朝ドラ『虎に翼』32歳俳優の演技は「極めて大げさ」だけど優れているといえるワケ
女子SPA! / 2024年9月23日 8時46分
溝口監督の執拗な演出によってリアクションの演技を探求した香川直系の俳優ということではないけれど、いずれにしろ戸塚は現行リアクション型俳優として好例的存在となった。
◆轟の内面に向けたリアクションの演技
直近の出演作だと、中村アン主演のドラマ『青島くんはいじわる』(テレビ朝日、毎週土曜日よる11時から放送)では、第1話初登場の瞬間からリアクション炸裂だ。
戸塚演じる谷崎真司が画面上でまだピントが合っていないというのに、妙に存在感をアピールしているように感じる。リアクションする前からリアクションする気まんまんという域にまで到達しているのだ。
そうした戸塚型リアクションの演技が、『虎に翼』でさらに奥深いものになっている。明律大学に通う学生時代の轟は、寅子たち女子部の面々に対して、あからさまな女性差別を繰り返していた。
一方で自分の間違いを潔く認める人でもある轟は、寅子との交流によってだんだんと考え方をアップデートさせる。その間、戸塚はとにかく相手のアクションに対するリアクションを繰り返しながら、轟の心の成長を可視化していた。
戦後に設立した弁護士事務所での轟は、不当な差別や不平等と戦う毅然とした態度を貫く精神性にまで高めている。ゲイであることを自認して同性のパートナーを得て以降は、より穏やかかつ熱い人間味を醸す。
毅然とした熱血な同性愛者という轟像として、監督とプロデューサーから「内面は三島由紀夫」と言われた戸塚は「腑に落ちた」そうだが、この三島由紀夫的な内面的世界も轟が年齢を重ねていくごとに穏やかになっている。
第23週第114回では、三島文学を読み解く重要なキーワード「大義名分」という一語を轟が威勢よく発する場面がある。原爆裁判の原告として法廷で証言をしようとする吉田ミキ(入山法子)を気遣う轟が「お陰様で、こちらも恋人の家に泊まる大義名分ができましたね」と言う。それは、轟の内面へ向けた戸塚のリアクションの演技が特に鋭く反射した瞬間だと思う。
<文/加賀谷健>
【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
松山ケンイチ『虎に翼』“一気見レビュー”が大反響。誤字脱字があっても説得力が異様に高いワケ
女子SPA! / 2024年10月11日 15時45分
-
朝ドラ『虎に翼』“退場済みなのに”どんどん存在感を増していた35歳俳優。絵を見るたびに
女子SPA! / 2024年10月3日 8時46分
-
「はて?」と上げる声、その心は寅子と共に…「虎に翼」が残したもの
cinemacafe.net / 2024年9月28日 14時45分
-
『虎に翼』が最後まで熱狂を生んだ理由。朝ドラの常識を覆す“メッセージ性”の強さ
日刊SPA! / 2024年9月27日 8時48分
-
「虎に翼」歴史塗り替わった瞬間&桂場(松山ケンイチ)が食べたものに「胸熱」「すごいものを見た」の声
モデルプレス / 2024年9月25日 11時2分
ランキング
-
1横川尚隆 「借金600万円」の“しくじり人生” 渋谷の街を一望できるタワマン生活から一転…
スポニチアネックス / 2024年10月19日 23時8分
-
2「普通に態度悪いし」山本舞香、結婚で掘り起こされた見ていてヒヤヒヤの“不機嫌映像”
週刊女性PRIME / 2024年10月19日 21時0分
-
3米倉涼子、西田敏行さん急死受け涙「ドクターXでは大活躍で生きています」【GirlsAward 2024AW】
モデルプレス / 2024年10月19日 19時51分
-
4「億負けてから出直してこい!」粗品、ボートレースガチ勢アイドルを“にわか評論”でファン失笑
週刊女性PRIME / 2024年10月19日 16時30分
-
5「人生の楽園」西田敏行さんへ菊池桃子が思い込めた追悼メッセージ…視聴者涙「もう聞けないなんて寂しい」
スポニチアネックス / 2024年10月19日 19時35分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください