小泉純一郎元首相「騙された悔しさを原動力」に “原発ゼロ” を訴える

週刊女性PRIME / 2018年4月17日 18時0分

小泉純一郎元首相

 再稼働が強力に推し進められる一方で、東日本大震災から7年を経た現在も「原発NO」の声は揺るぎない。全国世論調査では75%が「脱原発」を支持、野党4党や小泉純一郎元首相らが掲げる「原発ゼロ法案」にも注目が集まっている。

 顧問を務める市民団体で1月に「原発ゼロ法案」の骨子を発表、「原発なしでも日本は発展できる」と繰り返し明言する、小泉純一郎元首相の真意とは─。

小泉元首相に聞く

 首相時代はね、原発は必要だと積極的に思っていましたよ。しかし、7年前の2011年3月11日、東日本大震災で大地震、津波が起きた。そして福島第一原発の事故。このときは引退していましたので、テレビや新聞でその状況を見ていました。

 これまで経済産業省や資源エネルギー庁をはじめ原発必要論者・推進論者たちは「絶対、安全」「コストが安い」「クリーンなエネルギー」だと主張してきた。震災の前まで私もそう信じてきました。

 衆議院で初当選したのは1972年。翌'73年に第4次中東戦争が起きて、石油価格は高騰、トイレットペーパーなど生活必需品の買い占め、売り惜しみも起きた。日本は資源のほとんどを輸入していましたし、当時は高度経済成長期。インフレを抑えるのは重要で、物価の安定は政治課題でした。

 それから1979年にアメリカのスリーマイル島で、'86年には旧ソ連のチェルノブイリで事故が起きた。3・11のあと、自分なりに本を読んだり、歴史も勉強するようになってから、当時、「日本は大丈夫か?」という議論があったことがわかった。なかには「被爆国の日本は放射能の被害には敏感だし、技術力も高いから大丈夫」という意見もあったという。今から考えれば、信じられませんよ。

 勉強していくとね、事故前から、さまざまな分野で「原発は危険だ」「コストは安くない」「クリーンなエネルギーじゃない」という議論があったことがわかったんです。信じていた3つの大義名分はまったくの嘘だった。過ちを正さないといけない。

「よく嘘がつけるな」

 だまされた私も悪いですが、国民運動をしないといけない。だまされた悔しさ、憤りが原動力。嘘をいう勢力に立ち向かっていかなければならない。

 震災後、原発事故調査委員会が作られました。畑村洋太郎委員長は「事故というのは、起こりうるものは起きる。起こりえないと思っても起こる」と所感を述べています。国会でも事故調査委員会ができましたね、全会一致で。委員長は黒川清氏。彼は「あの事故は自然災害ではない。人災だ」と言ったんです。報告書を読めば、原発を基幹電源として維持するとは言えない。

 事故の根源的な問題はね、経産省や資源エネルギー庁などの規制する側が、規制される側である原発会社の論理に飲み込まれたということにある。本当に「安全第一」だったのか。原発企業や関連会社の「経営第一」だったんじゃないか。

 それに、原発を動かせば核のゴミが出る。いまは中間貯蔵しているけれど、いずれは最終処分しないといけない。世界で唯一、フィンランドにしかない最終処分場でも、4基ある原発の2基分しかない。日本は54基も建てておいて、どうするつもりなのか。

 日本の原発はね、過疎地で、沿岸部に作られてきた。周辺自治体は財源が乏しいから、国が補助金や交付金を出す。この財源は“原発コスト”として入っていないんですよ。また今回の原発事故では、賠償金も、除染費用も、廃炉費用も全然足りない。そのため、東京電力は国からお金を借りています。これらもコストに入っていない。それで「コストが安い」とよく嘘がつけるな。嘘を言い続けていると思うと、あきれちゃうね。

 講演をしていると、推進論者から「自然エネルギーは全電源の2%。それに頼ると停電しちゃいます」と言われます。震災後、1基も稼働してない時期があった。それでも日本中で電力不足で停電したのは1日もない。すでに原発ゼロでやっていけることを証明しているようなものです。

 ようやくはっきりと「原発ゼロ」を訴える政党ができました。自民党も総理の考えが変われば、あっという間に変わります。党内ではまだ原発推進が支持されているから、総理も言いにくいのでしょうね。でも、国民の多数が原発ゼロを支持している。多数意見を無視する政党は、政権は取れない。原発よりも、自然エネルギーに頼るほうがいいと私は確信しています。

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