冷凍食品の進化が止まらない! 企業努力で永久改良、近づく「プロの味」

週刊女性PRIME / 2019年12月27日 14時0分

技術の進歩に合わせおいしくなった冷凍食品たち

 お弁当のおかずから、家庭の食卓にもすっかりおなじみの「冷凍食品」。最近「おいしくなった!」という声も多い、そんな冷凍食品についてのアレコレを冷凍食品ジャーナリスト・山本純子さんに聞きました!

冷凍100年の歴史、冷凍食品はプロの味へ

――ここ数年、ぐっとおいしくなったよね~! と話題にのぼる冷凍食品。どうしてこんなにおいしくなったと言われるのでしょうか?

 日本の“冷凍の歴史”は'20年で100年を迎えます。実は急速凍結で食品を保存するという理論自体は、この100年ほぼ変わっていません。

 最近おいしくなったと言われる理由を考えてみると、(1)凍結機や解凍する機械の進化、(2)企業の開発努力があげられます。工場で使用される急速凍結機は、大変高額なので、更新されるのは20〜30年ほどのサイクルになります。

 日本の冷凍(食品)業界が第二次大戦後、本格的に始まってから50年が経過しましたが、この間に各社で機械のリニューアルが進み、おそらく今から10年前には、ほぼすべてが近代的な凍結装置になり、よりおいしい冷凍食品ができるようになったとみられます。また、解凍に使うご自宅の電子レンジなどの機械の進化も、おいしくなった理由のひとつに挙げられるかもしれません。

 そして『焼きおにぎり』『チャーハン』などの画期的なヒット商品が生まれたことも、注目されファンが増えた理由だと思います。もちろんヒット商品の背景には、プロの味やテクニックを求めて徹底研究し、商品に反映させてきた、というメーカー各社の企業努力があります。

――その反面、いまだに「栄養や味が落ちる」「保存料が気になる」「手抜きといわれる」との声もあるようですね。

 同じ旬の時期の生鮮のものと比較すると、多少、ビタミンC量は落ちますがその差はわずか。ところが、夏場の生鮮ホウレンソウと冷凍ホウレンソウのビタミンC量を比較すると、冷凍の方がビタミンC量が豊富、という実験結果が出ます。冷凍食品(野菜)は約1年間の賞味期限が設定されています。“季節が変わっても旬”の栄養を保ち続けているのです。

 枝豆は収穫するとどんどん鮮度、糖度が落ちていきますが、最も多く輸入している台湾の例でいえば、冷凍枝豆の原料になる枝豆は、刈り取り機で収穫してから3時間程度で工場に運ばれて、新鮮なまま加工されています。

おいしさの秘訣は“急速冷凍”

 また、冷凍食品はマイナス18度以下で凍結した状態を保ち、保管・流通しますので、その温度帯では細菌は活動することができず、腐りません。

「腐らないものに保存料を使用する必要がない」という食品が冷凍食品です。

 パッケージの裏面を見ると、原材料が書いてありますよね。使用している材料はすべて記載しないと食品表示法違反になるので保存料などを使っていれば表示ですべてわかります。例えば冷凍ホウレンソウのパッケージの裏面表示を見てください。「原材料 ホウレンソウ」のみです。

『凍る』という現象は<食品の中の水分が氷になる>ということですが、その氷のでき方で食品の質は変わります。急速凍結した場合は細かな氷の結晶ができて凍ります。つまり、食品の細胞、組織を壊さない凍り方をします。組織が壊れない、つまり栄養と味が保たれる。これが、「おいしい理由」です。

 急速凍結機は日々進化していて、最新の工場では「うどん」が10分もあればカチンコチンになります。麺のおいしさを生むコシは、麺の外側と内側の水分量の差(例:外側80%、中側50%)が大切ですが、麺がのびてしまう現象は、その差がなくなった状態です。そうなると、ふにゃふにゃでおいしくありません。

 冷凍うどんは、その差がなくならないうちに急速凍結していますので、釜揚げのおいしさを保存できます。スパゲティなども同様でアルデンテの状態を保ちます。冷凍めんに限らず、上手に解凍すれば、“おいしさを再現”できる、というのが冷凍食品の優れたメリットなのです。

――「自然解凍OK」と書いてあるものと、それ以外の違いとは何ですか?

