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“激辛”で死亡事故も。子どもに辛いものを出す前に必ず確認しておきたい3つの事実

女子SPA! / 2024年5月24日 8時46分

 唐辛子の辛み成分「カプサイシン」は脂溶性(油に溶けやすい性質)の物質なので、口の中に入ると舌の組織内部まで浸透してきます。つまり、唐辛子料理を食べた後に急いで水を飲んで舌の表面を洗っても辛味はおさまりません。

 生まれた瞬間からトウガラシを好む赤ちゃんはほとんどいません。どの国においても親が少量から少しずつ増やしていくか、辛いものが苦手な子どもには強制をしないというのが慣習になっています。

 それでは大人が辛い食べ物を与えるタイミングを検討するために、次のポイントに移りましょう。子どもの神経回路は何歳頃までに完成するのでしょうか?

◆②脳の神経回路は12歳頃にほぼ完成する

 東京都教育委員会が発行している手引き(※1)によれば、脳は出生直後から急激に発育し、4~5歳までに成人の80%程度までにも重量を増やし、6歳で90%、 12 歳頃にほぼ100%まで発達します。

 この時期には神経系の発達が著しく、脳をはじめとしてさまざまな神経回路が作られる大切な時期ですから、神経回路に適切な刺激を与えて、脳をしっかり育てることが大切です。

 辛い食べ物を刺激と考えてみると分かりやすいでしょう。どのタイミングで与えていくべきかの判断材料の一つとして知っておいて損はありません。

※1 参照…東京都教育委員会「脳と心の発達メカニズム~五感の刺激の大切さ」

◆③子どもの消化機能は未熟。消化不良を起こす可能性も

 国立健康・栄養研究所によれば、小児(生まれた直後の新生児から、乳児期、幼児期を経て学童期を終わるまでの時期)の摂取能力や消化・吸収機能は発達中であり、成人に比べて未熟であることがわかっています(※)。つまり食物の過剰・不適切な与え方は消化不良を起こす可能性があるということ。

 また消化能力については、糖質の消化酵素は4歳で大人なみになるものの、胃、小腸、大腸などの機能においては未熟です。このことからも、焦って辛いものを与えすぎることのリスクは決して軽視してはいけないと考えることができるでしょう。

 子どもの食事を考えるにあたり、万全の注意を払う姿勢に無駄はありません。ちなみに辛さの感受性については個人差があり、辛さに強いかどうかは遺伝子の違いが関係している可能性も指摘されています。

 子どものみならず大人に対しても辛いものが苦手な人に無理強いするのは控えた方がよいでしょう。

 ちなみに大人が辛いものを好んで食べるようになる理由もおおよそ明らかになっていますので、その話はまた別の機会に……。

※2 参照…国立健康・栄養研究所「ニュース・Q&Aコーナー – 楽しい健康栄養談話室」

<文・撮影/スギアカツキ>

【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12

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