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“のど力”は加齢とともに低下! キケンな肺炎を防ぐ、「30秒のどトレーニング」

週刊女性PRIME / 2021年10月17日 11時0分

※写真はイメージです  

 日本人の死因の上位を占める肺炎。中でも誤嚥性肺炎が問題になっている。肺炎で亡くなるシニアの約7割が誤嚥性肺炎なのだ。最大の原因は「のど力」の低下。予防には、ワクチン接種と口腔ケア、さらに50代のうちから「のどトレ」で鍛えることが重要だ。簡単にできるトレーニングで、健康なのどをキープしよう。

のどは使わないと衰えていく

 いまだマスクが手放せない生活が続いている。会話が減ったり、人と会う機会が少なくなったりしたせいで、のどの“老化”が進んでいる可能性があるという。

「のどの老化は一般的に60代からといわれています。60代になると、のどの筋力が急激に低下するためです。ところが、のどは使わないと衰えていくので、40代や50代でもリスクが。会話が以前より減るなどしている人は要注意です」と話すのは、呼吸器専門医で池袋大谷クリニック院長の大谷義夫先生だ。

 のどが衰えると、日本人の死因の上位に位置し、多くの人の命を奪っている「危険な肺炎」を引き起こしやすくなる。

 まずは自分ののどの状態をチェックシートで確認してみてほしい。

あなたののどは大丈夫?
「のどの衰え」セルフチェックシート


●食事中にむせやすくなった

●なんでもないときにせき込むことがある

●食べ物や薬が飲み込みづらい

●せき払いが多くなった

●声がかすれることがある

思い当たる項目があるならのどの衰えが進んでいる可能性あり!

「これらの症状に心当たりがある人は、のどの老化が始まっている可能性がとても高いです」(大谷先生、以下同)

のどの衰えから誤嚥や肺炎へ

 のどは空気と飲食物が交差する場所だ。空気は気道を通り、飲食物は食道を通るが、加齢などによってのどが衰えると、うまく通らなくなることがある。

「食事をすると、かみ砕いた食べ物はのどの奥へ送られ、ゴックンと飲み込む動作が起きて食道に入ります。このとき、気道の入り口は本来はしっかり閉じるのですが、のどの機能が衰えると隙間ができて、食べた物などが気道に入ってしまうことがあります。これを誤嚥といい、誤嚥によって引き起こされる肺炎を誤嚥性肺炎と呼びます」

 食べ物だけでなく、ふだん意識せずに飲み込んでいる唾液も誤嚥することがある。誤嚥性肺炎は、食べ物の誤嚥より、口の中の細菌を含んだ唾液や、さらには逆流した胃液を寝ているときに無意識に誤嚥して起こっていることのほうが多いという。免疫力の低い高齢者に特に多く見られ、死亡率の高い病気だ。

「医学の進歩で、がんや心疾患があっても長く生きられるようになりました。いっぽうで誤嚥性肺炎による死者は医学が進歩しても減っていません。健康長寿を目指すなら、誤嚥性肺炎を防ぐことが重要なのです」

ワクチンとお口のケアが大事

 誤嚥性肺炎の予防として、まずは「肺炎球菌ワクチン」の接種をしてほしいと大谷先生は言う。

「肺炎の原因となる細菌やウイルスはたくさんありますが、口の中にいる肺炎球菌は誤嚥性肺炎の原因になりやすいです。65歳以上の高齢者には、自治体から肺炎球菌ワクチンの接種費用の助成があるので、発症や重症化を防ぐためにも、ぜひ受けてほしいと思います

 肺炎球菌ワクチンには2種類あり、厚生労働省が65歳以上の高齢者に定期接種を実施しているのは、「23価肺炎球菌ワクチン」というもの。効果は5年以上持続し、1回に限り、接種費用の一部を公費で負担してもらえる。対象になる年齢の人にはお住まいの自治体から案内が届くので、見逃さないようにしたい。

 いっぽうの「13価肺炎球菌ワクチン」は、子どもに定期接種されているが、大人も任意で受けることができる。ただし、こちらは自治体からの補助がないので、希望する場合はかかりつけ医に相談を。

