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離婚・病気・災害・親の介護…“人生のピンチ”を救う「届け出ただけでもらえるお金」

週刊女性PRIME / 2021年9月25日 8時0分

イラスト/はやかわくにこ

 離婚、病気、ケガ、倒産、親の介護、自然災害……。人生の岐路に立たされるようなピンチにみまわれ、まとまったお金が必要になったとき、かなり「使える」のが、国や自治体の助成金や給付金だ。セーフティーネットともいうべき、お得な制度の最新情報をご紹介する。

急なピンチはいつ来るかわからない

 長い人生、いつどんなピンチが襲ってくるかわからない。避けられない出来事が起きたとき、最後に頼りになるのはやっぱりお金だ。災害や失業、病気など、いざというときの備えとして、月の生活費の3~6か月分が必要だといわれている。

 結構な額になるが、実はそんなとき、国や自治体の助成金や給付金が頼りになる。

「結婚や出産、転職、定年など、人生のターニングポイントで私たちの生活環境は一変します。まとまったお金が必要になるケースも多く、特に突発的なピンチであるほど、家計への影響は大きくなります」というのは、税理士でファイナンシャルプランナーの服部大さんだ。

 助成金や給付金は、国や自治体から、一定の条件を満たす対象者に支給されるお金。財源は公的な資金なので、受けるためには届け出が必要。

 少々面倒に感じるかもしれないが、そのひと手間で、さまざまなピンチを乗り越えられる可能性が高まると服部さんは言う。

 これらの支援制度は種類が多く、出産や育児、離婚、老親の介護、失業、災害と幅広い。さらに、長引くコロナ禍で助成や社会保障制度に頼らざるをえない人が急増したため、新たな支援制度も創設されている。

いまお金のことで困っている人は、ぜひ一度、使える支援がないかチェックしてみてください。支援制度を利用するのは私たち国民の権利ですので、大いに活用してほしいと思います」(服部さん、以下同)

 次から、さまざまな人生のピンチを救ってくれる代表的な制度を紹介する。

【「まさか」は突如やってくる! 人生のピンチ「例えば年表」】

<ピンチ1>ケガで長期休職(47歳)
 通勤中の交通事故でまさかの大ケガ! 1か月間、仕事を休むことに。給料はどうなる!?

<ピンチ2>夫の会社が突然倒産(50歳)
 夫が勤めていた会社が倒産し、無職に。しかも未払いの給料が!倒産したら、もうもらえない?

<ピンチ3>コロナで収入減(53歳)
 勤めている飲食店のシフトが激減。給料が減って、このままでは生活できない!

<ピンチ4>離婚でシングルマザーに(55歳)
 夫との離婚が決定。この先、自分1人だけで子どもを養えるか心配……

<ピンチ5>老親の介護(58歳)
 急に親が病気で倒れて入院。ついに高齢の親の介護がスタートした。いろいろとお金がかかりそうで不安が……。

<ピンチ6>自然災害で被災(63歳)
 大きな災害でなんと自宅が倒壊!住む家がなくなって、この先どうなることやら……。

病気・ケガで休職

仕事に行けなくても賃金の8割を補償してもらえる!

 仕事を長期間休むことになったとき、心配なのがその間の収入。でも、もし原因が仕事中のアクシデントなら、手厚い補償が受けられるという。

●療養時の収入を補償「休業補償給付」

「仕事が原因の病気やケガを労災といいますが、労災で仕事を休んで給料がもらえないときに、給料の8割を支給してくれるのがこの制度です。しかも、仕事中だけでなく通勤中の事故なども含まれます」

 対象は労災によって働くことができない会社員で、自営業やフリーランスの人は残念ながら対象外となる。

 支給は、連続して3日間仕事に就けない日があったあとの4日目からスタート。

 仕事に就けなかった欠勤3日分は、会社が給料の6割を支払うことが義務付けられているので、給料がもらえない日はないと考えていい。

 給付の日数制限は設けられていないが、1年6か月たっても治らないときは、「傷病補償年金」に移行される可能性がある。これは、労災の治療が長引く人の生活を支えるための制度。

 仕事中のアクシデントには手厚いサポートが用意されているのだ。

●仕事以外の病気やケガに「傷病手当金」

 こちらは、仕事以外の理由で入院や静養が必要になり、会社を長期欠勤することになったときに支払われる手当金。

 給与の3分の2が、最長で1年6か月間、支給される。

 この制度は、国民健康保険ではなく企業の健康保険が財源なので、会社員だけが対象となる。

【休業補償給付メモ】

(1)誰がもらえる?
 →仕事中や通勤途中のケガや病気で休業する人
(2)いくらもらえる?
 →賃金の8割
(3)申請先は?
 →労働基準監督署

夫の会社が倒産

会社が払ってくれない給料は国が立て替えてくれる!

 勤めていた会社が倒産、しかも給料の一部が未払い状態。このまま泣き寝入りするしかないの……? そんな最悪の状況を助けてくれる制度がある。

●未払い賃金がもらえる「未払賃金立替払制度」

 この制度を利用すると、勤め先が倒産して未払いの給与がある場合に、国に立て替えてもらうことができる。

「正社員だけでなく、2万円以上の未払い賃金があればパートやアルバイト従業員も対象になります。万が一のときにとても助けになります」

 立て替えてもらえる金額は、原則として未払いの給与の8割で、ボーナスは含まれない。

 また、この制度は倒産の半年前から倒産後1年半の間に退職した人が対象となる。つまり、倒産前にその兆候を察知して退職した人でも、この期間に該当すれば申請できるのだ。

 給与の未払いで経済的な不安を感じている人たちの救済を目指して用意された制度なので、該当者は申請を。ただし、申請期間は倒産後2年なので、申請は早めに。

●働けなければ最長3年延長「基本手当の受給期間延長」

 会社を退職したあと、求職期間を迎えると失業保険、正式名称「雇用保険の基本手当」が給付される。

 これは雇用保険に加入していた人で、次の就職に向けて積極的に活動している人なら誰でも受給できるもので、期間は1年間と定められている。

 しかし期間中に、妊娠、出産、育児、病気やケガ、親族等の介護など、正当な理由で働けない状態が30日以上続いた場合、その日数分の期間、受給を延長できる制度。

 延長は最長3年間なので、当てはまる人にとっては大きな支えになるはずだ。

【未払賃金立替払制度メモ】

(1)誰がもらえる?
 →勤め先が倒産して2万円以上の未払い賃金があるまま退職した労働者
(2)いくらもらえる?
 →最大296万円(未払い賃金の8割相当額)
(3)申請先は?
 →労働基準監督署、もしくは独立行政法人労働者健康安全機構

コロナで収入減

勤務先の都合で休んだときに1日最大1万1000円もらえる!

 新型コロナウイルスの影響が長引いて、多くの人の暮らしに少なからず変化が。影響を受けて困窮している人たちに向けた、新たな救済制度が設けられている。

●会社都合の休みに支給「休業支援金・給付金」

 自粛要請などによって、飲食店を中心に中小企業で業務縮小が起こっている。そのため、会社から「しばらく休んでほしい」、「勤務時間を減らしてほしい」と言われる人も増加しているという。

「従業員が会社の都合で仕事を休む場合、その期間中の最低限の生活の保障として、会社は休業手当(平均賃金の6割以上)を支払うことが定められています。でも、なかには会社からの支払いがなく、生活に不安を抱えている人も」

 そんな人に支給されるのが、「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」。

 申請すると、休業前にもらっていた賃金の8割(日額上限1万1000円)が支給される。

●家賃が支払えない人に「住居確保給付金」

 コロナ禍で収入が減り、家賃の支払いがままならなくなった人を助けるのがこの制度。

 もともとは離職や廃業によって家賃が支払えなくなった人に向けた制度だったが、コロナ禍で条件を拡大。特別に「離職や廃業までは至っていないものの、住居を失う恐れがある人」も受け取れるようになった。

 該当者には一定期間、家賃相当額が支給される。

【休業支援金・給付金メモ】

(1)誰がもらえる?
 →会社都合で休んだのに、休業手当をもらえない人
(2)いくらもらえる?
 →日額最大1万1000円
(3)申請先は?
 →厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金担当

離婚でひとり親に

所得の少ないひとり親は月4万3160円もらえる!