『自然解凍』はお弁当用などに向けて開発されてきた1999年ごろの新技術で、日本水産がきんぴらやひじきなど、カップ入りのお惣菜を自然解凍できるとしたのがはじまりでした。

『自然解凍OK』の表示には、クリアするべき厳しい業界自主基準が定められており、自然解凍だけで安全に食べられるよう努めています。自然解凍対応商品が増えたことで、冷凍送品は自然解凍できるんだと誤解している方もいらっしゃるようですが、『自然解凍OK』と表示されていない冷凍食品はすべて、「加熱してから食べてください」と書かれています。​

 ちなみに、冷凍食品にはほかのものを冷やしたり、冷たさをキープする能力はなく、保冷剤がわりにはなりませんのでご注意を!

冷凍食品、素朴な質問

Q 野菜が色鮮やかすぎるのは、着色しているのですか?

 ゆでて凍らせているからです。特に青物野菜はゆでると色鮮やかになりますので製品は青みが濃いですが、着色料は使用されていません。

Q 保存料や、衛生面は大丈夫ですか?

 冷凍食品はマイナス18℃以下を保っていれば腐らない食品ですので、保存料は使用していません。衛生面でも「包装してある」というのが冷凍食品の特長のひとつですので、衛生を保ってご家庭まで届けている食品です。

 パッケージ裏面には、原材料のほかに生産地や工場の場所などたくさんの情報が載っていますので、買うときに確認して選んでみてください。

 保存料不要、無添加でも生産、流通できるのが冷凍食品ですので、冷凍食品の離乳食も人気です。おかゆ、白身魚をほぐしただけのもの、ホウレンソウのペーストなどが開発されています。生後5か月の赤ちゃんに与えても大丈夫なほど、安全で便利な食品を供給できるのは、冷凍食品の素晴らしいメリットです。

冷凍食品をおいしく楽しむ“虎の巻”

その1 購入時には

 冷凍食品の品質を保つにはマイナス18度以下をキープすることが大切。ショーケースの温度計がマイナス18度以下かチェックして、カチンコチンに凍ったものを選んで購入するといいでしょう。持ち帰るときも保冷バッグや保冷剤、ドライアイスなどで温度をキープ、解凍しないよう工夫をして持ち帰ってください。そして、家に着いたらすぐ冷凍庫へ入れてください。

その2 おうちでは

 調理や解凍は自己流ではなく、きちんと表示どおりの作り方を守ること。小分けに使う時は、(1)小分けして、(2)調理法を確認し、(3)残りを冷凍庫にしまって(袋内の空気をきっちり抜いて、しっかり密封して保存)、(4)小分けした食品を調理しましょう。

 一度、解凍してしまった場合の再冷凍は厳禁です。

 冷凍食品の賞味期限は製造から約1年ですが、家庭の冷凍室はひんぱんに開け閉めし、マイナス18℃以下の保存温度を常にキープするのが難しいので、おいしく食べるには1か月以内の食べきり(ローテーション)を心がけてください。

その3 食べるときには

 電子レンジは機種によって加熱時間に差が出るので、様子を見ながら使ってください。600Wより500Wでゆっくり加熱するほうが、おいしい場合もありますよ。自分好みを研究してみて。

 洗う、皮をむく、切る、炒める(調理する)がすべて終わっているのが調理済み冷凍食品です。便利なうえに味もどんどんおいしくなっていますから、うまく活用することで忙しい毎日の中で上手に“手間抜き”してください。とはいえ、なんでもそうですが依存しすぎず、賢く使ってバランスのいい食生活を送ることが大切です。

企業に聞いた「売れっ子冷食」の秘密

「おいしくなった」大きな理由のひとつが“味の進化”。炒飯に餃子、おにぎりにパスタまで、人気商品を出し続けるメーカー7社の、開発努力が生んだヒット商品に迫る!

■ローカルメニューが大ヒット! マルハニチロ『神戸名物そばめし』

 マルハニチロの愛されヒット作といえば、『神戸名物そばめし』。焼きそばとチャーハンをピリリと辛いどろ(R)ソースが取り持った、神戸発祥の名物料理が1999年に神戸出身の営業社員のアイデアをもとに商品化され、当初は関西エリア限定発売の商品だったそう。

 テレビなどで紹介されると全国で「そばめしブーム」が起き、有名メニューに。いまでは人気ロングセラー品へと成長。またコラボ商品『ペヤングそばめし』も発売中。

■「18年連続No.1!」ニチレイフーズ『本格炒め炒飯(R)』

 2001年の発売以来「18年連続売上No.1(※1)」の『本格炒め炒飯(R)』。そのヒミツは、
(1)250℃以上の高温熱風をご飯に吹きつけてパラパラに炒め、プロの工程を忠実に再現した「三段階炒め製法」
(2)自社製焼き豚にこだわり、煮込んだ煮汁も調味料にしておいしさアップ 
(3)焦がしねぎ油の隠し味でコク深い味わいに 
(4)粒がそろった北海道産一等米のみを使用しておいしさと味付けを均質化。そして2017年には年間売上100億円を突破した大ヒット商品に! 

