松本穂香「心の中が罪悪感でいっぱいに…」モヤモヤが止まらない“怪作”に心を奪われる

松本穂香さん

　数々の映画やドラマに出演している女優の松本穂香さん。大の映画好きでもあるという松本さんが“バズり”に魅入られていくインフルエンサーを描いたダークスリラー『#スージー・サーチ』について語ります。

◆行方不明になった同級生を追うミステリー好きの大学生

　今回、わたしがご紹介させていただくのは8月9日から公開の映画『#スージー・サーチ』です。

　主人公のスージーはミステリー好きの大学生。昔からどんなミステリー小説を読んでいても、序盤で真犯人を当ててしまうぐらい勘の鋭い少女だったスージーは、世の行方不明事件を自身のポッドキャストで考察していく配信を続けていた。

　そんなある日、インフルエンサーとして活躍していた同級生のジェシーが突如、行方不明になってしまう事件が起きる。

　確たる証拠も見つからないまま真相解明が難航していくなか、スージーは独自の調査を進めていく……。

◆優しさや純粋さは、人をとんでもない道に引き摺りこむ

　面白かったです～！ かつ、とても不思議な映画でした！

　ダークスリラーと謳っているだけあって、起きていることはとんでもなく狂気に満ちているのだけど、その大元の感情は本当に裏表のない純粋そのものに思えました。

　怒りや負の感情はそこにはなく、ただただまっすぐな思いがつまった映画でした。優しさや純粋さは、時として人をとんでもない道に引き摺りこんでしまうこともあるのだなと、スージーの顛末を見て、そう思わずにはいられませんでした。

　何より、自分でも不思議な感覚があったのですが、観終わったあと、なぜか心の中が罪悪感でいっぱいになっていたんです。

◆「やってしまった！ どうしよう！」というモヤモヤ

　日頃の行いを思い返してみても、特に反省するようなことは何もなく……にもかかわらず、「やってしまった！ どうしよう！」というようなモヤモヤがしばらく止まりませんでした。

　きっとそれぐらい、自分でも気づかないうちに、スージーに感情移入していたんだなとびっくり！ 映画を観て初めての感覚でした。

　う～ん。今思い返しても不思議。「やっぱり映画ってすごいなぁ、だから好きなんだなぁ」と改めて思わせてくれる刺激的な作品でした！

　観る人によって、感想がかなり変わりそうな一作……ぜひ映画館でお楽しみください！

●『#スージー・サーチ』

配給／SUNDAE　新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋HUMAXシネマズほか全国順次公開中　© 2022 Susie Production Inc All Rights Reserved.

＜文／松本穂香＞

【松本穂香】
1997年2月5日生まれ。大阪府出身。2015年『風に立つライオン』で長編映画デビュー。2017年連続テレビ小説『ひよっこ』に出演して注目を集め、2018年にはTBS日曜劇場『この世界の片隅に』で主演に抜擢。2023年、映画『“それ”がいる森』で日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