『グッとラック!』立川志らく、主婦層に受け入れられない「オジサン」の悪いヤバさ

週刊女性PRIME / 2019年11月10日 22時0分

立川志らく

 世の中には「ヤバい女=ヤバ女(ヤバジョ)」だけでなく、「ヤバい男=ヤバ男(ヤバダン)」も存在する。問題は「よいヤバさ」か「悪いヤバさ」か。この連載では、仁科さんがさまざまなタイプの「ヤバ男」を分析していきます。

第2回 立川志らく

 落語家・立川志らくがMCを務める新番組『グッとラック!』(TBS系)の視聴率がよろしくないようです。スポーツ報知は、10月9日の同番組一部の平均視聴率が1.9%だったと報じています。制作側は頭を抱えているのではないでしょうか。

 これは志らくのせいというよりも、オファーをかけた側の問題な気がします。志らくは『ひるおび!』(TBS系)で炎上を恐れぬコメンテーターとして名をはせます。コメンテーターであれば、炎上は番組や本人にとって無料の宣伝となるので、おいしい面もあるかもしれません。しかし、中立であるべき司会者が炎上を招いていたのでは、番組として成り立たないでしょう。しかし、炎上させずに無難にやれば、志らくの個性が死んでしまう。志らくは矛盾にさいなまれているかもしれません。

 志らくの発言をどう受け止めるかは人それぞれでしょうし、初の司会ですから、これから志らく流の司会スタイルができあがることでしょう。

 しかし、それを差し引いても、志らくが『グッとラック!』のメインターゲットであろう主婦層に受け入れられるとは私は思いません。

 2019年7月に『週刊文春デジタル』が「好きなアナウンサー」「嫌いなアナウンサー」のアンケート結果を発表しました。「嫌いなアナウンサー」の男性部門TOP3は

1位:宮根誠司
2位:古舘伊知郎
3位:羽鳥慎一

 という結果が出ています。ただ、羽鳥アナの場合、好きなアナウンサー部門でも2位に輝いています。「好き」も「嫌い」も獲得できるのが真の人気者と考えた場合、羽鳥アナウンサーは評価されていると見ることもできるでしょう。となると宮根&古舘のような中高年男性、つまりオジサンが上位にきていることに気づきます。

 オジサンというと、中年男性の呼称で使われることが多いものですが、性質を表すときに使われることもあります。オジサンになるのは生理現象ですからOK、けれど、性質としてのオジサンはヤバい意味を伴うことが多いと言えるでしょう。

“ヤバいオジサン”3つの性質

 私が思う、性質としてのオジサンとは、

(1)上から物を言う
(2)女性や子どもなど、社会的立場の弱い人を下に見ている
(3)「自分は知っている」というアピールをする

 ことが挙げられます。

 古舘伊知郎は『おしゃべりオジサンとヤバい女』(テレビ東京系)で、ある女子アナウンサーに「やりたいことは何?」と聞くと、「報道志望です」という答えが返ってきたことから、古舘が「みんなそう言うんだよね」と言ったところ、「報道志望ではいけませんか?」と言われて反省したと話していたことがあります。

 女子アナウンサーは、古舘に質問されたから「報道志望です」と本音で答えたにもかかわらず、「みんなそう言うんだよね」と、まるでオーディションの審査員のように「個性がない、つまらない」とでも言いたげな返しをした。これが典型的な(1)です。

 先述の「嫌いなアナウンサー」アンケートでは7位だった『情報プレゼンター とくダネ!』(フジテレビ系)の司会・小倉智昭。女子高生が選んだニュースがランキング入りすると「女子高生だけ5位? くだらない」と発言してネットをざわつかせましたが、話も聞かずに、くだらないと感じた根拠を「女子高生だから」と決めつけるのが(2)です。

 お笑いコンビ、チュートリアル・徳井義実の個人会社が東京国税庁に所得隠しと申告漏れを指摘された件で、『情報ライブ ミヤネ屋』(日本テレビ系)で宮根は「徳井を昔から知っている」と前置きし、「金をチョロまかそうとか、そういうやつじゃない」と発言していました。素直な気持ちでの発言でしょうが、徳井がどんなオトコかは問題ではなく、行動が法に触れているわけです。「自分だけは知っている」「自分の親しい人、好きな人なら擁護してやる」という権力者的な発想が(3)です。