 子育てにはお金がかかるもの。生活費に教育費、1人で家計を支えるシングルマザーの負担は大きい。そのため、国や自治体は、子どもの健やかな成長、ひとり親家庭の保護のために支援を行っている。

●ひとり親家庭を支える「児童扶養手当」「児童育成手当」

 中学生までの子どもがいる家庭に支払われる給付金に「児童手当」があるが、これよりも3年長く、ひとり親家庭を対象に支給されるのが、国が行う「児童扶養手当」と一部の自治体による「児童育成手当」だ。

 児童扶養手当は、所得や子どもの人数によって支給額が変わるが、満額受給すると累計900万円以上にもなる。支給期間は、子どもが18歳に達した年の3月末まで。また、児童育成手当は、自治体ごとの違いはあるものの、児童扶養手当に準ずる内容となっている。

 つまり条件を満たせば、児童手当、児童扶養手当、児童育成手当の3つを同時に受給することもできるのがうれしいところ。

「ひとり親家庭を強力にバックアップしてくれる、心強い制度です」

【児童扶養手当・児童育成手当メモ】

(1)誰がもらえる?
 →18歳までの児童がいるひとり親
(2)いくらもらえる?
 →児童扶養手当:月額1万180円~4万3160円。児童育成手当:月額1万3500円。※子どもの数によって加算額が異なる
(3)申請先は?
 →居住地の市区町村
(4)受給要件は?
 →同居人がいると受給できない場合も
【○】父or母 + 子 
【△】父or母 + 祖父母 + 子
※祖父母に収入がある場合、受給できないことも
【×】父or母 + 内縁の夫or妻 + 子

親の介護

介護が必要と認められれば、手厚い介護支援が受けられる!

 年老いた親の介護。いつかその日がやってくるとはわかっていても、ついつい準備を先送りにしてしまいがち。でも今は、介護する人の負担を減らしてくれる制度がいくつも用意されている。ある日突然やってくる「いつか」に向けて知っておきたい公的支援を紹介。

●介護の心強い味方「介護保険」

 いざ介護を始めてみると、家族だけで介護をするのは思った以上に大変。「誰かに助けてほしい!」と思ったときに頼れるのが、プロによる介護サービスを受けられるよう、保険料と税金でサポートしてくれる「介護保険」制度だ。

 介護サービスには、介護福祉士や訪問介護員による自宅での介護やリハビリ、介護施設の利用、介護用品の貸し出しなど、さまざまな種類が用意されている。介護が少しでも楽になるよう、家族の状態を踏まえた介護プランを考えてもらうことも可能だ。

 この制度では最大36万2170円の介護サービス料が支給される。金額は心身の状態による7段階の要介護度によって異なるが、多くの介護サービスを所得に応じて1割から3割の自己負担で賄えるのは大きな助けになる。

「30万円分のサービスを受けても1割なら自己負担は3万円。手厚い保障といえます」

 この制度は申請制なので、まずは自治体に相談を。

●医療費負担が少なくなる「後期高齢者医療制度」

 人生で最も医療費がかかるのは、75歳から84歳の間だといわれている。「後期高齢者」と呼ばれるこのころになると、複数の病気を抱えている人が増え、病院や訪問看護のお世話になる機会もグッと増えることが多い。

