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コロナ禍でお葬式が様変わり、簡素にしすぎてトラブルも “後悔しないお見送り” の方法

週刊女性PRIME / 2021年10月3日 13時0分

※画像はイメージです

 1年半以上も続くコロナ禍。この前例のないパンデミック下で、もし大切な人が亡くなったらどうするか、はたして式は執り行っていいものか──。実際のところ、コロナ禍におけるお葬式事情はどうなっているのだろう?

減り続けている従来の一般葬

「昨年からコロナで葬儀の在り方が変わり、さらに今年から新たな変化が起こっています」と話すのは、『クローバーグループ 小金井祭典』代表の是枝嗣人さん。

いちばんの顕著な変化は、葬儀に参列する、いわゆる会葬者の減少。世の高齢化により、ここ20年、会葬者数は減り続けていたが、コロナ禍で拍車がかかり、今年に入ってからさらに加速した感があります」(是枝さん)

 各地から多くの人が集い、会食を伴う葬儀は感染のリスクも高い。今年の1月、熊本で16人が感染するという“葬儀クラスター”が発生した事例も報告され、その事実は参列の自粛という風潮を生んだ。何より葬儀から人々の足が遠のいた背景に、東京=コロナのスポットという意識が地方に根強くあると是枝さんは言う。

「東京から息子さんが帰省したらお母様がデイケアを2週間受けられなくなった、東京へ行った会社員の方が2週間の在宅勤務を強いられたなど、当初は東京の人間と会ったというだけで濃厚接触者扱いされてしまう事例もありました。そうなるとやはり参列は避けざるをえなくなる」

 会葬者の減少は葬儀の規模の縮小につながり、式の主流は家族や親族間の簡素な様式へと移行した。日本最大級の葬儀相談・依頼サイト『いい葬儀』でお客様センターのマネージャーを務める久保田衛さんは、顧客の声からその変化をリアルに感じていると話す。

「お問い合わせで多いのが、この状況下で人を集めていいか、葬儀をしていいかという声。コロナが始まってからやはり人が多く集まる一般葬を行う方は減り、そのぶん家族葬や1日葬が増加しています

 '15年には一般葬が約60%、家族葬や1日葬が約30%の割合で執り行われていたが、昨年ではその割合がそれぞれ50%ずつとなっている。

 葬儀の様式は主に4種で、人を招いて葬儀と告別式を行う一般葬、身内や親族で式を行う家族葬、葬儀・告別式を1日で行う1日葬、通夜や告別式を行わない直葬・火葬式に分けられる。

 様式の違いは当然費用にも反映され、飲食、返礼品を含んで一般葬は約240万円、家族葬で通夜告別式を行う場合は約140万円、1日葬は約130万円、直葬・火葬式になると約80万円(いい葬儀調べ)と、その差は大きい。

“コロナだから”と簡素にしすぎない

 コロナ禍で人を集めるのが難しい今、一般葬のさらなる減少が予測されるが、

「安いからと安易に選ぶと“本当にこれでよかったのだろうか”という気持ちを後々まで引きずってしまうおそれがある」

 と久保田さんは懸念する。

 というのも、直葬の場合、親族が集まるのは火葬炉の前で、故人とのお別れの時間も5~10分ほどと非常に短い。

「経済的な問題や故人の遺志などポリシーがあるなら仕方ないのですが、コロナだからと単に簡素に走るのは危険です。まずは式の特性を把握することが大切」

 と是枝さんも注意を促す。熟慮すべきは直葬だけではない。限られた親族で小規模な葬儀をした結果、かえって面倒が生じるケースもある。

葬儀に参列できなかった方が後日お焼香をあげさせてほしいと自宅に訪ねてくることが多々ある。そうなるとお茶を飲みつつ故人の思い出を語り合うことになります。なかには感情的になり、何で式に呼んでくれなかったんだと詰め寄るような人もいる。

 濃厚接触の危険もあり、それが続くと心身ともに遺族の負担は大きくなります。ならばコロナ禍でもできるだけ一般葬に近い形で式をしておいたほうがいいこともある」(是枝さん)

 しかしコロナ感染症で死亡した場合、葬儀は直葬に限られる。看取りは叶わず、故人と会えるのは火葬後、お骨になってから。その現実を知らしめたのが昨春、コロナで亡くなった志村けんさんのニュースで、世に大きな衝撃をもたらした。

