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草彅剛『罠の戦争』強烈すぎたセリフの意図は?『エルピス』の骨太ぶりと振り返る

女子SPA! / 2023年3月29日 17時48分

 もはや現在の国民の政治に対する意識は、鶴巻の認識さえも大きく下回っているように感じる。日本国民として羞恥を覚えるシーンでもあった。

◆「この国の司法は正しく機能していない。すでに危機なんです」

 次に『エルピス』。無実の男性に連続殺人の罪を被せるよう指示した黒幕は、副総理の大門(山路和弘)だった。彼のスキャンダルをニュース番組内で報じようと計画している浅川に、大門と“仲の良い”齊藤(鈴木亮平)が放ったのが次のセリフだ。

「国の副総理大臣が強姦事件をもみ消し、被害者が自殺した。君が今夜そのニュースを報じれば望み通り大門は失脚する。しかし、事はそれでは終わらない。政界全体にもまた最大規模の激震が走る。内閣総辞職どころか政権交代もありうる。今これほど世界情勢が緊迫している状況でそんな事態に陥ることが、どれほど危ういことか君にも想像がつくはずだ。国政も司法も混乱を免れない」

 正しいことを言っている風ではあるが、「政権維持の前では一市民の強姦被害や自殺なんて小さな問題だ」と言わんばかりの頓珍漢(とんちんかん)な言い分でしかない。ただ、浅川は「確かに影響は計り知れない。でもどれも紛れもない真実なんです」と反論。「この国の司法は正しく機能していない。すでに危機なんです」と矛盾点を突き、救われた気持ちになった。



◆今後のカンテレドラマにも期待したくなる

 鶴巻も齊藤もどちらも角度は違うが、長期政権を肯定するようなセリフではある。ただ、それらは「長期政権がいかに政治を歪ませるのか」を伺えるものでしかなかった。

 『罠の戦争』は『エルピス』よりもエンタメ寄りな印象だった。『罠の戦争』の次回、つまりは最終回は鷲津の行方、登場人物の心理描写がメインになることが予想される。もう鶴巻が発した以上のパンチラインは見られないかもしれない。しかし、ここへ来て政治的なメッセージを込めたセリフが飛び出し、制作側の思いを勝手に感じた。最終回を控えている『罠の戦争』はもちろん、今後のカンテレドラマにも期待したくなる。

<文/望月悠木>

【望月悠木】

フリーライター。主に政治経済、社会問題に関する記事の執筆を手がける。今、知るべき情報を多くの人に届けるため、日々活動を続けている。Twitter:@mochizukiyuuki

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