介護費用の平均総額は400万円以上! プロが説く出費を“最小限に”抑える8つのコツ

週刊女性PRIME / 2020年10月22日 6時22分

※写真はイメージです

 親が高齢になると、いつその日がやってきてもおかしくない介護の問題。

 介護にはお金がかかる。介護の平均期間と平均月額費用をかけ合わせた平均総額は425万円余り。重い負担だ。

「行き当たりばったりで介護に臨むと出費は膨むばかり。一方で、苦しくても職場では介護のことを口にできず、1人で抱え込みがち。介護離職は介護開始から半年の間が多いのですが、そうなったらもっと経済的にきつくなります」

 と話すのは、介護のお金に詳しいファイナンシャルプランナーの柳澤美由紀さん。

 65歳以上の親が「要介護認定」を受ければ、公的な介護保険サービスを利用できる。ただし、サービス利用料の1割(一定以上の所得がある場合は2~3割)や介護保険対象外のサービスは自己負担のため、これをどう抑えるかがカギに。また、在宅介護より施設介護のほうがお金がかかる点も認識しておくべきこと。

「介護は夫婦、親族で取り組む“プロジェクト”です。まず情報を集め、専門家に相談して作戦を練る。そのうえで実行すればプロジェクトは成功する。介護の費用を賢く抑え、心の負担も軽くなるのです」

介護が視野に入ったら

【コツ1 行動日記やタイムスケジュールをつける】

 親が病に倒れるなどして医師に介護が必要と宣告されたら、介護保険の申請手続きを。

「申請から認可までは約1か月。早めに対応しましょう」

 調査員が自宅を訪れて審査し認定されれば要支援1~2、要介護1~5のいずれかに分類。ランクごとにサービスの内容や利用料の上限額(うち1割自己負担)が変わる。

「正確に判定されないと自己負担が増えてしまうケースも。親の普段の様子をメモし、それを調査員に渡すなどすればミスマッチを防げます」

◎ココに相談を!
 介護保険の相談は全国の自治体にある「地域包括支援センター(または高齢者総合相談センターの名称)」へ。市役所の介護保険課もその窓口だが、柳澤さんは地域包括支援センターを推奨する。介護保険の手続きだけでなく介護の問題全般に対応し、ケアマネージャーや保健師、社会福祉士などの専門家に連携してサポートしてもらえるのが利点。

在宅介護でお金を抑えるには?

【コツ2 介護リフォームは元気なうちにやらない】

 在宅介護に向けた介護リフォームは、介護保険を使えば費用を抑えられる(1件の工事費用上限20万円、自己負担は1割)。

「介護保険を使わず、親が元気なうちに介護リフォームすると損することもあるので注意。例えば、手すりの設置場所。右半身まひか左半身まひかで違ってきますよね。なお、介護保険を使ったリフォームはケアマネージャーを通じて相談するようにしてください。ケアマネージャー作成の理由書がいるのと、紹介される介護保険対象の業者での工事が前提だからです

【コツ3 介護用品は大物ほどレンタルで】

 在宅介護での介護用品の中には、介護ベットなど購入すると高額なものも少なくない。一時的な使用の可能性が高いため、レンタルが望ましく、これにも介護保険が使えて費用を抑えられる。

「例えば、小売価格34万円の介護ベッドは介護保険1割負担の人がレンタルするなら月額900円(要介護2以上)、小売価格14万9000円の車いすは介護保険レンタルなら月額600円(要介護2以上)です」

【コツ4 おむつは地域の助成をチェック】

 介護保険では提供されないサービスもある。自己負担を余儀なくされるその費用で、何かと出費がかさむのが消耗品のおむつ代だ。

「自治体の中には、独自に介護おむつを支援するサービスを導入しているところも。サービス内容は大きく2つ。おむつの現物支給と購入費の助成になります。現物は月1回自宅に配送、現金助成は月5000円~1万円程度のことが多いです」

【コツ5 同居の場合は世帯分離も手】

 親と同居中の場合は、世帯分離で介護費用を抑えられることも。世帯分離とは、親子の家計を分けることで、同居しながら住民票上の世帯を分けること。「介護保険の利用料(自己負担割合分)には、高額介護サービス費で上限が定められています。住民税課税世帯であれば月4万4400円ですが、住民税非課税の親が世帯分離すると、上限額が2万4600円または1万5000円に軽減。特養など施設の住居費や食事代も減免に。ただ子の健康保険の扶養となっている場合ははずれるなどデメリットもあるので慎重に検討を」

施設介護でお金を抑えるには?

【コツ6 親の年金で入れるケアハウスを狙う】

 介護保険のサービスを利用した在宅介護で親を支え切れなくなったら、介護施設に預けることも検討する。主な介護施設と料金は写真ページにあるグラフのとおり。

比較的費用が安く、親の年金で賄える料金設定なのはケアハウスと特別養護老人ホーム(特養)です。ただし、特養は要介護3以上が入居の基本条件。軽度のランクだと入るのは難しいでしょう。逆にケアハウスのほうは介護サービスがないため、軽度のランクであれば狙い目ですね。利用料の目安は月額6万円~17万円程度となります」

【コツ7 介護サービスの領収書は必ず保管】

 介護保険のサービス費の一部は医療費控除の対象に。医療費控除とは、医療費の合計が年間10万円または所得金額の5%を超えた場合、確定申告をすることで支払った税金の一部が還付されるもの。

「訪問看護、訪問リハビリ、ショートステイなどが医療費控除の対象となり、該当の金額は領収書に明記されています。ほかの医療費と合算して計算してください」

【コツ8 特別養護老人ホームは複数申し込む】

 要介護3以上の親は特養が望ましいものの、人気で待機者が多数いるという難点も。

「待機者100名超の施設もあります。ただ地域差があるので、住む市の特養が待機者多数なら隣の市の特養にトライするなど、複数申し込めばチャンスは広がりますよ」

 在宅介護より高額となる施設介護費用。子は金銭支援を義務と考えがちだが、柳澤さんはこれに難色を示す。

「介護は本人の問題だからです。資力がなくてもいろいろ手はある。プロに知恵を借りるなどして補いましょう」

(取材・文/百瀬康司)


《PROFILE》
柳澤美由紀さん ◎1996年にFP資格を取得し、独立系FP会社へ転職。2000年独立。家計アイデア工房、FPフローリスト取締役。母親の脳梗塞発症を機に、2012年より「働きながら介護を続けるコツ」セミナーを開催し、好評を博している。著書多数。

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