なぜ徳井義実は早々に復帰できるのか?“謹慎芸能人”の明暗を分けるポイント

週刊女性PRIME / 2020年10月8日 16時0分

(写真左上から時計回りに)ピエール瀧、徳井義実、沢尻エリカ、木下優樹菜、宮迫博之、槇原敬之

 不倫、薬物、暴力、etc.……。さまざまな不祥事を起こし謝罪に追い込まれたり、雲隠れする芸能人たち。しれっと復帰する人もいれば、長い謹慎期間を過ごしたり、引退という道を選択せざるをえないケースも。一体この差は何!? 芸能界を一般企業にたとえてみたら見えてきた、芸能人と事務所の裏事情とは?

復帰には事務所でのポジションも関係

 先月8日、俳優の伊勢谷友介が、大麻取締法違反(所持)の容疑で現行犯逮捕された。

 今年に入って以降、1月には東出昌大の不倫騒動、2月は歌手・槇原敬之が覚醒剤取締法違反で逮捕、3月は『Snow Man』の岩本照の未成年との飲酒報道、5月は妻への暴行罪でボビー・オロゴンが逮捕、6月はアンジャッシュ・渡部建の多目的トイレ不倫、8月は山下智久の未成年飲酒騒動──。

 世間も、もはや不祥事そのものに驚きはなく、多くのヤジ馬の関心は「どう復帰するの?」と、不祥事後を勝手に心配する始末。ただし、復帰と一概にいっても、よくよく考えると謹慎期間に個人差があるから興味深い。なぜこれほど差異があるのだろうか!?

「不祥事の社会的影響力の大小、不祥事発覚後の記者会見といったアフターケアなども関係してくるが、タレントおよび所属事務所のポジションも無視することはできない」

 そう分析するのは、元博報堂社員であり、芸能人の炎上騒動に明るいネットニュース編集者の中川淳一郎氏。

 例えば、上記の『Snow Man』の岩本と山下智久は、ともにジャニーズ事務所に所属してはいるものの、事務所への貢献度は天と地だ。

「たとえるなら、山下は営業部の伝説的なエース社員、一方の岩本はジュニアというバイトで頭角を現し、最近ようやく派遣社員に昇格できたばかりの若手。待遇が変わるのは当然でしょう」(中川氏)

 たとえ功労者であっても、ジャニーズのような大企業は後続に優秀な社員が控えているため、よほどのことがない限り“去る者は追わず”だ。

「KAT-TUNの田口淳之介は’16年にジャニーズを退所しましたが、もともとグループ自体をジャニーズが持て余していたところがある。中堅クラスでも安泰ではないということ。いうなれば、いつ島流しにあってもおかしくない出向組の立場」(中川氏)

 老け込むには早いとばかりに退所の道を選んだ田口だったが、その後、彼は大麻取締法違反の疑いで小嶺麗奈とともに逮捕される。危険因子の可能性があるならリスクを抱えてまで働き頭へと育てる必要はない──。そういった対応ができるのも、次々と優秀な社員が登場する大企業ならではといえる。またジュニアクラスの若手に対して契約解除を取ることは、むしろ「わが社は社員教育を徹底しているという世間へのアピールになる」と中川氏が説明するように、プラスに転化することもできるというわけだ。

 それを受けて、芸能に詳しいメディア評論家の宝泉薫氏は、「所属事務所が社会的責任をどれだけ負っているかもポイント」と続ける。

 ’19年6月に発覚した吉本興業の闇営業問題で謹慎処分(契約解除処分の撤回検討)となった雨上がり決死隊・宮迫博之はYouTuberとして再出発したが、いまだテレビへの復帰はかなわない。一方、同年10月、巨額脱税問題で活動を自粛していたチュートリアル・徳井義実は先月、地上波に復帰。なぜ徳井は早々に復帰できるのか?

