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39歳になった山下智久がもっと評価されるべき理由。主演作からわかる“到達した境地”とは

女子SPA! / 2024年7月3日 15時46分

 筋骨隆々な山下が脱ぐのは、もはやサービスショットを超えた署名のようなものなのだが、スマートな演技一本勝負で、新たに署名を書き換えたかのような本作の山下智久が、どこまでも清々しく写る。

◆山Pがちょっと顔を覗かせてくれた 

 こうして新たな署名を得た山下は、ぼくらが親しみを込めて呼ぶ山Pと同一人物でありながら、でも今までとはまるっきり異次元の存在になった気がする。

 史上最大規模の台風が関東圏で猛威をふるう最終話を見るとどうだろう? 意外過ぎるほどあっさりしている。人命救助を題材とする民放テレビドラマなら、劇的にエモーショナルでもっと大味な大団円を迎えてもおかしくない。

 にも関わらず、本作では災害現場で窮地に陥る綾を全力で救出するクライマックスでさえも大袈裟な演出が明らかに控えめになっている。現場で指揮をとる晴原は基本的にパソコン画面に向かって解析を行い、常に冷静。闇雲に現場を走り回る姿はどこにも見られない。

 晴原の透徹した眼差しは、山下にとって海外ドラマ初主演となった『神の雫/Drops of God』(Hulu、2023年)の遠峰一青がどんな銘柄のワインも嗅ぎ分ける瞬間の表情と酷似する。近作を通じて山下智久は、今、研ぎ澄まされた感覚の境地へ到達したように思う。

 そんな境地を目指してまだがむしゃらだった時代。バスを追いかけて猛ダッシュしていた山下の代表作、『ブザー・ビート~崖っぷちのヒーロー~』(フジテレビ、2009年)の頃が懐かしい。

『ブルーモーメント』ではほとんどダッシュしないけど、明日に向かって爽やかに駆け出していく晴原がラストのワンショットになったのは、やっぱりぼくらが知ってる山Pがちょっと顔を覗かせてくれたから?

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu

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