらく止まなかった。

 そう、賑やかでハッピーなバラエティ番組を作る制作局はその表向きとは裏腹に、魍魎の蠢(うごめ)くこの世の地獄。いじめがあるだとか、雰囲気が悪いだとかそんなレベルの話ではない。それまで20年以上かけて学んできた理屈やモラルの一つさえ通用しないのがこの世界なのだ。

 かく言う僕も、入社半年で精神に失調をきたし、新橋の編集所にいたはずなのが、ふと気がつくと京都で枯山水を前に茶をしばいていたりもした。靴も履かず、編集所のスリッパのままで先斗町を歩いていたことを思えば、結構参っていたに違いない。

 そんなところへ、真船佳奈は舞い込んでしまった。

 そして、ワーーーッと暴れて、いなくなった。

 そう、制作局からあっという間にいなくなってしまったのだ。駿馬の如く。ヒヒンと鳴いて。

 会社の机で涎を垂らして寝ている姿を何度か見た。酒に酔って嗚咽交じりに絶叫する声を何度も聞いた。そしていつしかその姿を見ることはなくなった。事実は不明だが、見るに見かねた人事部が、限りなくホワイトな部署に避難させたのだと僕は思っている。

 多くの同僚たちは「なんであの図太そうな真船が?」と思ったし、そう思うのも無理からぬ話。ぎょろりとかっぴらいたガラス玉のような目、厚かましい言葉遣い、貪り食う痩せ薬、年中無休のムートン風ブーツ、そしてあの酒の飲みっぷり。

 しかし、事実は正反対だった。

 彼女の心は、旅行先の土産物屋で買うガラス細工のヤドカリの足くらい繊細で壊れやすかったのだ。そう考えれば彼女の行動のほとんどを理解できる。全ては身を守るための鎧だった。思えば彼女と話をしていて、しっかりと目があったことは一度もない。

 彼女はその繊細すぎる眼差しで、隈無く制作局を見ていた。ここに立ち入った誰もが狂った世界に同化する中で、彼女だけは正しく他人行儀でそこにいた。だから、こんな漫画が描けたのだ。

 これまで様々なフィルターを通して描かれてきたテレビの裏側が、『オンエアできない!』で初めて限りなくクリアに、ほぼノンフィルターで映し出された。そして続編『オンエアできない!Deep』では、文字どおり一層深く、その悲喜劇を活写している。

 まずテレビの世界を志す若者はこれを手に取るべきだ。これを読んでなおテレビを作りたいと思えるのであれば、あなたは間違いなくテレビマンとしての適性がある。飛び込んだ世界で理想と現実との齟齬に苦しむことはないだろう。

 そして、最近テレビを見なくなったあなたにも、相変わらずテレビっ子のあなたにも、是非読んでほしい。

 批判にさらされながらも、小さな笑い一つを勝ちとるため、東京ど真ん中の巨大檻で暴れる珍獣たちの群像劇。

 掛け値無しに面白いから。

◆2人の著作でのぞけるテレビマンの世界

 真船さん&上出さんという異才2人を受け入れるキャパを持つ“異端のテレビ局”・テレビ東京公認で送る、実録コミックエッセイ『オンエアできない! Deep』。

 現役テレビマンの真船さんが、ADの仕事を通じてテレビの裏側を赤裸々に描いています。美術制作や報道局員、アナウンサーといった人気番組を作り上げる様々なスタッフたちの苦悩と悲哀、果ては“至上のロケ弁”といったよりニッチな裏側まで、大幅な描き下ろし分を追加してとことん描写されています。

 一見華やかなテレビ業界の地味な裏側を通じて描かれる、“働くということ”というテーマ迫っており、どんな人にも楽しみながら考えさせられる一冊になっています。

 一方、上出さんの『ハイパーハードボイルドグルメリポート』では、“ヤバい世界のヤバいやつらのヤバい飯”をテーマにした「自称グルメ番組」の裏側や、番組本編に収まりきらなかったエピソードが多数収録されています。

「食」という人間の普遍的なテーマで、「廃墟に暮らす元人食い少年兵」「マフィアの晩餐会」「カルト教団の村」に迫り、たんなる危険さやもの珍しさのみにとどまらず、“当たり前”や“ふつう”とは何かを淡々と問いかけており、旅を経て自分の日常に戻ってきた時のような貴重な読書体験が得られるのではないでしょうか。

 一見バラバラな2冊ですが、両方読んでみると、同じテレビ東京という磁場から生まれたことを思って、より楽しめるかもしれません。

【上出遼平(かみでりょうへい】

2011年テレビ東京入社。『ハイパーハードボイルドグルメリポート』シリーズの企画、演出、撮影、編集まで番組制作の全過程を担う。同シリーズの書籍版として「ハイパーハードボイルドグルメリポート」(朝日新聞出版)を2020年3月に出版。空いた時間は山歩き。

【真船佳奈 (まふね・かな)】

2012年にテレビ東京入社。2014年に制作局へ異動、バラエティ番組や音楽番組のAD、Dを経験。当時の経験談を『オンエアできない! 女ADまふねこ(23)、テレビ番組作ってます』(朝日新聞出版)にまとめ、2017年に漫画家デビュー。以来、平日はテレビマン・週末は漫画家・ライターという兼業生活を送る。

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