個人の問題が会社まで及ぶかが問題

「申告漏れは徳井個人のパーソナルな問題ですから、会社である吉本興業は“個人の責任”と割り切ることができます。しかし、宮迫のケースは反社会的勢力とのつながりが問題視され、会社の責任も問われた。自社サイトで『笑いの総合商社』と謳(うた)う吉本のような大企業にとって、黒い関係がちらつくことは大打撃になる。宮迫も徳井も功労者ですが、吉本芸人として復帰する道のりは変わってくる」(宝泉氏)

 会社の公共性を損なわせたことに加え、目先の利益に走ったことも大きいと指摘するのは、前出・中川氏。

「相方である蛍原とのコンビ復活ではなく、結果的にYouTuberの道を選んだ。対照的にロンドンブーツ1号2号の田村淳と田村亮はコンビ愛を見せつけ、世間から高評価を得ました。宮迫は短期的な利益に目がくらみ、間違ったタイミングで大企業から独立したフリーランス。前途多難でしょうね」(中川氏)

 芸人が不祥事を起こした場合、横のつながり、すなわち芸人仲間のフォローもカギを握る。ところが、テレビではなく動画配信に走った宮迫に、協力的な姿勢を示す芸人は少ない。“急がば回れ”の大切さを教える格好に。

 反面、アットホームで職人肌の多い芸能事務所の人力舎所属のアンジャッシュ・渡部建は、周りからのサポート次第では再浮上ができそうなもの。

「人力舎は、さほど上下関係を気にしない風通しのいいお笑いプロダクションですが、渡部はその中でも異端児でした。お笑いの仕事以上に、さまざまな利権を作り出すマルチクリエイターのような存在でしたから、事務所としてもどう復帰させていいかわからないところがあるのではないか」(宝泉氏)

 芸人としてのイメージが強ければ、コントで全国ツアーをする、芸人仲間からイジられるといったリハビリができるかもしれない。しかし、渡部は組織の中にあって、他社からの外部委託案件を次々と個人でこなしていたタイプ。事務所ですらハンドリングできない治外法権的な存在だとしたら、妻・佐々木希の手腕にかかっているとも。もしくは、“多目的トイレ不倫”というインパクト大の火遊びの影響で、同じく不倫によって渦中の人であった東出昌大の影が薄くなったと同様に、渡部もまた、誰かの不倫が報じられることで逆風がやむのを待つしかないのか……。

復帰の3つの要点「責任、初犯、歴史」

 宝泉氏は、「芸能人の不祥事からの復帰を考えるとき、3つのポイントがあると思います」と話す。

「ひとつが、その人が起こした不祥事と他者との比較。不倫騒動は最たる例ですね。もうひとつが、初めての不祥事なのか否か。そして、事務所の不祥事の歴史の中でどういった位置づけか」(宝泉氏)

 ともに薬物による逮捕で、世間を裏切る形となったピエール瀧と槇原敬之のケースがわかりやすい。まず比較という点で考えたとき、同じミュージシャンでも二者の社会的責任には大きく違いがあるという。

「槇原は、楽曲提供やタイアップも多かった。個人事業主ではあるものの、多くの利権を生み出している手前、社会的責任が極めて大きい立場。一方のピエール瀧は、そういった利権を生み出している人ではない」(宝泉氏)

 もちろん、ピエールもドラマや映画で活躍している手前、不祥事を起こせば迷惑はかかる。しかし、あくまでピエール瀧にとって俳優業は副業。多くの名曲を幅広い年代に提供してきた国民的ミュージシャンの槇原とはまるで毛色が違う。しかも、2点目に挙げた「初犯ではない」ことも向かい風となる。

「『世界に一つだけの花』は、道徳の教科書に掲載されるほどの名曲です。その作者が2度も逮捕されている(苦笑)。ピエール瀧のケースであれば、“作品に罪はない”と言えますが、槇原のケースは、そう簡単には言えないでしょう」(宝泉氏)

 逮捕以降、槇原はだんまりを決め込んでいるが多方面に迷惑がかかる以上、何も話せないというのが本音だろう。

 一方、ピエール瀧は相方である石野卓球とSNSを中心に露出度を増やしている。

好感度で食べてきた人ほど復帰しづらい

「才能と好感度の二項対立がある。好感度で食べてきた人ほど復帰しづらい」とは中川氏の言葉だ。

ベッキーとのゲス不倫が騒がれた川谷絵音は騒動後、ものすごいバッシングにさらされましたが、どこ吹く風で活躍し続けている。好感度を気にしない立場の人は、復帰に関しても自己プロデュースが可能。紅白には出られなくなるかもしれないけど、売り上げ的にはまったく問題ないわけです。逆に、好感度を売りにしてきたベッキーは、いまなお視聴者の中にはアレルギー反応を示す人もいる」(中川氏)

