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「流産の後、医師の一言に絶句した」励ましがつらいことも…南明奈さんの一件で考える

女子SPA! / 2021年7月7日 8時47分

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写真はイメージです(以下同じ)

 あなたは今まで、流産や死産を経験された身近な人と接した経験はありますか? 妊娠というおめでたい話題から一変、あまりに悲しい出来事に、言葉を失った方も多いかもしれません。

 6月8日、タレントの南明奈さんが死産したことを自身のインスタグラムで公表しました。

「私達夫婦に授かった命は、空へと戻りました」「約7ヶ月という時間でしたが、私達家族は幸せでした。皆様から頂いた祝福の言葉が子どもの生きた証です」とつづり、ネットを中心にさまざまな励ましやいたわりの声があふれました。

 これを受けて南明奈は6月23日までに「皆さんたくさんのメッセージありがとうございます。みんな読ませて頂きました」「皆さんからの言葉を支えに、夫婦2人笑顔で過ごしていきたいと思います」とインスタグラムに投稿しました。

 その一方で、周囲がよかれと思ってかけた言葉が当事者にとって新たな傷になってしまうこともあります。実は、筆者は1年半前に夫をガンで亡くし、グリーフ専門士(喪失体験を抱えた人をサポートする専門家)の勉強中です。

 流産や死産というつらい経験をした方やその家族と接したとき、どんな行動をしたり言葉をかけたりすればよいのでしょうか。

◆突然激しい腹痛がおき流産

 実際に、6年前に流産を経験したSさん(45歳)に、当時に感じた周囲の反応について聞いてみました。

「39歳のときに3人目を妊娠しました。そのときは『まだ私も産めるんだ』と、とても嬉しかったことを覚えています。小学生だった長男も喜んでくれて、次男の世話なども献身的にサポートしてくれました」(Sさん 以下カギカッコ内は同じ)

 しかし、8~9週頃、Sさんの体に異変が起こります。

「突然激しい腹痛に襲われました。結局翌日、大量に出血し、病院に行ったところ流産していました。心拍を確認していて、新しい生命に喜んでいた矢先だったので、放心状態でした。もう自分の中にはいないんだな、と思って」

 その時、医師に言われた言葉はSさんにとって忘れられない一言でした。

◆医師の言葉に絶句…

「次男の出産のときからずっとお世話になっていた先生だったのですが、『悲しい』と話したら『2人子どもいるのにまだ欲しかったの?』と言われたんです。

 先生は日々いろいろな方を診ているから流産には慣れていたのかもしれないですけど……そんなふうに思いながら診察されていたのかと思うと、なんだかとても残念で悲しくなりました」

 子どもは一人一人が唯一無二の存在で、きょうだいと比較したり、変わりになったりするものではありません。「他の子がいるじゃない」「また作ればいいよ」というような、失った子どもの存在をないがしろにするような発言は、相手を大変傷つけてしまいます。

 さらに、Sさんは家族との温度差も気になったと言います。

「当時まだ次男が小さかったので、次男を乗せたベビーカーを持ち上げたり、出産に向けて物を整理したりしていたのですが、そんな行動がいけなかったのかな、無理してたのかなと自分を責めていました。そんな中、夫は『仕方ないよね』とあっけらかんとしていて、その温度差がつらかったです」

 子どもを失ったという立場が同じ家族でも、当事者との考え方が異なることもあります。しかし、子どもを宿していた本人の悲しみや自責の念は想像している以上にとても深いもの。家族も相手の気持ちに寄り添うことを忘れてはいけません。

◆触れられないのも切なかった

 また、当時PTAの役員をしていたSさんは、今後の活動に影響が出る可能性があったため、すでに周囲に妊娠を報告。流産について話したときの周囲の反応を話してくれました。

「何も知らない状態で『調子どう?』と聞いてくれた方に『実はダメになっちゃったんだよね』と伝えると、『そうなんだ……』と言ったきり、その話題には一切触れてこない、といったことがよくありました。

 気持ちはとても分かるのですが、触れられないと妊娠自体がなかったことになってしまうようで、むしろ切なく感じましたね。自分からも話せなくなってしまいますし。

 仲の良い人は『あれから体調大丈夫?』と聞いてくれて、その温かさが嬉しかったです。話題を避けられるよりも、体調について触れてもらったり、心配してくれたりしてもらう方が、嬉しかったですね」

◆「次があるよ」はつらい

 とはいえ、流産した直後は事実を受け止め、その悲しみに向き合えるまでには時間がかかります。期間には個人差があるため、「数か月経ったから大丈夫」というものでもありません。Sさんの場合も、話せるようになるまで時間が必要でした。

「しばらくは自分から言うのは嫌でした。“今”に立ち止まってしまって、未来のことなんて考えられないので、『次があるよ』とか言われたりしたらつらいですね。

 でも時間が経つと、だんだん話せるようになります。本人から話したときは、聞いてほしいときかもしれないので、『大変だったね』と気持ちに寄り添ってもらえるといいなと思います。私が特に嬉しかったのは、お守りを買ってきてくれたときや、子どものお迎えを手助けしてくれたとき。相手を想ってしてくれた行動は、伝わりますよね」

◆相手の悲しみに寄り添うことが大切

 基本的に、大切な人を失った経験をされた方と接したときは、悲しみに寄り添い、「食事はとれてる?」「眠れている?」といった声かけをすると、相手に温かみを感じてもらいやすいです。

 Sさんは経験がなかったようですが、励ましのために自分の経験を話してくれた場合に「そんなのまだまだ」「私なんて3回も……」といった言い方もNG。悲しみの比べ合いはかえって悲しみが倍増してしまいます。

 そもそも子どもという存在を失うことは、さまざまな喪失感覚に襲われます。

 親と子どもは全く別物の生体ですが、精神的・感覚的には分身のように感じている人もいます。自分の分身を失ったような悲しみに苦しむことがあります。

 また、子どもの存在で未来に期待や夢を描いている人は、その輝かしい将来を奪われることになります。子どもがいるからつらいことも乗り越えられた、ということもあるでしょう。その精神的支えを失い、失望感に駆られてしまいます。

「愛する者を親として守れなかった」という挫折感も、子どもを失うことで体験することがある感覚です。自分の無力さに苦しむことも少なくありません。

 さらに、流産・死産といったケースになると、精神的なダメージだけでなく、肉体的な負担も伴います。そして自分の身体に何が起きたのか、自分が原因なのではないかと考え、強い罪悪感にさいなまれてしまいます。

 事情を言わない限りは周囲にも気づかれにくいため、その悲しみを当事者だけで抱えがちに。次第に精神的に孤立してしまうこともあるので、その後の家族や周囲のケアが大切です。

 まずは、何か特別なことを言おうとするのではなく、相手の悲しみに寄り添うことが大切なのです。

<文/関由佳>

【関由佳】

筆跡アナリストで心理カウンセラー、カラーセラピストの資格も持つ。

芸能人の筆跡分析のコラムを執筆し、『村上マヨネーズのツッコませて頂きます!』(関西テレビ)などのテレビ出演も。

夫との死別経験から、現在グリーフ専門士の資格を習得中。

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