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妻とのセックスレスに悩む男に41歳俳優が適役だといえるワケ。うつろな表情の“お願い”姿が

女子SPA! / 2025年1月22日 15時47分

 同作でも売れない脚本家・豪太を主人公として、妻・チカとのセックスレスに悩む。これがもし売れている脚本家がブイブイいわせる物語だったら、全然面白くならないだろう。間が抜けてこそチャーミング。人間味がある脚本家像を描くから面白い。脚本家が脚本家を描く面白さがある。

 足立作品ではないけれど、生田斗真主演ドラマ『書けないッ!?~脚本家 吉丸圭佑の筋書きのない生活~』(テレビ朝日、2021年)でも売れない脚本家が主人公だった。『三島由紀夫vs東大全共闘~50年目の真実~』(2020年)などの豊島圭介監督が演出を担当して、ここでもやっぱり的確で簡潔な描写が映画的に処理されていた。

◆映画的に計算された動作

『それでも俺は、妻としたい』第1話で、ひときわ映画的だなと感じる場面がある。冒頭場面のモノローグで規定されたように、豪太は基本的に家にいて、ほとんど一日中、妻とセックスすることばかり考えている。

 不登校ぎみの息子の目を盗んで、こっそり手慰みにふけるような人である。そこへ制作会社のプロデューサーから連絡が入り、再現ドラマのシナリオライティングを依頼される。

 久しぶりの仕事。今晩はご褒美にありつけるぞ。と意気込む豪太はアクアパッツァを作る。でもチカは全然とりあってくれない。リビングのソファで動画を見ている息子の様子をうかがうチカ。ひとり丸椅子に座る豪太。おねだりを続ける。

 まず両手を握り(手慰みの延長?)、お願いの合図。そのあと左手をすっと動かして耳の裏をかく。足元はかかとを浮かせている。なんとなく流動的な一連の動作が、映画的にこまかく計算されているなと思った。深夜帯に放送されるテレビ東京系列放送には、たまにこういう当たりドラマがある。

<文/加賀谷健>

【加賀谷健】
コラムニスト / アジア映画配給・宣伝プロデューサー / クラシック音楽監修「イケメン研究」をテーマにコラムを多数執筆。 CMや映画のクラシック音楽監修、 ドラマ脚本のプロットライター他、2025年からアジア映画配給と宣伝プロデュース。日本大学芸術学部映画学科監督コース卒業 X:@1895cu

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