どうしても30歳までに結婚したかった女性。スピード婚から破局にいたるまで

女子SPA! / 2020年9月17日 15時47分

写真

写真はイメージです(以下同じ)

 人生の計画を立てることは重要かもしれない。だが、何をするにしても人はひとりではない。特に恋愛・結婚は相手のあること。ひとりであせっても結局はうまくいかないことが多いのではないだろうか。

 今回は、どうしても30歳までに結婚したかった女性に、その結婚が破綻するまでの話を聞いた。

◆30歳までに結婚したいのに28歳で彼氏にフラれた

「もともと30歳までには結婚したかったんです。だから28歳で2年つきあった彼にフラれたときは、頭の中が真っ白になりました。フラれて悲しいというより、『結婚できなくなったことをどうしてくれるんだ』という気持ちのほうが強くて」

 アキホさん(32歳)は、早口で少し恥ずかしそうに言った。彼女の人生プランでは、大学を卒業、希望の会社に就職、スキルを磨いて20代のうちに結婚、30代前半でふたりの子を産むというもの。就職まではうまくいっていた。結婚を視野に入れられる人と社内恋愛をしていたことも予定通りだった。ところがその彼に、いきなりフラれたのだ。

「私があまりに結婚に前のめりになったので、彼は息苦しかったみたいです。2年つきあっていれば前のめりになってもいいと思うけど、同い年の彼にはまだ結婚は早いという思いがあった。でも私には伝えることができなかったって。

 そんなとき彼が私も知っている社内の若い子と関係をもってしまった。彼女から挑戦状みたいなメールが来て発覚したんです。そのメールを彼に見せたら、彼は泣いて土下座。目の前で彼女に電話をかけさせて別れてもらいました。なんとか許そうとがんばったけど、私も我慢できなくて。結局、別れました」

◆あと1年半しかない。そればかり考えていた

 その話は社内でも噂になり、彼はいづらくなったのか転勤願いを出して故郷近くへと去って行った。

 彼女の結婚プランはあえなく頓挫(とんざ)したのだが、それでも20代のうちの結婚に固執した。

「恋愛なんて時間のかかることをしているからいけない。結婚したいなら結婚用の相手を探せばいいのだから、結婚相談所に申し込んだほうが早いよと先輩に言われたんです。それもそうだなと思って結婚相談所やパーティ形式の婚活などを本格的に始めました。あと1年半しかない。そればかり考えていましたね」

 学生時代からつきあっていたカップルはどんどん結婚していく。社内で見つけた友人もいれば趣味を通じて結婚していく友人も。1人取り残される不安が彼女を苛んだ。

「どうしてですかね、結婚しないと一人前の大人ではない。そういう思いに取り憑かれていました。私、3人姉妹の末っ子なんですが、姉ふたりは26歳で結婚しているんですよ。従姉妹も25歳、せいぜい27歳までには結婚してる。今どきの価値観でいえばけっこう早いですよね」

 結婚年齢をどう意識するかは周りの環境にも左右されるものなのだろう。晩婚ばかりが周りにいたら、まだまだ早いと思いがちだ。

◆結婚相談所で決めたものの

 結婚に当たってのアキホさんの条件は、それほど厳しいものではなかったと言う。

「とりあえず健康で自分の仕事をそれなりに気に入っていて、楽観的で波長が合う人。結婚相談所ではもっと詳細に条件をつけたほうがいいと言われたけど、そんなになかったんですよ。精神的に自立している人というのは大前提でしたけど」

 そこで紹介されたのが3歳年上の男性。一部上場企業に勤めているひとり暮らしで、彼の条件は「夫婦で話し合って、居心地のいい家庭を作りたい」だった。もちろん女性が仕事をしていくことを当然だと思っていた。

 早速会ってみると、「本当にごくごく常識的な人」だった。結婚して子どもができたら、家事も育児も一緒にやっていきたいと彼は言った。

「家事や育児を“手伝う”という発想ではなく、自分事としてとらえているのがうれしかった。話しやすい人でしたしね、3回ほど会って結婚を決めました。恋愛感情などいらないと思った。彼と家庭を築いていく図式が思い描けたんです」

