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DVで妻子が家出しても「俺は間違ってない」と怒る夫。ある日“上司の言葉”で目が覚めた<漫画>

女子SPA! / 2024年5月29日 8時46分

 自分一人のせいではないとしても、その傷つきには自分自身が責任を引き受けなければならない。不条理だと思うのです。もちろん被害者の傷つきを考えれば、被害者の方が不条理だし、苦しんできていると言うのは大前提なのですが。

 この社会において被害者支援の言葉がたくさんあるからこそ、僕は加害者の希望、加害者の生きる理由、加害者の償いの仕方、加害者が生きていて良い理路、それらをメッセージとして社会に発信したかったのです。逆の言い方をすれば「加害者は、死ねば、不幸そうに俯いていれば、許されるということさえない」という、あまりにも厳しいメッセージでもあるのかもしれません。

 加害者は、自分のことも他人のことも大切にできるような人間関係を作る責任を持っています。たとえ、必ずしも直接被害者の方から許されたり、関係の継続をしてもらえたりはしないとしてもです。パートナーシップ以外でも、自他を大切にできる人間関係を通してケアを交換しあい、この社会を生きやすいものにし、自分と同じような加害者をこの社会から減らしていき、未来世代が生きやすいようにしていく。そして、そのような関係を生きる時、加害者自身も生きやすくなっている。そんなふうに生きていく責任を加害者は持っていて、それは可能であるということを、僕は発信していきたいと思っています。

漫画・龍たまこさん(以下、龍):「人は学び変わることが出来る」という一点に尽きます。人は間違える。だけど、そのたびに学びなおせばいい。「自分も他者も大切にする生き方」を知れば、変わることが出来る。それはわたしにとっても希望だし、多くの人にとって希望になるのではないかと思っています。

◆二度と妻子に会えなくなった“上司”の言葉

――だんだんと変わっていく翔、翔の変化を戸惑い恐れながらも感じていく彩や娘の柚。翔の変化のきっかけとなった会社の上司や後輩、そして両親……。多くの人が登場しながら話は進んでいきますが、お二人の中で印象に残っている、好きなエピソードはどの場面でしょうか。

中川:僕は130ページで上司の鳥羽さんが「それが子どもと話した最後になるかな」と言う場面です。GADHAには、鳥羽さんのような人がたくさんいます。加害を自覚して、変わろうとしたし、今も変わろうとしているけれども、もうパートナーからもお子さんからも関係を断絶されているケースです。

 僕は、そのような状況の人の話を聞くと本当に胸が苦しくなります。1つには加害者のその苦しみに、そしてそれ以上に、関係を断絶するしかないと思うに至るまでに傷ついてきたパートナーやお子さんのことを思うからです。そういう人の中には、もはや加害者変容をする意味がないではないかと思う人もいます。そう思う気持ちは自然なことだと思います。変わったって何したって、意味ない。自分は一人で孤独に死んでいくんだ、と。腐る気持ちもわかります。

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