コロナで亡くなった方の火葬場の対応は志村さんのときから変わらず、遺族も火葬場には入れません。火葬場に向かう霊柩車を外から見送る形でお別れをすることになります」(是枝さん)

 直近ではコロナ死亡者のエンバーミング(防腐処理)を請け負う葬儀社も登場し、故人の顔を最後に拝める環境も整いつつあるが、

「エンバーミングをするには費用が嵩みます。それでなくともコロナで亡くなった方の葬儀は消毒費用や火葬待ちの保管費用などが加わるので通常の約3割増しになってしまう」(是枝さん)

 パンデミックの勃発から1年半余りがたった今、当初手探りだった葬儀の現場もさまざまな対策が講じられるようになった。マスクの着用、消毒のほか、大きめの式場を押さえてソーシャルディスタンスを保ち席を配置するといった工夫もそのひとつ。

 さらに通夜振る舞いにも配慮がなされ、大勢で囲むオードブルではなく、ひとりひとりに料理を提供するお膳スタイルや、持ち帰り用の折り詰めの登場、選べるカタログギフトを用意するといった取り組みがさらに増えてきた。

 また新たな試みとして広まりつつあるのが、オンラインの導入だ。

「少しずつですが、事前の打ち合わせやご相談、弔花やお香典の手配にオンラインを活用する動きがあります」(久保田さん)

 葬儀自体も従来の様式にとらわれず、より柔軟な式があげられるようになった。是枝さんも「お通夜をせずとも葬儀の方法はいろいろある」と語り、葬儀社経営の立場から個々のニーズに寄り添った提案を行っているという。

「東京の式場は多くが2日単位で価格が決まっています。コンパクトな式にしたいなら、1日目は近親者少数で集まり、2日目はお孫さんなどを呼んでお見送りしてもいい。

 また直葬だとお別れの時間が限られてしまうが、別にお別れのできる場所を借りれば故人とゆっくり過ごせる。それにかかる費用は3万円程度から。簡易ながら無宗教の1日葬ができます。

 コロナだからとシンプルにしすぎて別の苦労を生まないためにも、リスクを踏まえた取捨選択をおすすめしたい」(是枝さん)

コロナ患者遺族の戸惑い

 コロナ感染症による死亡者数は9月現在1万7千人余り。現場では実際にコロナ患者の遺族からの問い合わせが増え、その多くが直葬への戸惑いを口にするという。

コロナで亡くなると直葬を選ばざるをえない場合が多いので、最期に立ち会えなかったぶん、遺族としては火葬するだけで終わらせていいのだろうかという気持ちがあるようです。

 人を集めずお別れの場をどう設けるか、遺族のグリーフサポート(※大切な人を亡くした悲しみからの回復をサポートする取り組み)をどうするかが課題になっている」(久保田さん)

 コロナ患者に限らず、感染防止の観点から現在は大半の病院が面会を断っている。老人ホームなど高齢者施設もしかりで、身内ですら入所者との面会は許されていない。従来のような看取りが難しくなった今、死は突然の事実として突きつけられることになる。

「通常はお見舞いを重ね、お顔を見ることで覚悟が固まっていくものですが、そのプロセスがない現状では、いざとなったとき強い喪失感に見舞われるおそれがあります」(久保田さん)

 大切な人の不在を肉体的・精神的に理解するのはつらく、喪失から立ち直るには長い時間と周囲の支えが必要だ。実はそれらをすべて備えているのが、本来の日本の葬儀であり役割だと、久保田さんはこう続ける。

「まずお通夜で故人の顔を見て死を実感し、親族が告別式で集まって話をすることで、徐々に心の整理がついていく。日本のお葬式は非常に理にかなっているんです」

 しかし従来のプロセスが踏めない今は、遺された者はどうやって気持ちの整理をつけていけばいいのだろうか。

「もっと優しくしてあげたかった、あそこに連れて行ってあげたかったと、遺された人はしてあげたかったことを積み重ねてしまいがち。だからこそ故人のために、してあげられることをお葬式で行ってあげてほしい

 と是枝さん。

「例えば火葬場へ行く途中、大好きだった場所に立ち寄ってあげられたとか、小さなことでいい。いいお葬式をすることが心の整理にもなります。

 大変な状況下ではあるけれど、ぜひ故人のために何がいちばんかを考えて、見送ってほしい」(是枝さん)

 大切な人が亡くなったときに何ができるか、葬儀の在り方を今、改めて見直す必要がありそうだ。

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