ピルで100%避妊できる?性感染症は防げる?効果と副作用を医師に聞く
女子SPA! / 2021年1月2日 15時45分

画像はイメージです(以下同)
最近、避妊や生理痛改善のために「ピルがいいらしい」という話を、よく聞くようになりました。でも、大人の私たちでも、ピルの効果や副作用についてよく知らなかったりします。
というのも、日本人のピル内服率は海外よりかなり低いのです。ピル内服率はフランス33.1%、英国26.1%、米国13.7%、タイ19.6%といった割合なのに対して、日本は2.9%。(国連がまとめた Contraceptive Use by Method 2019)。海外では薬局で買える国が多いのに対して、日本は病院で処方されるので、まだ身近な存在になっていないんですね。
ピルに限らず、生理や妊娠や避妊、男女の体や性について、大人でも知識があやふやなことってありますよね。もし、娘・息子が10代になって質問されたら、答えられるかしら……。
いま、10代の心身の相談にのる「思春期外来」を設ける病院が増えています。たとえば上野皮フ科・婦人科クリニック(東京・台東区)では8年前から婦人科で「思春期外来」を行っていて、Q&A形式の著書『10代の[性の悩み] 白書』を上梓しました。大人が読んでも、「へーそうだったんだ!」という事実がたくさん。
そこで今回は、ピルについての基礎知識を教わりました。以下、解説は上野皮フ科・婦人科クリニック・思春期外来です。
◆ピルの効果と副作用とは
みなさんはピルについてどのような印象をお持ちでしょうか?
避妊のために使うもの、と思っている人が多いかもしれませんが、それだけではありません。まずはピルがどういうものなのかご説明しますね。
ピルとは、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲスチン)の2種類のホルモンが配合されていて、排卵を抑止する効果があるため避妊に対して非常に高い効果を発揮する薬です。
さらに避妊以外にも、生理周期が規則的になる、生理痛やPMS(月経前症候群)が軽くなる、貧血改善、ニキビや多毛症が改善する、子宮内膜症の痛みを軽減し病巣が小さくなる、卵巣がんや子宮体がんのリスク低下など、多くの効能が期待できます。
人によっては軽い吐き気や頭痛、倦怠感といった副作用が起こることもありますが、メリットのほうがはるかに多いですし、現在主流の低用量ピルはそもそも副作用が起きにくいよう作られています。
しかし、ピルを服用している女性はまれに血栓症が起こることがあります。血栓症とは血管内に血のかたまり(血栓)が詰まり、医療機関での早急な対応が必要となる危険な病気です。このように血栓症のような重大な副作用を伴う場合もありますので、服用するときは必ず病院を受診し、医師から説明を受けて処方してもらうようにしてください。
◆きっちり24時間おきに飲むことが大切
日本で処方されるピルはLEP(低用量ピル)とOC(経口避妊薬)の主に2種類。じつはこのふたつ、効能は一緒です。
ではなぜ2種類あるのかというと、保険適用ができるかどうかの違いなんです。保険診療で処方できるのがLEP、保険適用外となるのがOCです。
LEPは月経困難症や子宮内膜症などの診断を受けた人に、保険適用ができない避妊が目的の場合はOCを処方することが多いです。
ピルの使い方は、毎日飲むだけです。「飲むだけ」といっても、注意しないといけないのは、理想的な服用はきっちり24時間おきだということ。これがとても大事なんです!
例えば朝9時に飲み始めたら、翌日も朝9時に飲むのが正しい飲み方となります。初日は朝9時に、次の日は夜8時にとなると、理想的な服用とはいえず効果が低下してしまう可能性もありますので気をつけてください。
◆ピルでほぼ避妊できる、でも性感染症は防げません
さて、妊娠と性感染症を防ぐことができるのか、というご質問ですが、結論からいうと妊娠は高い確率で防ぐことができますが、性感染症は防げません。
ときどき、ピルを飲んでいればコンドームをつけなくても大丈夫かと聞かれることがあります。理想的な服用ができていた場合の妊娠率は0.3%というデータがあり、ゼロではないにしてもかなり低いことがわかります。しかし、人間なので飲み忘れることもありますし、飲めているつもりでも24時間おきでなければ理想的とはいえません。
◆ピルの飲み方が理想的でないと妊娠率9%
理想的な服用ができてない場合の妊娠率は9%なので、本当に妊娠したくないのであればコンドームを併用しましょう。
現在の日本では、保険適用外のOCも処方箋が必要です。LEPもOCも値段はそれほど変わらないですし、婦人科であればほかの手段で避妊をすることもできます。避妊をお考えの人はもちろん、ニキビやPMSなどの生理時の不調に悩んでいる人も、ぜひ一度ピルについて婦人科にご相談ください。
そしてピルを服用した結果、もし副作用の症状がつらかったり長く続いたりする場合も、病院に相談してくださいね。
<文/上野皮フ科・婦人科クリニック 女子SPA!編集部>
【上野皮フ科・婦人科クリニック】
皮膚科・小児皮膚科・形成外科・アレルギー科・美容皮膚科婦人科・婦人科検診を行っている。婦人科には、婦人科の受診が初めてだったり、恥ずかしかったり不安を感じたりする10代の女性を対象にした外来、思春期外来がある。そちらの担当女性医師によってまとめられた『10代の[性の悩み] 白書』を刊行。ほかに更年期外来などもある
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