「ワクチン接種に加えて、歯磨きやフロスなどの口腔ケアも大切。口の中の細菌を減らすことも誤嚥性肺炎の予防に効果的です。また、異物を誤嚥した際にせきをして異物を吐き出すための『せき反射』も重要。小さな脳梗塞でもせき反射が低下するので、脳梗塞のリスクになる高血圧や糖尿病、脂質異常症の予防も大事です」

のどを鍛えて誤嚥を防ぐ

 食べ物をゴックンと飲み込めれば誤嚥しにくくなるので、誤嚥性肺炎の予防には「飲み込む力」を高めることも有効だ。のど周辺の筋肉を鍛えることで強化できる。のどの筋力は60代以降になると急激に落ちるが、毎日トレーニングすることで筋肉を増やすことができる。

「筋肉はいくつになっても鍛えられるので、中高年はもちろん、高齢者でも、のどトレーニングでのどの筋力をアップさせれば飲み込む力の改善が期待できます」

 食べ物が飲み込みにくくなるのには、唾液量の減少も関係しているという。

 よくかんで食べると唾液の分泌が促される。また、唾液腺のあるところをマッサージするのもいい。

 次に紹介するトレーニングは、唾液量を増やすためのマッサージや、のど周辺の筋肉を鍛えるもの。30秒程度でできるので、ぜひ試してほしい。のど年齢が落ち切っていない50代から始めると、のど年齢をより若くキープできるのでおすすめだ。

 年をとっても誤嚥せずにいられれば、食事を楽しめ、生活の質を高く保つことができる。誤嚥性肺炎を防ぎ、健康長寿を目指すためにも、30秒あればできるのどトレをいまから始めたい。

「のど力」の低下を防ぐのどトレーニング

 唾液の分泌をよくして口の中のうるおいを取り戻し、のど周辺の筋肉を鍛えて飲み込み力をアップさせます。毎日、続けると効果的です。

【1】唾液腺マッサージでのどをうるおす!

耳下腺マッサージ

 手のひらを頬に当てて、耳の手前にある耳下腺に指数本を当てる。指全体で前に向かってそっと押すようにやさしくなでる。

顎下腺マッサージ

 顎下腺は、あごの両端にあるとがった骨のすぐ内側にある。両手の親指を顎下腺に当て、上方向にゆっくり押し上げる。

〜ポイント〜

 やさしく、ゆっくりと行う。それぞれ10回程度が目安

【2】あご押し&声出し体操でのどの筋肉を鍛える!

あご押しトレーニング

 あごの下に両手の親指を当てる。少しあごを引き、親指で押し戻すように上向きに押す。あごと親指で押し合う感じで。

声出し体操

 口を横に大きく開き、奥歯をくいしばるように力を入れて、イィーと10秒程度、声を出す。

〜ポイント〜

 のど仏がグッと上がっていることを意識しながら行う

【3】舌出し体操で飲み込み力アップ!

前後に動かす

 口を大きく開く。舌を思い切り出して、引っ込める。これを2~3回、繰り返す。

左右に動かす
 
 舌を出して、左右に大きく動かす。2~3回、繰り返す。

〜ポイント〜

 できるだけ大きく舌を動かし、舌の奥の筋肉を鍛える

要注意!キケンなせきの見分け方

 せきは身体を病原体の侵入から守り、異物を外へ出す正常な反応だ。

「せきが出るときは、むやみに止めず、出してください。風邪のときもよほど苦しくない限り、せき止めは飲まないほうがいい。また、誤嚥してせき込んだときは、どんどんせきをして異物を出すことが大事です」(大谷先生、以下同)

 新型コロナウイルスが気になる昨今は周囲への気兼ねからせきを我慢しがちだが、せきが出るということは、のどが若くて元気なサイン。むしろ、せきがあまり出なくなったら異物が侵入しやすく、肺炎が進行するリスクが高くなる。

 ただし、長引くせきには重い病気が隠れていることも。2週間以上、せきが続く場合は肺炎やせきぜんそく、COPD(慢性閉塞性肺疾患)などの肺の病気の可能性がある。中には、肺がんや結核など、深刻な病気の場合も。

「素人判断は危険なので、できれば呼吸器の専門医を受診して原因を調べてもらいましょう」

 教えてくれた人……大谷義夫先生 ●池袋大谷クリニック院長。東京医科歯科大学呼吸器内科医局長などを経て池袋大谷クリニック開院。呼吸器のスペシャリストとして著書多数

〈取材・文/新田聡子〉

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