1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 芸能総合

YOASOBIが歌うNHKパリ五輪テーマ曲に「薄すぎる」の声。批判が的外れである理由

女子SPA! / 2024年8月2日 8時46分

 けれども、ここでのAyaseは一目で目的と意図が伝わる言葉を組み合わせることを徹底しています。老若男女が注目するオリンピックでは、YOASOBIならではの作家性よりも優先すべき事柄がある。「舞台に立って」のわかりやすさは、制約の中で制作するプロの我慢のことなのです。

“面白い詞を書くAyase”を押し出そうと欲張るのではなく、曲の後ろで黒子に徹する。その姿勢が、誰にでも当てはまる“舞台”を作る言葉を生んでいるのです。

◆冷静な曲と熱いギターソロ、さじ加減が絶妙

 曲調やサウンド面では新展開も見られます。YOASOBIのトレードマークだった電子音は影を潜め、ギターメインのバンドサウンドが新鮮です。そしてここでもAyaseの批評性が発揮されています。

 いまの若い人たちが“ダサい”と感じるような古臭く歌い上げるギターソロをフィーチャーしているのです。モノローグの歌詞を淡々と歌うikuraとの対比で、そのダサさが効果的な仕掛けになっている。

 曲全体はスポーツとは距離を取った冷静なトーンであっても、ギターソロは熱い。このさじ加減が絶妙なのですね。

◆スポーツを美談のいけにえにしない、素晴らしいテーマソング

 YOASOBI全般に言えることですが、言葉を詰め込みすぎて歌が難しいパズルを解くアクロバットになっているきらいもあります。

 しかし「舞台に立って」では、その細かさが大げさになることを防いでいる。

 スポーツを美談のいけにえにしないという点で、「舞台に立って」は素晴らしいテーマソングなのだと思います。

<文/石黒隆之>

【石黒隆之】
音楽批評の他、スポーツ、エンタメ、政治について執筆。『新潮』『ユリイカ』等に音楽評論を寄稿。『Number』等でスポーツ取材の経験もあり。いつかストリートピアノで「お富さん」(春日八郎)を弾きたい。Twitter: @TakayukiIshigu4

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください