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やってはいけない「炭水化物抜きダイエット」食のプロが解説する意外な落とし穴

週刊女性PRIME / 2021年10月10日 7時0分

※写真はイメージです

 お米やパンなどを控える炭水化物抜きダイエット。体重がみるみる落ちるといった効果で定着した感があるが極端に炭水化物を減らすと腸によくないという。さらに骨や筋肉など、身体に必要な部分がやせていくという弊害も。意外な落とし穴を2人の専門家に聞いた。

突然、フラついたりめまいを起こすように

「ダイエットをしなきゃと思っていたらテレビで糖質制限ダイエットのことをやっていたので、我流で試してみることにしたんです」と話すのは、数年前から体重と血糖値が気になっていたという小西可奈さん(仮名、50代)。

 まずは、糖質を多く含んでいる炭水化物の代表選手、白いご飯をキャベツのせん切りに替え、飲むお酒も糖質ゼロの発泡酒に変更し、「炭水化物抜きダイエット」を徹底的に実践したという小西さん。なんと1か月もたたないうちに体重が3キロ減、血糖値も改善したという。

「本当は米や麺類が好きなので、最初はツラかったのですが、すぐに効果が出たのでうれしかったですね」(小西さん、以下同)

 順調なダイエットにすっかり気をよくして、その後も食材の成分表を持ち歩き、できるだけ糖質が入ったものを食べないようにする生活を続けた。ところが、やがて思わぬ異変に襲われる─。

階段を上がるときにフラついたり、頭がボーッとして疲れやすくなったり、集中力の低下やめまいも……。これまで経験したことがない症状だったので心配になり、病院に行くことにしたんです

 病院での診断結果に小西さんは驚愕。炭水化物抜きダイエットにドクターストップがかけられた。というのも、実はこのとき、小西さんの筋肉量はダイエット前より20%近くも減少していたのだ。

 その後、医師の指導で、極端なダイエットを改めるなど食事を見直したところ、体調不良は改善し、筋肉量も回復した。一体、小西さんの身に何が起きたのだろうか?

●小西さんのある日の献立

 炭水化物を一切抜いたメニュー。「そのかわり、肉や魚、野菜や海藻はよく食べるようにしていた」と小西さんは言うが……。

生きていくために炭水化物は必要!

 管理栄養士で、食事による栄養指導や体調改善メニューの作成などを手がける金丸絵里加さんによると、小西さんの体調不良の原因は、まさに「炭水化物の抜きすぎ」にあったという。

「日本人の1日の平均摂取カロリーは、約2000キロカロリーだといわれています。そして、その内訳はおおよそ、タンパク質が15%、脂質が25%、そして炭水化物が60%という割合。

 ですから、私たちは主に炭水化物によって、生きていくために必要なカロリーを摂取していると言えるわけです」(金丸さん、以下同)

 炭水化物を一切とらないと、摂取カロリーの半分以上を失うという“緊急事態”に陥ってしまうのだ

 身体はカロリーが足りなくなると、それを補うために自分の筋肉を削ってエネルギーを作り出そうとし、それでも足りなければ骨を分解して補おうとする。

 すると、筋肉量や骨量はどんどん減っていってしまう。前述の小西さんの筋肉量の激減、そして体調不良は、このカロリー不足が原因だったと考えられるのだ。

「炭水化物の食べすぎは肥満につながるのでたしかに要注意ですが、炭水化物を一切食べないという極端なダイエットも、栄養が大きく偏るので注意が必要なのです」

●炭水化物を抜くとカロリーが足りなくなる!
〜日本人の平均摂取カロリーの内訳〜

​・タンパク質 15%
​・脂質    25%
​・炭水化物  60%


 糖質は、実にその半分以上を占めている。炭水化物をとらずにゼロにすると、必要な摂取カロリーが足りなくなってしまう

 さらに別の視点から、炭水化物抜きダイエットに警鐘を鳴らすのは、農学博士で腸内細菌の研究者である南田公子さんだ。

「炭水化物と腸内細菌に一体どんな関係があるの、と意外に思われるかもしれませんが、実は、腸内環境を守っている善玉菌は炭水化物が大好きなんです」(南田さん、以下同)

 腸活で大事な食べ物というと、雑誌やテレビでよく目にするのは食物繊維だ。炭水化物は一見、縁がなさそうに思えるが、詳しく話を聞いてみると……。

「食物繊維には2種類あって、そのうち、ゴボウやレンコンなどの硬い根菜類に多く含まれる不溶性食物繊維は、善玉菌にとっては、あまりうれしいエサではないんです」

 お通じをよくして便秘改善に効果があるといわれる食物繊維だが、不溶性のものは硬く、善玉菌はあまり食べない。便秘の人が食べすぎると、便はますます硬くなり、詰まってよけいに出にくくなるおそれもある。

一方、リンゴなどに多く含まれる水溶性食物繊維は確かに善玉菌が好んで食べます。でも、食材に含まれている水溶性食物繊維の量はとても少ないため、善玉菌が満足するほどの量を私たちが食べるのは難しいのです

腸内環境を整えるために炭水化物の摂取を

 だとすると、善玉菌が喜んで食べている“主食”とは何なのか。

「それが、難消化性でんぷんと呼ばれている栄養成分です」

 聞き慣れない言葉だが、難消化性でんぷんは、炭水化物に多く含まれているでんぷんの一種。実は画期的なでんぷんなのだという。

 でんぷんはこれまで、胃や小腸で消化吸収され、私たちのエネルギーに変わるもの、つまり善玉菌のいる大腸までは届かないと考えられてきた。ところが近年の研究で、「難消化性」という言葉が示すとおり、胃や小腸では消化されず、大腸に至るものがあるとわかってきたのだ。

 難消化性でんぷんを多く含むのはお米などの炭水化物。私たちが日常的に食べている主食である。水溶性食物繊維とは違い、毎日かなりの量が大腸に届くので、善玉菌はこれを主食として食べているという

 つまり、食事によって腸内環境を整えようと思ったら、善玉菌の主食である難消化性でんぷんを含んだ、炭水化物の摂取が不可欠ということになるのだ。

●善玉菌は炭水化物が大好き!

不溶性食物繊維……硬くて苦手。基本的には食べない。

水溶性食物繊維……好んで食べるが、食材に少量しか含まれていないのが難点。

炭水化物……難消化性でんぷんは善玉菌の大好物。炭水化物に多く含まれているため、私たちも摂取しやすい。

 炭水化物に含まれる難消化性でんぷんが善玉菌にとって主食ということは、逆に言うと、「私たちが炭水化物を食べないと善玉菌に大切なエサが届かないので、善玉菌が減って腸内環境が悪化している可能性もあります」と南田さんは続ける。

 腸内環境が整うと、便通がよくなって肥満になりにくいなどのほか、免疫力アップなど、私たちの身体にとっていいことずくめなのは、近年よく言われているとおり。

「だからこそ、善玉菌の好物である炭水化物を抜くダイエットは健康面でおすすめしません」

 また、炭水化物に含まれているでんぷんを多く食べると、大腸がんになりにくいという研究結果もある。大腸がんの人の便の中には短鎖脂肪酸が少ないといわれている。短鎖脂肪酸とは、善玉菌が作り出す、私たちの身体にいい影響を及ぼす物質のこと。善玉菌が元気で短鎖脂肪酸が多いと、大腸がんになりにくい。

 つまり、でんぷんを多く食べると大腸がんになりにくいのは、でんぷんのおかげで善玉菌が元気だから、と考えられるのだ。

 さらに重要なのは、同じ研究で「でんぷんだけでなく食物繊維でも調べてみたが、『食物繊維を多く食べていると大腸がんになりにくい』という傾向は見られなかった」という指摘があること。やはり、善玉菌を元気にするのは食物繊維よりも炭水化物なのだ

「米、豆、いも」を食べるのがポイント

 では、炭水化物の中で何がおすすめなのか。それは「昔から日本人が主食として食べてきた米、豆、いも」とのこと。

 これらの中には難消化性でんぷんだけではなく、「難消化性タンパク質」が含まれていることにも注目したい。

「善玉菌が生きていくためには、人間と同じようにタンパク質も必要なんです。その点からいっても米、豆、いもがおすすめです」

 それらを食べるときのポイントがあるという。

その3つ全部を食べないといけないかというと、そうではなく、3つのうちで自分が好きなものをより意識して食べることが大事ではないかと思います。善玉菌は私たちが食べたものだけをエサにしていますので、私たちが普段からたくさん食べているものを自分の腸にいる善玉菌も好きだと考えたほうが合理的です。

 なので、お米があまり得意ではないという人は、いもや豆でもいいと思います。意外にいろいろな料理があるので、飽きずに食べられると思いますよ

 親のかたきのように言われることもある炭水化物。しかし、実は腸内環境改善やひいては肥満対策にも不可欠なものだ。

 炭水化物を一切食べないといった極端なダイエットは、自分の健康のためにやめるべきなのだ。

●好きな炭水化物を食べて健康的にやせる!

(1)画像の中で、あなたがよく食べている炭水化物は何?

(2)選んだものを意識して、適量を食べるようにする。

□お米→チャーハン・巻き寿司・リゾット

 玄米もいいが、腸に負担がかかるので、便秘や下痢などの不調があるなら白米のほうがおすすめ。

□いも→焼きいも・フライドポテト・ポテトサラダ

 焼きいもはいまはやりのねっとり系のものより、でんぷんが多く含まれているホクホク系がおすすめ。

□豆→どら焼き・枝豆・豆カレー

 豆というと大豆を思い浮かべがちだが、あずきや枝豆だってOK。ただし、あんこの食べすぎは要注意。

【教えてくれた人】
南田公子さん……農学博士。アテリオ・バイオ株式会社取締役専務。乳製品アレルギーの人でも安心して飲める「ライラック乳酸菌」を開発。またDr.リラ子として腸内細菌についての情報をブログで発信中。

金丸絵里加さん……管理栄養士、料理研究家、フードコーディネーター。誰もが家庭で、楽しくおいしく健康管理ができる料理を、テレビや雑誌など、さまざまなメディアを通じて提案している。レシピ本多数。

〈取材・文/八坂佳子〉

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