タオルがすぐに黒ずむのはナゼ?洗濯王子に解決方法を聞いてきた

女子SPA! / 2020年9月24日 8時46分

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洗濯家・中村祐一さん

 洗濯王子という愛称で各種メディアに登場し、洗濯教室も開催している洗濯家・中村祐一さんのTweetが、先日話題となりました。

 中村さんは、ドラム式の洗濯機を使っている人から、タオルが黒ずむという相談を受け、すすぎの回数や水量、洗う衣類の量を調整することが大事であることを説明し4万1千いいね!されています。

 この「タオルの黒ずみ問題」やとれない匂いなど、毎日洗濯をしていると、気になる問題がたくさん出てきますよね。これを機に、洗濯についてさらに詳しく知りたいと思い、中村さんに話を聞きました。

◆ドラム式か縦型かで、黒ずみ問題の解決方法は異なる

――Twitterで話題になっていた、タオルの黒ずみを取る方法について、改めて教えていただきたいです。

中村さん「まず、なぜ黒ずみができるかというところなのですが、洗濯は『洗い』の際に、洗剤で汚れを包んで水に移します。そして『すすぎ』で、洗剤で包んだ汚れを流していくのですが、この『すすぎ』の工程がとても重要で、汚れた水がちゃんと流れないと、汚れが衣類に付着して、衣類が黒ずんできます」

――黒ずみの原因は、洗ったときに出た汚れが、「すすぎ」できちんと流れていなかったからなんですね。

中村さん「そうです。なので、黒ずみを取るためには綺麗な水ですすぎをきちんとして、汚れを流してあげることが大事です。キレイにするためには、2回以上のすすぎは必要です。また、縦型の洗濯機であれば水量を調整して、水の中にきちんと衣類が沈んでいる状態で洗うこともポイントです」

――自分で水量を設定できない、ドラム式の洗濯機の場合はどうすればいいでしょうか。

中村さん「ドラム式の洗濯機の場合は、洗う衣類の量を自分で調整してください。目安としては、従来の量の半分~3分の2くらいの衣類を入れて洗うのがよいかと思います。というのも、ドラム式は、少ない水で衣類についた汚れをたたき洗いするという構造なので、衣類を詰め込みすぎると汚れを落とす効果も半減してしまうからです。

 さらに、使用する水の量も少ないため、衣類が多いと汚れも流れにくく、黒ずみがつきやすくなります。縦型は水量を増やす、ドラム式は入れる衣類の量を減らす、という方法で対応してください」

◆生乾き臭を取る方法

――洗浄力の高い洗剤を使わないと、タオルの黒ずみは取れないと思っていました。

中村さん「汚れをとっても、流れなければ意味がありません。ちなみに、柔軟剤を入れる場合にすすぎが一回だと、黒ずみがつきやすくなります。洗剤は汚れを落とすものですが、柔軟剤は衣類をふんわりと仕上げるもので、全く性質が異なります。

 汚れが落ちていない状態で柔軟剤が入ってしまうと、柔軟剤が汚れを衣類にくっつけてしまい黒ずみやすくなります。なので、柔軟剤を入れるときは、特にすすぎの回数を2回以上にするなど意識してください」

――黒ずみも気になるのですが、生乾き臭も取れずに困ることがあります。

中村さん「生乾きなどの匂いは、衣類に雑菌が付着していることが原因です。これは、付着した雑菌を取り除かないといけないので、つけおき洗いをしてください。

 桶やバケツに、40度くらいのお湯をためて洗剤を入れます。粉末タイプの洗剤は洗浄力が高くてオススメです。そこに酸素系漂白剤をプラスして、30分ほどつけてあげて、その後にいつものように洗濯をしてみてください。衣類の表示を確認してやってみてくださいね。

 また嫌なニオイを香りで隠そうと柔軟剤を多く入れる人もいますが、それが返って逆効果になる場合も多いです。香りで隠すのではなく、きちんと汚れを落とす。そうしなければ常に汚れやニオイの落ちない悪循環に陥ります。」

◆使う人によってベストな洗濯機は異なる

――洗濯機を買うときに、縦型・ドラム式などの型や種類で悩む人も多いと思うのですが、中村さん一押しの洗濯機などはありますか。

中村さん「この質問に関しては、洗う人の好みや生活・使い方による、とお答えしています。型に関して言えば、先ほどお話したように、縦型は多少衣類を詰め込んで洗っても、自分で水量等を調整して、洗濯することができます。普段着を、毎日たくさん洗いたい人に便利な型だと言えます。

 一方で、ドラム式は衣類を詰め込みすぎると効果が半減してしまいますが、少ない水で汚れを落とし、乾燥までできるという便利さがあります。洗濯をとにかくラクに終わらせたい人に向いています。

