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夜の顔は“人気SM嬢”のNPO代表…28歳女優がここまでハマる理由。話題の新ドラマでみせた“説得力”の正体

女子SPA! / 2024年7月24日 15時46分

◆作品世界の外の橋本愛

「私にとってこの社会は平等じゃないから」

 とても切実なフレーズ。社会の中で弱い立場に置かれる人々を常に描いてきた脚本家・宮藤官九郎のテーマ性が集約されている。そしてそれが橋本愛の口から発せられることが重要。

 風俗嬢の金銭トラブルや難民申請のサポートまで、無料相談で支援する舞はソーシャルな人物だが、作品世界の外の橋本愛も社会に対して意識的な態度の人だ。そのことがはっきり打ち出されたのは、2023年、橋本が自身のInstagramのストーリー上で、トランスジェンダー女性の公共施設利用に言及して、「そういった場所では体の性に合わせて区分する方がベターかなと思っています」と発言し物議をかもしたとき。

 この発言に対して橋本は、謝意を込めた文を再投稿。自分の認識不足を正直に謝り、芸能人による問題発言後の対応としては理想的というか、まともな態度に写った。しかもそれで済まさないところが、橋本愛という人。

『週刊文春』での連載「私の読書日記」でコラム「われらはすでに共にある」を掲載。文頭、「私がこれから記述する、極めて短期間で学んだ知識、表現、言葉には、依然として理解の足りていない内容が含まれる恐れが十分ある」と丁寧にエクスキューズしながら、Instagram上での発言からこのコラム掲載までの間に、できるだけ理解を深め、問題提起とともに、この先も現在進行形でアップデートすることを表明した。

◆清濁ないまぜの現実

 実際の橋本愛自身が、これだけソーシャルな態度の人だからこそ、『新宿野戦病院』の南舞役は、作品世界内だけでなく、現実感覚としても意義深くなる。しっかり背骨のある社会性を背負うなんて、日本のエンタメ界では、ほんとうに稀有な存在だ。

 ソーシャルであるということは、享が言うように、「キレイ事じゃ済まない」側面もあることを舞はしっかり明示してもいる。彼女には支援スタッフとは別にもうひとつの顔があるのだ。最初に気づいたのは、聖まごころ病院に出入りする警察官・岡本勇太(濱田岳)。

 第2話、パトロール中の勇太は、歌舞伎町の一角のラブホテルにサングラスをかけた派手な格好の舞と続いて中年男性が入って行くところを撮影する。彼女が実はSMクラブの人気キャストであることを突き止め、第3話、舞に問いただす場面では、本人はあっさり事実を認める。

「薄汚い中年男性しばいて稼いだお金で弱い立場の人々に寄り添ってます。いけませんか?」とすさまじい早口。それが歌舞伎町という都市空間の片隅にある、清濁ないまぜの現実であることを本作の橋本愛は、痛烈に教えてくれている。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu

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