朝ドラ『虎に翼』俳優たちが民放新ドラマに集結で話題。31歳俳優が胡散臭くてもやけにイケてる

　ともあれ、期待値はさらに高まる。するとちゃんと仲野が視聴者を第1話冒頭から魅了してくれる。享と彼の父・高峰啓三（生瀬勝久）が、院内で朝食をとる場面。濃紺シャツをパリッと着こなす仲野が何だかやけにカッコいい……。

◆過去最高にイケてる瞬間

『虎に翼』の優三役が周囲を和ませるためにおどけ倒していたように、仲野は基本的に三枚目が似合う俳優だと思う。もちろん本人は二枚目だが、そこはあえて三枚目に寄せながら、ときにちょっとだけ二枚目にもなったり。

　微調整を繰り返す揺れ動き方が仲野の演技の特徴なのだが、『新宿野戦病院』の朝食場面での彼は、胡散臭い美容皮膚科医というコミカルな役柄自体は完全に三枚目、でもはっきり二枚目感を打ち出してもいる。

　前夜に担ぎ込まれてきた謎の元軍医・ヨウコ・ニシ・フリーマン（小池栄子）が目を覚ましたと聞いて「あの野郎」と動き出した瞬間、二枚目モードがバチッと入ったような気がした。それは、仲野太賀が過去最高にイケてる瞬間だと思う。

◆仲野太賀・第3期の幕開け

　仲野太賀、31歳。俳優としてほんとうに脂がのってきた頃合い。2019年、太賀から仲野太賀への改名のタイミングが第2期だったとするなら、『虎に翼』を経た『新宿野戦病院』は、新たに第3期として区分出来る。

　三枚目成分を煎じ詰めて飲み干したような二枚目の時期とでも言えばいいだろうか？ 二枚目と三枚目をうまく使い分けながら、過去一イケてる仲野の姿は、第3期の幕開けに相応しい。

　公式サイトによると7月17日放送の第3話では、病院の権利を狙う啓三と結託して、享は月曜日限定の美容整形クリニックを開業する。啓三の財力を駆使して派手な宣伝。歌舞伎町らしいアピールポイントなのか、ホストクラブに体験入店まで。今の仲野太賀にはこれくらいぶっ飛んだ役柄がちょうどいいのかもしれない。

＜文／加賀谷健＞

【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter：@1895cu