 こうしてみると、オジサンの思考というのは権力欲と言い換えることもできるでしょう。ですから、女性の実力者でもオジサンな人はいます。

志らくは“虎の威レンタルオジサン”

 志らくも発想がオジサンだなと思うことがあります。それは、物事の価値を説明するときに、権威やブランドを用いるからです。

 志らくといえば、師匠である落語界のレジェンド・立川談志さんに可愛がられ、その才能を高く評価されていたそうです。その談志さんについて、彼はこんなふうにツイートしています。

《談志同様糞つまらないと言われた^_^名誉だ。談志と同様という評価。あの手塚治虫に愛され上岡龍太郎、ビートたけし、高田文夫、鶴瓶、さんま、爆笑問題、椎名林檎、桑田佳祐、中村勘三郎にリスペクトされた談志が糞つまらない。そんな耳を持った人に志らくは同様!素晴らしい。》(原文ママ)

 140字という少ない字数で、師匠のよさを伝えることは不可能でしょう。だから、大物のお歴々を並べたのだと思いますが、ビッグネームに好かれたらおもしろいのかと言うと、首をかしげてしまうのです。「面白い」という好みを権威で表現するあたり、会社に1人くらいいる、「オレは社長に可愛がられている」「専務がオレを離さない」とアピールする“虎の威レンタルオジサン”と一緒に見えてしまうのです。

 以前は自分の意見を公の場で発表するには、有名人(芸能人や文化人)になってテレビに出るしかありませんでした。言うまでもなく、ごくわずかな選ばれた人しか出演できませんし、当然「テレビに出た、紹介された」ことはステイタスでした。テレビに出る人は好き嫌いは別として成功者でした。昭和や平成中期はテレビ>視聴者という力関係の時代だったのです。

 しかし、ネットの出現で、一般人も自分の意見を自由に発信することができるようになりました。一般人のほうが制約がない分、自由にモノが言えて、支持を集めるかもしれませんし、ある話題がバズったり、炎上するとテレビをもしのぐ伝播力を発揮することもあります。若い世代のテレビ離れが叫ばれていますが、ネットに対抗するにはテレビはご高説を垂れ流すのではなく、「いかに視聴者の側にまわった意見が言えるか、視聴者感覚を持ち続けられるか」がポイントになるでしょう。それなのに「すごいブランドだからありがたがれ」と「上から」言われても、若い世代や特に落語に興味がない女性層にはピンとこず、それどころか「なんで、この人はこんなに偉そうなんだろう」と思われてしまうのではないでしょうか。

 志らくは一般人からの偉そうだという批判に対し、

《この世界に34年いて年齢も55歳、弟子は東京の落語界で最多の18人で、映画監督協会に所属し、演劇20本作った演出家でキネマ旬報の賞を4回受賞した評論家だから実際に偉いのです^_^でもテレビのバラエティではりゅうちぇるが同期。なるほど。》(原文ママ。年齢は当時のもの)

 と、さりげなくオチをつけたツイートをしています。

 芸能人のようにオファーがないと成立しない仕事は実績を重視しますから、志らくがその実績を誇るのは当然のことですし、視聴者だって何の実績もない人がテレビに出たら「何、この人」と見向きもしないでしょう。そもそも、すごくないとテレビには出られませんが、テレビだけが情報元でも娯楽でもない今の時代に、「どうだ、すごいだろう」と言葉や態度ににじませるのはヤバいオジサンなのです。少なくとも主婦層には、受け入れられないのではないでしょうか。

なぜ情報番組のメイン司会は男性なのか

 それにしても、なぜ情報番組の司会は男性がメインなのでしょうか? 同じ時間帯の情報番組を見てみましょう。『スッキリ』(日本テレビ系)の司会進行は加藤浩次、『とくダネ!』は小倉智昭、『モーニングショー』(テレビ朝日系)は羽鳥慎一と、まるで「メインは男性」と決まっているかのように男性が中心になっています。

 この時間帯は女性の視聴者も多いですから、女性がメインになってもいいのではないでしょうか? かつて『あさイチ』(NHK)で有働由美子アナがメインとなり、V6・井ノ原快彦が脇を固めて高視聴率を稼いだという実績があります。

「番組のメインは当然男性がするもの」、制作側はそう思い込んでいないでしょうか。「テレビだから」「男性だから」「実績があるから」あぐらをかいていい時代は終わっているのです。制作側も志らくも、そのあたりに気づいてないとしたら、かなりヤバい気がします。


<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に答えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」。

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