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朝ドラ『虎に翼』34歳俳優の“表情の読めなさ”が気味悪い…アカデミー賞ノミネート作でも発揮していた狂気

女子SPA! / 2024年7月19日 8時45分

 寅子の心の声を代弁する尾野真千子のナレーションが思わず、「相変わらず、いろいろと読めない」とつぶやく。新潟の自動車の交通事件について三条支部分の資料をまとめてもらうために会いに来たのだが、寅子が新潟に赴任したから、ちょっと顔を見に来た感じもある。どこまでも「読めない」人だ。

◆いつから謎めいた俳優になったのか?

 航一の考えていることが「読めない」だけでなく、岡田の演技自体も次にどう来るのか、予測するのが容易でない。あの独特な会話の間合いによって、視聴者をいちいちはぐらかしてくるような演技。

 でもそれがやたら心地よく感じてしまう。もっともっとはぐらかしてくれ、岡田君。みたいな感じで。いつからこんなに謎めいた演技をする俳優になったのだろう?

 彼の演技が明らかな変節を迎えたのは、第96回アカデミー賞で作品賞にノミネートされた濱口竜介監督作『ドライブ・マイ・カー』(2021年)からだ。同作で、西島秀俊扮する演出家・家福悠介の舞台に出演する人気俳優・高槻耕史を演じた。

 一見、さわやかなイケメン俳優という感じだが、車内での長い会話場面では、いきなりこの世の者とは思えない顔をのぞかせ、観客の背筋を凍りつかせた。この人、何かしでかすに違いない。そう思わせる狂気を全身にまとっていた。

◆発酵過程の演技を待つこと

 高槻の行動は、観客の想像を遥かに超えるものだった。以来、岡田の演技に目まぐるしいケミストリーが生じている。特に『虎に翼』では、岡田の演技がどんどん発酵してる感じがする。

 ここからどんな味わい深い演技が醸されるのか。航一役を見つめるということは、岡田の発酵過程の演技をじっくり待つことでもある。あるいは、寅子と再会するごとに、いちいち謎の空気感を漂わせながらも、その都度核心部分に迫るワードを吐く航一の言葉を待つことが、とても重要。

 第78回、気まずい関係が続く娘・佐田優未(竹澤咲子)に戦病死した夫・佐田優三(仲野太賀)の思い出話をうまく教えてあげられない寅子が泣き明かした翌朝。支部長室にやって来た航一が、寅子に、「昨夜、泣きましたか?」と聞く。

 そこへどかどか入ってきた弁護士・杉田次郎(田口浩正)からちょっとした貢ぎ物(弁当)を渡され、航一はひたすら「結構です」と頑なな涼しさで言う。同地の古い慣習(悪習)について寅子に気づかせようとサインを送るように見える。待てば待っただけ、それ相応の回答めいたものを提示してくる。

 発酵を続ける岡田将生の身体を借りて、大切な言葉を漏れ聞かせようとする航一のその言葉に傾聴しよう。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu

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