 3つ目のポイントとして挙げた“事務所の不祥事の歴史”については、酒井法子沢尻エリカを例として挙げる。

酒井法子が所属していたサンミュージックは、創業者の相澤会長の理念に基づき家族主義的な要素が強い古きよきプロダクションです。’09年、薬物騒動が起こった際、相澤会長は連絡がとれない酒井に対して、“法子が心配”という趣旨のコメントを発しました。これは過去に、岡田有希子、岡田と酒井のマネージャーを務めた溝口氏、双方が自ら命を絶っているため、もしかしたら……と考えたわけです」(宝泉氏)

 ところが、連絡をとらなかった理由が、行方をくらまして薬が抜ける時間を稼ぐためだったことが判明。大きな失望に包まれた。

「’11年には島田紳助が芸能界から引退しています。2010年前後は“反社”との関係が暗黙の了解だった昭和から続いてきた芸能の手法が終わりを告げたというか、通用しなくなった節目のタイミングではないか。酒井法子に関しては復帰うんぬんではなく、もう芸能界に未練はないのかもしれません」(宝泉氏)

 昭和の激動を駆け抜けてきた商店街の女店主が、時代の波を痛感してひっそりと暖簾を下ろす──そんな心境に近いのかもしれない。

事務所がタレントをコントロールできない例も

 そして、沢尻も事務所のトラウマを呼び起こす不祥事だった。酒井同様、’09年に世間を騒がせた薬物事件が、合成麻薬MDMAを服用し逮捕された『押尾学事件』だ。

「研音を辞め、フリーだった押尾を拾ったのがavexでした。沢尻もスターダストで扱うことができなくなり、avexが声をかけた。どちらもヤンチャなイメージがあるものの、avexは社風のイメージと合致するところもあったため、うまくプロデュースしようとした。ところが、コントロールできなかった(笑)。社風に合うと思ってヘッドハンティングした人材が思うように機能しない、というのは一般企業でもよくあるはず」(宝泉氏)

「avexは、広告やタイアップを巧みに利用し会社を大きくしてきた感があります。本人たちはイケイケな社風でも、NHKなどと仕事をするとなれば、周りに合わせなければいけない。avexはチームプレーが大事な企業なのに、沢尻は“個”が強すぎた。そういう意味では個人事業主のほうが向いているのではないか?」(中川氏)

 ヒールレスラーとして優秀だったとしても、リングの外でも暴れられたらたまったものではない。押尾の二の舞いにならないためには、「別に……」ですまさず、自身を自制できるかが命運を分けることになりそう。

芸能人も組織の一員、脱サラリーマン化を

 ヤンチャでいえば、木下優樹菜はどうだろう? 芸能界を引退したはずが、新しいInstagramを開設し、個人活動を再開。明らかに事務所の意向と食い違いがあるように映ってしまう。

事務所も木下も政治的な判断が得意とは思えず、刹那的に生きているイメージ。当初、事務所は擁護するつもりだったのでしょうが、彼女の不倫疑惑をはじめ手に負えなくなった。木下ははしごをはずされたと思っているのではないか。安倍前首相と籠池夫妻の関係性に近いものを感じるというか……。事務所に反旗を翻しそうでヒヤヒヤしますね。結局、芸能人もサラリーマンなんですよ。事務所にかこわれたり、睨まれたりしない働き方を見つけていかないといけない」(中川氏)

 そう考えると、彼女が引退早々SNSのアカウントを再開したのも納得。昔と違って、テレビに復帰することだけが最適解ではない時代。コロナによって、新しい生活様式が叫ばれているが、今後は“新しい復帰様式”も増えるかもしれない!?


ほうせん・かおる アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。週刊女性でも好評連載中。

なかがわ・じゅんいちろう 博報堂を退社後『TV Bros.』編集者を経て、2006年からネットニュース編集者に。ウェブに関する著書多数。現代日本の壮絶にダメな大人たちを斬りまくった近著『恥ずかしい人たち』が絶賛発売中。

(取材・文/我妻アヅ子)

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