 29歳になってすぐ、彼女は結婚式を挙げた。レストランを借りた会費制の式で、みんなが見ている前で婚姻届を書いた。

「お世話になっている人たちが喜んでくれたのがうれしかったですね。あの日が過去最高に心躍る日だったと思う」

 とっておきのワンピースに身を包み、キラキラした笑顔を振りまいている写真をアキホさんは見せてくれた。

「そう、この日が頂点でしたね……」

◆彼と何を話したらよいか分からず、興味がもてない

 翌日からそれぞれがしばらく仕事で多忙になり、別居のまま生活を続け、2ヶ月後にようやく新居に引っ越し、片づけに追われつつ、その1週間後に3泊で旅行に出かけた。うまく休みがとれなかったので海外はまた後日ということで、北海道へ出向いた。

「結婚して初めて、ふたりで向き合った時間でした。結婚してからほとんど会ってなかったので(笑)。無理やり、そんな時期に結婚しなくてもよかったんじゃないのと周りに言われるくらい会えない日々が続いちゃって。だからこそ、北海道旅行をしたとき、あれ、私、本当にこの人と結婚したんだっけという妙な感覚にとらわれたんです。

 旅をするのはいいけど何を話したらいいかわからない。彼が気を遣って、子どものころの話などをしてくれるんだけど、正直言って私、彼の子ども時代にそれほど興味をもてなかったんです。しかも彼は旅行中、ずっと早寝で(笑)」

 日常生活が落ち着けば、彼ともだんだんなじんでくるのだろうと考えを改めた。ところが旅行から帰ってきても、ふたりの間に性的な関係はなかった。週末はふたりで食事を作って食べたいと思ったが、彼は自室にこもる時間が長い。

 ある日、彼女はスーパーに買い出しに行こうと彼を誘った。

「一応、一緒に行ったんですが、何を食べようかと言っても彼からあまりはっきりした返事がない。そういえば食べ物の好みもあまり知らなかったと思って聞いてみると、彼、ほとんど食べ物に興味がないんですよ。

 パスタを作ったんですが、彼はインスタントのトマトソースでいい、と。平日は食事のしたくができないんだから、素材を買うのはムダだと言うんです。その通りなんだけど、ふたりで作って食べたいじゃないですか……」

◆おたがいの違和感

 望むことが少しずつ違う。怒るほどではないのだが、「違う、違う」とつぶやきたくなるような違和感が彼女を襲った。

 もともと寝室は別にしていたので、夫がベッドに入ったころアキホさんから部屋へ行ってみたことがある。話しかけても夫の反応はなかった。まだ寝付いたとは思えないから、明らかに拒絶しているとしか思えなかった。

「子どもができたらという話をしていたのに。一緒に暮らして3ヶ月くらいたったころ、もう嫌だと思いました。

『あなたは私とどういう生活を望んでいるの?』と聞いたら、彼はもごもごしながら、『実はこれほど早く結婚を決めるつもりはなかった』って。もっと長くつきあってお互いを見極めたかった、だけど私があまりに前のめりなので断れなくなったんだって。

 一緒に生活してみたら、うまく言えないけど何かが違うと思った、と。私も同じように思っていたから、これからどうするという話になって」

 結局、気持ちが一致したのはこのときだけだった。「一緒にいる意味がないよね」と。彼はこの違和感の中で子どもができたら困るため、彼女と性的な関係を結ばなかったのだと白状した。

◆離婚後は、一度結婚したことで満足

「結婚を急いでもうまくいくケースはあると思います。だけど私の場合はダメだった。急ぎすぎて相手をちゃんと見てなかったし、結婚したとたんに、あれ、これが目的だったんだっけと妙な気持ちにもなったし。何がしたかったんでしょう、私」

 しばらく同居生活を続け、30歳手前で離婚した。あれから3年、彼女は今も独身だ。

「すごくヘンな言い方ですが、あんな結婚でも、一度したことで満足しちゃいました。本当は私、世間体だけを気にしていたのかもしれません。一度結婚して離婚したら、もう誰も『結婚しないの?』と聞かなくなりましたから。免罪符を得たような感じ」

 本末転倒ではあるが、彼女の言うことは当たっているのかもしれない。「とりあえず一度は結婚したということで世間から許される」。そんな雰囲気があるのは確かだ。

 結婚すること、パートナーとともに歩むこと、それが自分の人生にどういう影響を与えるのか、本当に望んでいることなのか。そういった自分の「結婚への気持ち」は、よく整理しておいたほうがいいのかもしれない。

―シリーズ「結婚の失敗学~相手選びの失敗」―

<文/亀山早苗>

【亀山早苗】

フリーライター。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング