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「僕、男です」女装も男装も楽しむ“ジェンダーフリー男子”に挑む24歳俳優の”天性の可愛さ“

女子SPA! / 2024年7月30日 8時46分

『恋い焦れ歌え』(2022年)の熊坂出監督によるホラー・テイストの演出が、悠久の歪んだ精神をかなり誇張しながら執拗に描く。意思決定のすべてを彼氏に委ねてきた美紅が、自分らしさに目覚め、女性として解放されていく物語自体はやや今さら感もある。

 でも導き手になるイヴの自由な魅力は、(あくまでビジュアル面で)トランスジェンダー女性の日常を活写した『女子的生活』(NHK総合、2018年)の志尊淳以来の可憐な風通しの良さを感じる。

◆ガーリーとメンズ両方の魅力

 頭上からクレンジングオイルを浴びせられ、赤いリップはすぐに捨てろと命じられる美紅だが、明くる日、またイヴをたずねてカフェに行く。入り口で躊躇していると、後ろから「お姉さん!」と快活な声でイヴが。

 イヴの恰好を見て、同一人物だと思えない。するとイヴが、「今日はメンズスタイルなんだ」とさりげなく説明する。ガーリーなスタイルとメンズスタイルを違和感なく、実にすっきりとスタイリッシュに着こなせるのが、木村慧人という人だ。

 メイク監修が井出上漠というのも見逃せない。2018年にジュノン・スーパーボーイ・コンテストでファイナリストに選ばれ、“可愛すぎるジュノンボーイ”としてジェンダーフリーな魅力が話題になった人物である。

 イヴ役を演じる木村から、ガーリーとメンズ両方の魅力を引き出すのも流石の手腕だ。

◆“パフォーマー兼俳優”として

 木村は、『ホームレス中学生』(2008年)などの名匠・古厩智之監督が演出を担当した傑作BLドラマ『飴色パラドックス』で、山中柔太朗扮する週刊誌カメラマンと恋仲になる記者を演じた。第3話の濃密な車内場面など、官能ゆらめく同作で練磨された可憐な演技が、『顔に泥を塗る』のイヴ役でより具体的に粒立ち、可愛さそのものが結晶化する。

 堀田茜主演の『好きなオトコと別れたい』(テレビ東京、2024年)では、折り目正しく猛アタックする後輩キャラを演じ、着実に演技の幅を広げている。そもそも木村は、FANTASTICS from EXILE TRIBEのパフォーマーとして、Jr.EXILE世代に区分され、LDHの次世代を担っている。

 FANTASTICSがヒット歌謡をカバーする舞台『BACK TO THE MEMORIES』でも、パフォーマンス以外に女性役で演技していた。イヴ役とは違い、甲高い声のぶりっ子キャラで終始おどけていたが、絶妙なギャグセンスでこれまた可愛かった。いずれにしろ、演技のポテンシャルがかなり高く、LDH所属の“パフォーマー兼俳優”としての存在感を強めている。

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