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『海のはじまり』の有村架純、また無用に傷つく。心から笑える日が来るよう願う理由

女子SPA! / 2024年8月19日 15時45分

視聴者としては治療して死に抗うことを選んでほしかったが、水季は海と少しでも長くいることを選択する。医学上治らない可能性が高い認識のうえのことなのか、「妄想頑張りすぎ」ているのか、どちらだろうか。

みかんのヨーグルトがなかったらほかの選択肢はないという水季と、みかんのヨーグルトがなかったらみかんとヨーグルトを買ってくる津野の判断。津野のような判断もあるのに水季の頑(かたくな)さがつらい。けれど、か弱い人間なりに必死に考えた結論かと思うとなにも言えなくなる。

◆水季が泣く場面だけブルーが目につかない

死を前に準備する水季は、朱音(大竹しのぶ)に海のこれからを託す。達観しているのかと思えば、死ぬのが怖くなったと朱音にしがみついて泣く。

この場面は少しだけいつもと違って見えた。ブルーを基調にした画作りをしている『海のはじまり』が、この場面だけブルーが目につかないのである。水季の服も朱音の服もグリーンで、部屋の端の植木の緑が印象に残る。

そこから場面が変わり、津野が水季の死を知らせる電話を受ける場面も木々の緑に彩られている。津野のシャツが薄いブルーではあるがそれもあまり気にならない。

『海のはじまり』のブルーの世界はどこか幻想的であり、生々しい死の認識にはそぐわない。緑という生を感じさせる色彩のなかに死を配置したのは、第4話から2度目の登板・ジョン・ウンヒ演出だ。抱き合う大竹しのぶと古川琴音の表情、胸をさする池松の仕草にも陰影があった。

水季が亡くなり部屋の整理の手伝いに来た津野に、家族でやると朱音は拒否する。そのとき、視聴者は水季の部屋こそ最もファンタジックなブルーに彩られていたことに改めて気づくだろう。

まるで、このブルーの連なりは、水季の必死で孤独な頑張りを物語っているようでもある。透明感のある青は、悲しみや憂鬱を美しいものにする。きれいな涙の色。ブルーを使わない場面を挟んだことによってブルーの意味がいっそう強く迫ってきた。

◆夏が気を利かせるときはすばらしい気づかい

納骨の日は黒。海は遺骨の横にハマったようにちょこんと座り込み、遺骨入れに静かにしがみつく。ここでは誰ひとり激しい感情を誰も出さない。

納骨のあと、抜け殻のようになった海に、たぶん遺灰の入っているであろうネックレスを「水季」といって差し出す。「ママちっちゃい」と慈しむ海。

夏は、実家で、義弟・大和(木戸大聖)が小さな亡母の遺骨入れをお守りにしていることを知って、海にも何かお守りを贈りたかったのだろう。いつもなんもしてないような夏だが、気を利かせせるときはすばらしい気づかいを見せる。

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