花田優一の歌手デビュー曲、無難にうまいことの残念さ

女子SPA! / 2020年10月6日 8時45分

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「純青」プレスリリースより

 平成の大横綱・貴乃花光司(48)と元フジテレビアナウンサー・河野景子(55)の長男で、靴職人の花田優一(25)が9月27日に「純青」という曲で歌手デビューを果たしました。作詞、作曲はもちろん、MVも自らの手によるものだそう。

◆清水翔太かと思うほど上手いけど…

 これまでも本業の靴製作のほか、絵画の展覧会を開いたりと、マルチな活動を展開してきた花田さん。「本業っていうワードが最近嫌いになっていて」という発言のとおり、バラエティに富んだ表現活動を楽しんでいるようです。

 さて、いくら“本業”ではないとはいえ、作品がいったん世に出たら厳しい目にさらされるもの。というわけで、花田さん渾身の「純青」を聴いてみたところ、びっくりしてしまいました。これフツーにいい曲じゃん!! 音だけだったら、清水翔太(31)あたりと勘違いしてしまうほど。

 中高生カップルがTikTokのBGMに使うのにピッタリなバラードで、花田さんの歌も地味に上手い。熱く歌い上げるのではなく、サラッと流している感じがプロっぽい。詞と歌メロの絡み方も、少し字余りでリズム的に苦しくなりそうなところを、語尾の処理で回収しているので、目立った破綻がない。ひとまず、全体として“うた”になっているのではないでしょうか。欠点のなさが欠点と言いたくなるほど、文句がつけられないのです。

◆無難すぎて話題にならないのでは…?

 靴の納期が遅れているというトラブルが報じられていることから「注文を受けた靴すら納品できないくせに」と、手ぐすね引いて叩こうと待ちかまえていた人たちも、さぞかし肩すかしを食らったことでしょう。

 ただ、こんな見方もできないでしょうか。無難すぎて、かえって話題にならないんじゃないかと。いま、花田さんに求められているのは、どちらかというとヒール(悪役)的な振る舞いです。ボクシングの亀田三兄弟のように、一挙手一投足が視聴者の神経を逆なでするようなエンタテイメント。“作らない靴職人”という前衛的な存在の花田さんだからこそ、許される世界があったはずなのです。

 その点からすると、「純青」の仕上がりは、あまりにも品行方正になってしまいました。まるで、お月謝を払って作曲講座を受けた若者のように、マジメな音楽なのですね。

◆“世間が期待する花田優一像”とのズレ

 ここに、世間が期待する花田さん像との食い違いが生まれてしまったように感じるのです。簡単に言えば、「叩きたいのに叩けねーよ」と。かといって、大絶賛するほどの名曲でもないので、「お、おう…」と反応するしかなくなってしまう。こういうどっちつかずが、芸能界的には一番NGのはずなのですが……。

 それとも、そんなふうにうがった期待にガツガツ応えなきゃいけないほど、切羽詰まってもいないのかなぁ。フツーにいい曲、「純青」から漂うのは、ストレスフリーな呑気さなのでした。

<文/音楽批評・石黒隆之>

【石黒隆之】

音楽批評。カラオケの十八番は『誰より好きなのに』(古内東子)

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