 どちらの型が優れているかというよりも、自分の生活にどちらがあっているか、と考えることが重要だと思います。種類についても、機能は違えど効果が大きく違うということはないので、自分の生活や好みに合わせて選ぶことが正解だと思っています。まずは、洗濯機を選ぶ前に、すすぎの回数や入れる衣類の量を見直して、きちんと汚れを流すことも見直してみてくださいね」

◆どの洗剤を使うかよりもどう使うかが大事

――洗剤もたくさん種類があり迷ってしまいます。こちらも一押しの洗剤などあれば教えてください。

中村さん「洗剤も同様に、『どの洗剤がいいですか?』とよく聞かれますが、これこそ洗う物による、と答えています。液体洗剤より粉末洗剤のほうが洗浄力が高い、などの違いはありますが、汚れ具合と素材にあわせて洗剤を選ぶことがとても大事です。メーカーやブランドよりも、まずは普段着用・オシャレ着用・強い汚れ用で洗剤を使い分けてみてください。」

――中村さんのご自宅には、たくさんの洗剤がありますが、どのように使い分けているのでしょうか。

中村さん「これは洗剤というより、洗剤の成分をそれぞれ別々にしたものです。汚れの強さや衣類の種類、仕上がりに合わせて、各成分を自分で調合して使っています。市販の洗剤は、このような調合があらかじめされています。そのため、あらゆる汚れに必要そうなな物が入っているのですが、逆に言うと、そこまで洗浄力が必要なくても、余分に入っている場合も多いのです。

 僕は、市販の洗剤を『鍋の素』に例えて説明するのですが、鍋を作るときに鍋の素を使えば、必要なものが全部入った鍋ができますよね。でも、自分の体調や好みに合わせた味ではない場合も多い。そのときの気分や体調にあわせて、自分好みの鍋を作りたいときは、出汁の量や入れる調味料を自分で考えて調理します。

 これと同じで、洗剤も自分好みの洗い上がりにするために、必要なものを組み合わせて洗っています」

◆洗濯する人の数だけ洗濯の方法がある

――写真に写っている洗濯機の並びが圧巻なのですが、これらの洗濯機はどのように使用しているのでしょうか。

中村さん「必要なものを全て揃えたら、この並びになりました。手前の二つは定番のドラム式と縦型で汚れ・衣類の量・乾燥の有無、洗うアイテムなどで使い分けています。その奥にあるのが二槽式です。

 二槽式は、自分の止めたいところで水を止めて水量が調節できるなど、水の量、回転、脱水すべてが意のまま操作できます。ただし、そのぶんつきっきりにならなくてはならず、毎日の洗濯での使用には現実的でない人も多いかもしれません。」

――奥の二つの洗濯機は、どのようなものでしょうか。

中村さん「奥の二つは、ドイツのミーレというメーカーのもので、乾燥機とドラム式です。僕が尊敬している洗濯機として揃えています。」

◆ジョブズが愛用した思想のある洗濯機を尊敬

――尊敬している洗濯機ですか?

中村さん「はい、ミーレについては、思想がある洗濯機だと思っていて、スティーブ・ジョブズも愛用していたそうです。素材や汚れに応じて、適した洗濯をするためのメニューがとても豊富で、水温も常温の水から90℃まで調整ができます。

 そのため、運転時間が長かったり作業が面倒だったりするのですが、そこにミーレの思想が詰まっていて、使い手の勝手よりも、衣類がいかに長持ちするか、という点を重視して作られているんです。腕のいいがんこ職人のような洗濯機です」

――時短重視で汚れをいかに落とすか、とは真逆の発想の洗濯機ですね。

中村さん「もちろん、汚れを落とすことは大事な視点ですが、ミーレのように、衣類を長く大切に使うために、衣類にあわせて衣類をいたわりながら洗濯をする、という考えも大事だと思っています。そして、自分や家族の仕上がりの好みや、衣類にあった洗濯方法が見つかると、洗濯はもっと楽しくなると思っています。人の数だけ洗濯の方法があると僕は考えています」

 洗濯といえば、いかに汚れが落ちるかというところに焦点を当ててしまい、洗濯機や洗剤のスペックありきで問題を解決させようと考えていましたが、そもそも手持ちの洗濯機の使いかたが大事であることを知りました。そして、汚れを落とす以外の観点で、洗濯をしてみるのも新しい視点です。

 仕上がりや衣類に合わせて洗い方や洗剤を変えてみると、毎日の洗濯に楽しさがプラスされるかもしれませんね。大事に洗うことで、大事に使うことにつながるように感じました。

【洗濯家・中村祐一】

長野県伊那市のクリーニング会社「芳洗舎」3代目。「洗濯から、セカイを変える」という信念のもと、2006年から「洗濯アドバイス」という分野を切り開いてきたパイオニア。「洗濯王子」の愛称で、テレビ・雑誌など各種メディアにも多数出演。

<文/瀧戸詠未>

【瀧戸詠未】

ライター/編集者。趣味は食べ歩き・飲み歩き。

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