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お金に困って“子宮を売り渡した”貧困女性と、買った夫婦の“息が詰まるような罪悪感”。代理母出産をめぐるドラマの結末は

女子SPA! / 2024年7月2日 15時46分

 ところが悠子は三度流産したあと、もう子どもはむずかしいと言われてしまう。だが基はあきらめきれない。そこでアメリカの生殖医療専門クリニックの日本エージェントに登録し、紹介してもらったのがリキというわけだ。

 リキは1千万円という報酬をもらい、代理母になる決意を固める。とにかく今の状況から抜け出したかったのだろう。アパートの自転車置き場で、怒鳴り散らす変なオヤジにからまれ続け、節約のためランチさえまっとうに食べられない。もうじき30歳、お先真っ暗な現状から、どんな手を使っても抜け出したい。人工授精で子どもを授かれば、今の困窮生活から逃れられる。彼女はそう考えた。基と悠子は書類上、離婚し、リキは基と婚姻届を出した。子どもを産んだらすぐに離婚して、基と悠子は再度、婚姻届を出す。そういう手はずになっていた。

◆妊娠したが、依頼者の子どもかどうか分からない

 前金が振り込まれた。だが人工授精をする数日前、彼女は実家に戻り、以前の不倫相手に会ってホテルに行ってしまう。それは基が、地元に帰るなら連絡くらいすべきだとか、日常生活における細々とした注意を書き送ってきたのが原因だった。自分の自由を侵される恐怖と怒りから、彼女は元不倫相手と寝たのだ。さらに東京に戻ってから、今度は、代理母になると決めたとき、どうしても気持ちいいセックスがしたくなって女性用風俗で買い、そのまま友だちになったダイキとも寝てしまう。リキの心の中には、「生殖のために買われる」ことへの違和感がつきまとっていたのだろう。

 人工授精の結果、妊娠したが、リキは「おそらく基の子だ」と思いながらも不安が拭いきれず、基の妻の悠子にすべてを打ち明ける。悠子はそもそも、代理母には前向きではなかった。だが自分が原因で基夫婦を離婚させたこと、不妊も自分が原因であることなどから、どうしても反対ができなかった。リキが妊娠したと聞いたとき、悠子は「自分の存在って何?」と衝撃を受ける。夫の子ではあるが、自分の子ではないのだ。それでも夫の子を育てていけるなら、夫が喜ぶならと受け入れた。だが、リキは、他の男の子である可能性もあるというのだ。悠子はその話を夫にすることができなかった。

◆子どもは誰のもの? 人の心は契約では縛れない

 リキはひどいつわりに苦しむ。子どもは男女の双子だった。悠子は「産めなかった自分」がつらくてたまらない。自分が蚊帳の外に置かれているようで、孤独感に苛まれる。そしてついに秘密を抱えきれず、リキの子が他の男の子である可能性もあると夫に告げる。

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