「メニューしょぼくなりすぎ」「粉チーズ有料とか…」サイゼリヤ“不満噴出でも最高益”の矛盾のワケ
女子SPA! / 2025年1月18日 8時47分
不満の多くは言いがかりやアンチではなく、これまでのサイゼの魅力を十分味わってきた人々によって発せられる素直な落胆である可能性が高いということ。
価格維持で得られる安心感は来店動機にはなるものの、実際の満足度は食事内容で決まるのです。例えば、これまでかけ放題だった粉チーズは有料になり、ピザのWチーズは廃止に。サイゼを長く愛してきた顧客からすれば、ファン心を裏切られたという率直な気持ちが不満投稿として広がっているだけのこと。
このように、これまでの愛情が嫌悪に変わってしまうような危機は、今後もメニュー改定のたびに訪れることでしょう。
◆スーパーやコンビニの冷凍食品・総菜の実力が上がっている
そしてもう一つ、今後さらに増えてくる可能性のある不満があります。それは、大手スーパーマーケットやコンビニにおける飛躍的な商品力向上から生まれるもの。
例えばコンビニの冷凍食品を見てみましょう。価格帯は200円台~500円台までの商品が多く、こだわりの国産食材を使用したり、有名レストラン監修の商品は珍しくありません。
特にセブンイレブンではデニーズ監修のメニューが登場。ビーフシチュードリアや蟹トマトクリームグラタンにただならぬこだわりを感じる人は少なくないはずで、新商品発売の頻度が高いのも、コンビニの強みになっています。
つまりコロナ禍を経て、中食(外食と内食の中間に位置する食事のスタイルで、店舗や工場などで調理されたものを自宅で食べること)の需要が成長した今、店舗拡大や価格維持によって制限された“サイゼの変わらないメニュー”に独自性や優位性を感じにくい時代が到来しているのです。
◆じわじわ広がる不満にどう応えるか?
そう、敵は中食。サイゼで食べなくてもおいしいイタリアンは食べられる経験をした人が、ある日サイゼに来店してがっかりする。競合となる商品の実力に気がついているかどうかの問題です。
競合比較によって生まれる不満はすでに存在し、今後はさらに増大してしまう可能性が考えられます。このような視点から考えれば、頑なに価格維持にこだわるサイゼの戦略にはそろそろ限界が出てきてもおかしくはありません。
サイゼリヤは脱ファミレスを宣言し、健康を考えたファーストフード、ファーストカジュアル(手軽に食事ができること)を追求する戦略を推し進めています。
今ではお客一人一人の声がSNSの力によって大きな力を持ちうる時代ですから、今後はじわじわ広がっていくかもしれない、ある日突然爆発してしまうかもしれない不満に対してサイゼがどう応えていくかは、ますます大きなカギを握るようになるでしょう。
さあみなさんは、今のサイゼリヤに満足していますか? 不満を持っていますか?
<文・撮影/食文化研究家 スギアカツキ>
【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12
-
- 1
- 2
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
サイゼ「価格据え置きで営業最高益」に見る大変化 逆張り戦略でファストカジュアル化が成功か?
東洋経済オンライン / 2025年1月16日 8時40分
-
ファミレスが「オワコン化」する裏で進む大変化 「二極化」の背景には一億総中流の"崩壊"がある
東洋経済オンライン / 2024年12月28日 8時40分
-
「スーパーの値引き惣菜」“買うべきではない”4品と“買っても良い”5品――仰天ニュース傑作選
日刊SPA! / 2024年12月24日 8時45分
-
子ども2人を東大に合格させた母が「絶対に食卓に出さなかったメニュー」/2024人気記事top5
女子SPA! / 2024年12月24日 8時44分
-
簡単すぎて感動の「ローストビーフ」レシピ。フライパンだけでプロ並みの味に:12月に読みたい記事
女子SPA! / 2024年12月21日 8時45分
ランキング
-
1「歯石取りは痛い」と疑わない人が知らない真実 最後に「すっぱいもの」を食べる人は要注意
東洋経済オンライン / 2025年1月18日 16時0分
-
2670人超が「冷え性」に悩み…最も多かった「冷えを感じる部位」とは? “冷え性対策”に苦労する人が多数
オトナンサー / 2025年1月18日 19時10分
-
3「好感しかない」「実際合理的だと思う」 カスハラに悩んだお店が打ち出した“究極の対策”に称賛の声
オールアバウト / 2025年1月17日 21時50分
-
4“正しい鼻のかみ方”ちゃんと出来てる?テッシュメーカーが伝授 ポイントは「片方ずつゆっくり」なんだって
まいどなニュース / 2025年1月18日 20時30分
-
540歳から運動不足解消は何から始めたら良いの?
JIJICO / 2018年3月30日 7時30分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください