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『不適切にも』ヤンキー女子で注目の若手ナンバーワン俳優、次に薬物中毒を演じた“媚びない”凄みとは

女子SPA! / 2024年6月15日 15時44分

監督の力もあるとは思うが、河合優実は自我を捨て、他者の気持ちに寄り添える稀有な俳優なのだと思う。だからこそ『不適切にもほどがある!』の80年代ヤンキー女子という、00年代生まれの河合にはまるで接点のなさそうな役をあれほど見事に演じて、80年代カルチャーを愛した視聴者からも強く支持されたのではないだろうか。

◆媚びない雰囲なのに強烈なパワー

河合優実は、瞳に媚がない。上まぶたに力を入れまくることなく、むしろ伏し目がち。口角もやや下がり気味で愛想笑いもしない印象がある。にもかかわらず多くの人が彼女に引き込まれてしまう。

『不適切〜』では70年代の山口百恵や80年代の中森明菜や原田知世を彷彿(ほうふつ)とさせ、さらに髪型は松田聖子。そういうアイコン全部盛りみたいな役を粛々(しゅくしゅく)と演じる姿もまた、80年代を供養する行為のようにも見えた。

『僕らの時代』によれば、河合優実は、十代のとき、学校で人気者だった(同性に憧れられていた)そうだ。演劇やダンスなどあらゆる催しに率先して参加していたとか。

媚びない雰囲気ながら、彼女に強烈なパワーを感じるのはポテンシャルゆえに違いない。実力や信念があれば媚びる必要はないのだ。純粋に毅然(きぜん)としたところが魅力なのだと思う。

河合優実が大学入学と同時に事務所に所属し、2022年頃、何作か映画に出演したとき、映画ライターたちは一斉に彼女に注目していた。だから『不適切にもほどがある!』でテレビの世界でも注目されたとき映画ライターたちはその評価は当然と思うと同時に、俺たちの河合優実が広い世界に出ていってしまったといささかさみしくも思ったのではないだろうか。

カンヌ映画祭をきっかけに日本のみならず広い世界に飛んでいってしまうかもしれない。

©2023『あんのこと』製作委員会

<文/木俣冬>

【木俣冬】
フリーライター。ドラマ、映画、演劇などエンタメ作品に関するルポルタージュ、インタビュー、レビューなどを執筆。ノベライズも手がける。『ネットと朝ドラ』『みんなの朝ドラ』など著書多数、蜷川幸雄『身体的物語論』の企画構成など。Twitter:@kamitonami

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