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「こびない、いじけない」冨永愛42歳がすっぴんで語った、コンプレックスだらけだった頃

女子SPA! / 2024年10月3日 8時45分

 コレクションに出演するためには、各ブランドのオーディションであるキャスティングを受けなくてはいけない。キャスティングはショーの1~2週間前に行われるから、それまでに現地に飛ぶことになる。

◆ひとりぼっちでオーディションを受けてまわった

 私が初めてキャスティングに参加したのは17歳のときのニューヨーク・コレクションだ。あのときはもう、とにかく不安だった。

 エージェントがやってくれるのは、キャスティングのスケジュール調整だけ。「明日はここと、ここと、ここと、ここに行って」という指示が書かれたメモを渡されるが、誰もついてきてはくれない。ニューヨーク、ひとりぼっち。

 当時の私は英語力ゼロで、イエスとノーしか話せない。自動翻訳機なんてドラえもんの世界にしかなかった時代だ。話せないのはもちろん、聞き取れもしない。そんな状態で、たった一人で会場をいくつもまわってオーディションを受けるのだ。

 グーグルマップだって、もちろんない。ホテルで、前夜に紙の地図を広げて会場の場所を確認し、効率よくまわる方法を考えてから眠った。

◆負けない、負けるもんか

 多い日で1日に15カ所のキャスティングをまわる。だいたい、全部落ちる。翌日も受ける。また落ちる。ヒールの靴はバッグに入れてスニーカーで歩きまわっているのに、スニーカーさえボロボロになる。それでも、また落ちる。

 キャスティング会場での対応がまたひどい。大量のモデルをさばくのは大変なのだろうけれど、ブック(ポートレートなどをファイルした資料)を渡してもほとんど見てももらえず、「フン!」みたいな対応をされることも少なくない。無言で手をヒラヒラ振って「もう帰りなさい」みたいに指示されたこともある。

 彼らにとって、キャスティングを受けに来る若いモデルなんて、人間以下の存在なのかもしれない。でも私たちは、ちゃんと傷つく。傷ついた心を抱えながら、切り替えて、切り替えて、次の会場に向かう。

 負けない。負けるもんか。そんな思いばかりがどんどん強くなっていく。こびない、泣かない、いじけない。気持ちは常にファイティングポーズだった。

 それがよかったのかもしれない。初めてのニューヨーク・コレクションでは、13のショーに出演できることになった。これはかなりの快挙だったようで、事務所の人が目を丸くしていたのを覚えている。

◆初のラルフ・ローレンのショーでの「くっそー!」な出来事

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