※1:冷凍調理・炒飯カテゴリー販売金額(累計)インテージSRI(2001年3月〜2019年2月)

ロングセラー47年! 味の素冷凍『ギョーザ』

『ギョーザ』の誕生は1972年。発売される1年前の1971年当時の家庭用電子レンジ普及率は5%未満だったそう。そして、1997年に「ちゃんと」シリーズ(「ちゃんと、中華」)として発売された『ギョーザ』は“油なしでパリッと焼ける”という、画期的な独自製法で餃子市場に大革命を巻き起こす! 

 以降、“永久改良”をテーマに、油なし・水なし、具材の国産化など、商品力をアップし続け、市販用冷凍食品2003年度~2018年度まで16年連続売上日本一を記録した大ヒット商品に。

■立派な羽つき餃子に感動しちゃう! イートアンド『大阪王将 羽根つき餃子』

 今年10月に月間販売数500万パックを突破した「羽根つき餃子シリーズ」。水いらず、油いらず、フタいらずの3大いらずで、フライパンに並べるだけで上手に蒸し上がり、誰でも簡単に羽根つき餃子ができる秘密は、皮への保水!

 焼き加減がわかりやすく、焼き上げてからきれいにひっくり返せます。『フタいらず』はホットプレートでどんどん焼けるので、ファミリーにはもってこい♪ また、鍋に入れるだけでぷるんぷるん食感が楽しめる「大阪王将ぷるもち水餃子」もファン多し!

■ジャンルを切り開いた人気商品! 日本水産(ニッスイ)『大きな大きな焼きおにぎり』

 1989年の発売以来、愛され続けるニッスイのロングセラー商品にして冷凍焼きおにぎりの売り上げNo.1! 実は冷凍食品として初めて「焼きおにぎり」が発売されたのがニッスイのこの商品。

 1994年に商品名を今の『大きな大きな焼きおにぎり』に変更。たまり醤油に二段仕込み醤油をブレンドし、おにぎりの中までしっかりと、こんがり醤油の風味がしみわたる。食べごたえのあるサイズも人気♪ 

■子どもたちの支持も熱いロングセラー! 日本製粉(ニップン)『オーマイ お弁当たらこスパゲッティ』

 人気の高い『オーマイ お弁当たらこスパゲッティ』は、2004年の発売以来、愛されてきたロングセラー商品。国産たらこを使用し、冷めてもおいしい粒感のあるたらこソーススパゲッティに、風味のよい国産のりをトッピング。紙カップに入っているのでお弁当箱にそのまま入れられる便利さがヒットの秘訣。この紙カップは、森林認証紙で環境にもやさしい! お弁当パスタには「ナポリタン」や「2種のスパゲッティナポリタン&焼きそばソース味」などの人気姉妹品も。

■おうちじゃ作れないおいしさ!? 日清食品冷凍『冷凍 日清もちっと生パスタ』シリーズ

 “もちもち食感”をとことん追求したタリアテッレ(平打ちの生パスタ)と、パスタにからむ、たっぷりのこだわりソースは女性人気も高い大ヒットシリーズ。

「きのこクリーム」「牛挽肉とまいたけのクリーミーボロネーゼ」「青ネギときざみ海苔の明太子クリーム」など、電子レンジの簡単調理で本格的なパスタの味わいが楽しめることから、冷凍生パスタカテゴリーで “売上No.1ブランド(※2)”の座を不動のものに!

 (※2):出典:インテージSCIデータ、冷凍調理生パスタ市場、2015年1月~2019年3月、金額ベース
 


山本純子(やまもとじゅんこ)さん
冷凍食品の情報サイト「冷凍食品エフエフプレス」(https://frozenfoodpress.com/)編集長。冷凍食品専門紙の記者・編集長・主幹を務めたのち独立、業界に携わって37年、本当においしい冷凍食品の情報を日々発信中。テレビ『マツコの知らない世界』出演ほかラジオ、雑誌メディアの掲載多数。

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