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朝ドラ『おむすび』ヒロインの初恋相手があまりにも美しすぎる…24歳若手俳優の“表層的”な魅力

女子SPA! / 2024年10月19日 8時46分

◆オートマティックな美麗俳優

 松本怜生は、見る者に何度だって恋させる。しかも毎回が初恋のようにエスコートしてくれるかのようだ。これはどうしたものか。ここまで一瞬で人をとろかす、何か特別な才能、秘密があるのだろうか?

 その秘密の一部を明かすインタビュー記事があった。風見役の人物像について松本は「誰が見てもキラキラしているキャラクター」(『ステラnet』インタビューより)と答えている。だから「まず見た目が重要」なのだと。内面よりも(表情も含めた)外面からのアプローチ。これが風見役の役作りの基本になっている。

 もし内面的に演じ込みすぎてしまったら、あの美麗、あの初恋の衝動はうまれていないだろう。意識的にちょっと視線を動かしてみる。すると風見のカリスマ的な仕草となって、自然とキャラクター性がうまく稼働する。なんと恐るべきオートマティックな美麗俳優だろう!

◆「一は記号やない。言葉だ」の真意

 第2週第6回、松本の美麗な魅力が際立つ印象的な場面がある。ハギャレンに強制的に加入させられたらしい結は、書道部との両立を頑張ろうとする。するとどうも手元が力んでしまい、半紙に一本線で引く「一」の文字がうまく引けない。

 見回りにきた風見がその様子を見て「一は記号やない。言葉だ」と言う。確かにそうであるという表情をする結に対して、さらに「気持ちを込めて書く」と格言めいたアドバイスをするのだが、いやいや「一」は確かに「言葉」ではあるが、同時に「記号」でもある。

 むしろ記号そのものとしての美しさを味わい尽くした先に初めて言葉としての意味がやっとうまれてくる。風見の格言の真意がそれなのかはわからないが、でもここではっきりしていることがある。

「一」から深い読み解きをする風見役の松本その人は、美麗そのものとしての記号のように機能している。どこまでも表層的だからこそ美しいということである。松本が風見の内面よりもまずは外面(表層)を重視したのはそのためだと思う。

◆オファーによる出演もうなずける

 こうした格言をいえるだけの腕前の持ち主でもある。風見は、高校野球の応援用の横断幕の書き手を任される。結の憧れの眼差しがさらに高まる第8回、高校の玄関前に部員一同で縫い合わせた横断幕を敷いて、一発勝負の筆入れ。

 白い和服に裸足。風見がブルーシート上を歩くとぺたぺた足音がする。この短音のつややかな響きだこと。緊張の一筆目、バケツを満たす墨に大きな筆をじゃぼっとひたす。バケツから抜き取り勢いよく半紙にぼたっ。墨の滴がほとばしる。

 ワンカット目に風見の右足に墨がつく。ツーカット目に彼の左足も墨で汚れる。これなら足裏ぺたぺたペイントアートが完成してしまいそうな気もする。ここにも裸足という外面で見せていこうとする松本の気概がうかがえる。今回の朝ドラ出演がオーディションによるものではなく、オファーによる出演だったことが、この外面性の極め方からうなずける。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
音楽プロダクションで企画プロデュースの傍ら、大学時代から夢中の「イケメンと映画」をテーマにコラムを執筆している。ジャンルを問わない雑食性を活かして「BANGER!!!」他寄稿中。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業。Twitter:@1895cu

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