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オファーが絶えない50歳人気俳優、“役者業”以外でも活躍できるワケ…「アメリカ映画」初主演も話題に

女子SPA! / 2024年10月27日 8時46分

――タイトルでもある“徒花(あだばな)”に言及するシーンも印象的です。「徒花であっても無駄花ではない」と。そこに続く言葉は、読者にはスクリーンで見てもらいたいと思いますが、井浦さんは、あそこで語られた言葉に何を感じますか?

井浦:とても好きな表現です。命の意味は、次の世代を残すためだけに存在するのではないと思います。甲斐(さやか)監督は、本当に残酷で特異な世界観を持っている監督ですが、ただ残酷だったり、狂気だったりするのではなく、ベースに美しさがあります。

その美しさも、どこか完璧じゃなかったり、土臭かったり、沈まないようにもがいているような姿の中に一瞬見えるきらめきのような。『徒花』というタイトルや、そのシーンは、監督の美意識そのものだと感じました。

――「それ」との呼び名に思うことは。

井浦:そこにも甲斐監督らしい残酷性が出ていると思います。

◆お芝居も物づくりもデビューからずっと二足のわらじ

――井浦さんご自身についてもお聞かせください。映画にドラマにと観ない日がありません。俳優業以外のこともされています。どう時間を工面しているのか不思議です。ご自身としては戦略的に分析してきっちりバランスを取っているのか、それとも、「やってしまう」のでしょうか。大変では?

井浦:お芝居も物を作ることも、自分自身が好きだからというのが、基本にあります。これが誰かからやらされているのなら、壊れてしまうかもしれないし、何かを止めたくなったり、時間もうまく使えないかもしれません。

でも自発的なので、忙しくなったとしても、時間の使い方が自然と上手になっていくんです。自分ひとりだったらぐちゃぐちゃになるかもしれませんが、事務所をはじめ、周りがスケジュールを管理、調整してくれてもいますし。

それにいきなり環境が変わって忙しくなったわけではありません。デビューからずっと、お芝居と物づくりの二足のわらじです。時間をかけてやってきているので戸惑いもありません。毎年毎年、今年のほうが去年を更新していると実感できることは幸せです。

◆40歳以降の誕生日は、1年ちゃんと人に感謝できたか確認する日

――ちなみに、やりたいことは口に出していくタイプですか?

井浦:口には出しません。言霊は信じていますが、「何々をやりたい」という言葉はどんどん生まれますし、それでやっていないと苦しんでしまいそうですから。「やりたい」ではなく「やろう」となったとき、設計図がちゃんと出来上がってから、言うタイプです。芝居に関しては、出会いたい監督がいたりする場合は、事務所に話したりといったことはありますが。

――最後に。9月に50歳を迎えたばかりですが、節目に思うことはありますか?

井浦:そういうのは正直ないんです。数字だけはどんどん増していきますが、特に変わりません。人の誕生日を祝うのは好きですが、自分はスルっとその日を迎えて過ぎていけるほうが気楽です。

ただひとつあるとすれば、40歳を過ぎたくらいから、誕生日は、自分を祝うというより、1年ちゃんと人に感謝できたかなと確認する日になっています。最大限、周りに感謝する日。だから50歳は、もっと感謝を増していきたいと思っています。

<取材・文・撮影/望月ふみ>

(C) 2024「徒花-ADABANA-」製作委員会/DISSIDENZ

【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi

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