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SNSでも論争勃発。朝ドラ『虎に翼』航一と寅子は“良い夫婦”になるのか

女子SPA! / 2024年7月27日 8時45分

 さかのぼること、第7週第31回。一度はいいなずけの仲になりかけた人、明律大学の学友・花岡悟(岩田剛典)とレストランで食事をしたあとだった。赴任先まで一緒について来てほしかったが、ジレンマの中で口ごもってしまう花岡の去り際。

 いつも紳士然としていた花岡が帽子を被る。ただ黙って右手をあげて、寅子に別れを告げる。花岡にしろ、航一にしろ、帽子を手に持ち、それ被った男性たちは、必ず寅子に静かに背を向ける。

 ただ、航一の場合は、花岡と違う。静かだけれど、どこか温かなものを徐々ににじませ始めている。実際、第79回以降の航一は、自然と笑顔になる率がグンと上がっている。

◆岡田将生の微笑み

 第80回、航一は寅子を元気づけようと、行きつけの喫茶店に行かないかと提案する。初めての誘いだ。寅子は、「あら」と大はしゃぎで喜ぶ。毎週水曜日だけ、新潟地方裁判所刑事部の事件を担当することになった寅子は、初出勤のお昼に約束の喫茶店に連れて行ってもらう。

 そこで再会したのが、男爵家の令嬢で学友だった桜川涼子(桜井ユキ)。入口で、寅子と涼子に挟まれて、航一は薄っすら微笑みを浮かべている。ちょっとした誘いに過ぎなかったが、妙な引力で旧友との再会を引き寄せた。

 店内での航一は基本的に黙っている。カウンター席に寅子と並んで座り、看板メニューのハヤシライスが運ばれて来て嬉しそうな顔をする。カメラは、画面の上手で最高に輝く岡田将生の微笑みを決して逃さない。

 長官室や支部長室など、寅子と航一はいつも対面して向かい合ってばかりいた。だからちょっとお互いに緊張していたのか。旧友が営む喫茶店のカウンター席では、並んで座ることで、この緊張がかなり柔らかく緩和されている。

◆ひょっとしたら“良い夫婦”に!?

 考えてみると、甘味処「竹もと」に行った以外、航一の食事場面も初めてだ。杉田兄弟弁護士の次男・杉田次郎(田口浩正)が、慇懃無礼に手土産に渡そうとしてきた弁当も航一は、頑なに受け取らない。でも人は美味しいものを食べると誰だって、武装を解いて自然と顔がほころぶ。

 あぁ、こんな航一の顔が見たかった。カメラが斜めの位置から捉える岡田将生のほころんだ横顔が、最高に美しい。日曜日、涼子に呼ばれて寅子が入店したときには、普段着でカジュアルなスタイルの航一が、先にカウンター席に座っていた。

 人生の伴侶を亡くしているふたり。あの帽子の場面から心の距離は確実に縮まっている。岡田は、高畑充希との共演作『1122 いいふうふ』(Amazon Prime Video、2024年)で、不倫を公認し合う結婚7年目の夫婦を演じている。

『虎に翼』の寅子と航一なら、きっと“良い夫婦”になれる気がする。ひょっとしたらひょっとするのかもしれない。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu

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