「父を絶対に許さない」 子どもの頃に別れた毒親をSNSで見かけた娘。消えない心の傷の連鎖とは<漫画>
女子SPA! / 2024年6月8日 15時45分
憤怒の表情しか記憶にない毒親の父が、友人知人に囲まれて穏やかに笑っている、その写真を眺めながら、「毒親」が「普通のおじいさん」になるまでの人生を慮(おもんばか)るのです。
それでも、奈月は父を許しません。どこか遠くで、お互い知らない場所で、それぞれが幸せになればいい。痛みは、時間がたてば、もしかしたら少しずつ癒えるでしょう。でも、傷は永遠に消えないのです。
だから、被害者は加害者を、許さなくていい。加害者は被害者に、許してほしいなどと懇願してはいけないのです。その意思がすでに、被害者をコントロールすることなのだから。
◆それでも、ひとりじゃない
本書には加害者と被害者、両方の立場から物語が進んでいきます。親というのは子供にとっては絶対的な存在で、どうしたって子供のほうが弱者です。
子供の頃に受けた傷は、想像を絶するほど大きく、悲しいものです。被害者として、傷を持って生きるのは容易ではない、でも頼るべき人もいて、人は孤独ではない。
加害者にもまた、変われるチャンスがある。
本書にある「救い」は、必ず誰かの励みになるはずです。
<文/森美樹>
【森美樹】
小説家、タロット占い師。第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『私の裸』、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)、『わたしのいけない世界』(祥伝社)を上梓。東京タワーにてタロット占い鑑定を行っている。X:@morimikixxx
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