 そんな後期高齢者やその家族の負担を減らし、安心して医療を受けられるようにするのが、75歳以上の人が加入する保険「後期高齢者医療制度」だ。

「医療費の大部分を国と自治体が賄ってくれるので、窓口での負担は1割ですみます」

 この制度への特別な申し込みは不要。75歳になると自動的に切り替わるので安心だ。

●上限を超えた分が戻る「高額医療・高額介護合算療養費」

 こちらも、高額になりがちな医療費や介護費を支援してくれる制度。一度支払った医療費と介護料を合算し、年収に応じて、定められた自己負担額よりも多かった場合、超えた分のお金が戻ってくる。

 例えば、夫婦ともに70歳、国民年金暮らしで、年金収入が80万円以下の非課税世帯なら、医療費と介護料を合算して年間19万円を超えた分が戻ってくる。

 医療費や介護費がかさむ高齢者の財布にやさしい制度だ。

【介護保険メモ】

(1)誰がもらえる?
 →40歳以上の人
(2)いくらもらえる?
 →最大36万2170円支給自己負担1割(収入が多い世帯は2~3割)で各種介護サービスが受けられる
(3)申請先は?
 →市区町村

【介護保険で受けられる主なサービス】

・介護サービスのプラン作成
・自宅に訪問してもらい受けるサービス
・日帰りや宿泊の施設で受けるサービス
・住宅改修費の支給
・福祉用具に関するレンタルサービス
・地域密着型サービス

自然災害で被災

災害で家が倒壊しても支援金が支給される

 大雨や台風、土砂崩れなど大きな自然災害が多発している昨今。ある日突然、自分が被災者になることも想定しておく必要がある。いざというときのための支援制度を知っておいて損はない。

●災害時の住宅被害に「被災者生活再建支援制度」

 阪神・淡路大震災がきっかけでできた救済制度で、大規模な災害で住む家を失った人の生活再建を支援してくれる。金額は倒壊の度合いによって異なるが、まず基礎支援金として、全壊の場合100万円、半壊の場合は50万円を支給。

 さらに加算支援金として、新たに家を建てる、もしくは購入した場合は200万円、補修の場合は100万円、賃貸住宅を選んだ場合には50万円が支給される。

 つまり、全壊で新たな家に住む場合は総額300万円の支援を受けられることに。

 大きな災害で被害を受けても、支援があると知っていれば心強い。さらに服部さんは、その前段階として、日ごろの災害への備えが大切と話す。

「まず家の耐震や火災に対する備えを確認し、必要なら改築などで対策をしておくことも、いざというとき安心です」

●こんな支援も被災者に好条件で融資「災害援護資金」

 災害でケガを負ったり、家や家財に被害を受けたりした世帯に、国と地方自治体がお金を貸し付けてくれる制度。

 金銭的にも精神的にもつらい思いをしている被災者に貸すため、低い金利に加えて3年間は無利子という好条件で融資が行われる。

 この制度は、これまでにもさまざまな災害時に利用され、東日本大震災の際には、特例として金利が0%で貸し付けが行われた。

 融資には所得制限があるものの、条件に合えば最大350万円を借りることができる。生活を立て直し、新たなスタートを切るための大きな助けとなる制度だ。

【被災者生活再建支援制度メモ】

(1)誰がもらえる?
 →災害で家を失った人
(2)いくらもらえる?
 →全壊300万円、半壊250万円
(3)申請先は?
 →居住地の市区町村の審査後、都道府県センターへ

【心配事があるなら情報収集!助成・給付金の情報はここでチェック】

 情報を集める先としていちばん確実なのは、厚生労働省などの省庁や、各自治体のHP。中でも自治体が独自に行っている支援制度は、特にリアルタイムでの情報を得にくいので、しっかり確認を。また、コロナ関連の制度は申請期限が短いものが多いので、条件などもこまめにチェックしましょう。(服部さん)

※本記事の内容は2021年9月現在のものです。

教えてくれたのは…… 服部大さん
税理士・FP・中小企業診断士。税理士事務所の代表を務め、これまで年商数百万~数十億円の個人事業主や法人の月次監査を担当してきた。著書に『給付金&支援金 2021年度決定版 申請するだけでもらえるお金』(大洋図書)がある。

(取材・文/後藤るつ子) 

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