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パリコレを目指し挫折も…56歳俳優が“圧倒的な存在感”を発揮できるまでになったワケ

女子SPA! / 2024年7月26日 15時46分

 大沢が訪れたのは、ロンドン。1980年代、モデルだった大沢は大学3年生でパリコレを目指していた。「ちっちゃい頃にいつか仕事を自分が何かをするときに世界の人と戦うような仕事がいいなと思ったんですよね」と話すが、モデル時代はオーディションで挫折を経験していた。

 1990年代、俳優転向後は、『若者のすべて』(フジテレビ、1994年)など、話題のテレビドラマに出演するが、日本人俳優として世界に挑み続ける気持ちに変わりはなかった。

 2018年、ミュージカル『王様と私』ロンドン公演で、クララホム首相役を得た。世界が注目する大役である。同ミュージカル出演は、ちょうど『キングダム』の撮影時期。『行列ができる相談所』にスタジオ出演した高嶋政宏が、当時の大沢が「ちょっとやってきますよ」程度に言っていたエピソードを紹介した。

 世界を目指す中で苦い挫折も経験し、やっと回って来た大チャンスに対して、この軽快さなのだ。努力を見せびらかしたり、変に勢い込むことがない。常にさらっとしたスタイルの大沢たかおにしか表現できないものがある。

◆現代の映画体験最大の贅沢

 シリーズ第3作『キングダム 運命の炎』(2023年)では、敵国・趙に攻め込まれた秦国がピンチになる。そこへ召喚されたのが、王騎。呼び寄せたのは、秦軍総司令・昌平君(玉木宏)。

 玉木宏が出演する配信ドラマ『沈黙の艦隊 シーズン1~東京湾大海戦~』(Amazon Prime Video、2024年)では、原子力潜水艦を乗っ取り、独立国家を宣言する艦長・海江田四郎を大沢が演じ、主演と製作を兼務した。

 海江田の元部下・深町洋を玉木が演じ、ふたりとも海上自衛隊の制服がよく似合う。力強い役柄のときにあえてさわやかな要素を導入するのが、制服の白色だった。そんな共演経験があるふたりが、秦国軍の中枢を担う役ですでに手合わせしていたのだった。

 熱い共演相手(玉木)から呼び込まれた大沢のクリアな発声が、咸陽の宮殿中に響く。広い空間内に行き渡るこの神秘的な残響音を映画館で聞くことは、現代の映画体験最大の贅沢のひとつ。

 1927年に『ジャズ・シンガー』が公開され、有声映画の時代が到来して以来、映画芸術は音とともに深化した。オーソン・ウェルズによる『市民ケーン』(1941年)は、大空間に俳優の声が響く画期的な作品だったが、そうした映画の音響的歴史を王騎役の大沢からも噛みしめられるのだ。

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