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「認知症は改善できる」医師が教える最新治療と予防法、最重要ポイントは“小麦断ち”

週刊女性PRIME / 2021年10月13日 8時0分

白澤卓二先生 撮影/近藤陽介

 厚生労働省の発表によると、2025年の認知症の有病者数は約700万人となることが予測され、高齢者の約5人に1人が認知症という時代に。65歳未満で発症する若年性認知症という疾患もある。

 一方で、薬やリハビリ、生活習慣の見直しによって、認知症の進行を遅らせたり、症状を軽くする研究も進んでいる。

「認知症は改善できる時代になった」

「認知症は改善できる時代になりました」と語るのは、お茶の水健康長寿クリニック院長・白澤卓二先生(63)だ。

 白澤先生といえば、アンチエイジング研究の第一人者であり、認知症予防改善に対しても30年以上の研究をされてきた。

 そんな白澤先生によると、認知症はすでに“克服できる”という。実際、白澤先生のクリニックでは、解毒・神経再生療法といった、認知症治療を行っており、効果が実証されているという。

「機能性脳波検査、MRI画像の3D立体構築、遺伝子検査、重金属検査、フードアレルギー検査、前頭葉機能評価などをもとに診断し、認知症の治療を行っています。治療法は、神経幹細胞を活性化させ、栄養学に基づいた解毒を続けることが基本。だいたい半年後には、ご家族も患者自身も認知機能の改善・感情制御の改善を自覚できるようになります」

 では、私たちが日常生活で認知症予防のためにできることはあるのだろうか。

「100歳でボケていない人は、認知機能と骨の機能が保たれています。また、脳からの情報を伝達する重要な神経が通っている背骨、つまり脊柱は、身体にとってとても大切な部位です。脊柱がうまく機能しなくなる脊柱管狭窄症という症状がありますが、この症状が出た多くの人は認知機能が落ちることがわかっています。そのため、背骨を動かし、鍛えることは、神経系の刺激に役立ちます。

 私が治療に取り入れているGYROTONICR(R)(ジャイロトニック)というメソッドは、バレエダンサーがリハビリのために考案したものですが、マシンを使って背骨をすべての方向に動かすことができ、神経刺激につながります。このマシンを使ったトレーニングを行うと、ふだん歩いているときも自然に背骨を回旋できるようになるのです」

 背骨まわりの筋肉を鍛えるには、バランスボールの上に乗るのもおすすめだ。

「椅子の上に小さなバランスボールを置いて、その上に座ると、背中まわりの筋肉や体幹を鍛えることができます。バランスボールは、筋肉が衰えた高齢者でもラクに効果的にトレーニングができるでしょう」

認知症予防の食事は“小麦断ち”がカギに

 こうした運動のほか、認知症を予防するためのカギとなるのが食事だ。最も大切なのは、「小麦粉を断つ」ことだと白澤先生は話す。

「小麦に含まれるグルテンというタンパク質が原因で、アレルギーが起こり、小腸粘膜上皮に炎症が起きてしまう『セリアック病』の患者さんがアメリカで増えています。日本でもパンやパスタなどから小麦粉のグルテンを摂取する頻度が多くなっており、セリアック病が注目されるようになりました。小麦は腸だけでなく、脳の萎縮や炎症にも悪影響を及ぼすことがわかっており、認知症予防のためにはグルテンフリーの食生活をおすすめします。どうしても小麦が食べたい人は、国産小麦やフランス産小麦の製品を選ぶとよいでしょう。北米産の小麦と比べて、グルテンの量が少なく、品種改良があまり行われていないため、炎症が起こりにくい傾向にあります」

 脳にしっかり栄養がいきわたるよう、偏らず、食物繊維を中心に、ビタミンやミネラルをバランスよくかんで食べることも大切だ。

「脳と身体の健康維持に、肉や卵などからタンパク質をとることは必須です。豚肉には牛肉の10倍のビタミンBが含まれていますが、牛肉は亜鉛が豊富で、どちらも脳を活性化させるために必要な栄養素です。卵も積極的に食べましょう。卵には悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロールが多く含まれますが、LDLコレステロールは実は、神経系の働きには欠かせないのです。最近の研究では、LDLコレステロールを多く含む食品を食べても、血中コレステロール値には影響がないことがわかっており、現在は摂取基準値の上限は撤廃されています。とくに高齢者はLDLコレステロールを高めにコントロールしたほうが、認知機能低下予防には効果的です

 野菜や果物はいろんな色のものをとることもポイントだという。

カラフルな野菜や果物に含まれるフラボノイドは強力な抗酸化作用を持つポリフェノールの一種です。色によって効用が異なるため、例えばぶどうを食べるなら、赤、青紫、緑といった色の違うものを食べると、より多くの効用が得られます。ブロッコリーなどアブラナ科の野菜に含まれるイソチオシアネートも抗酸化作用があり、認知機能の改善に役立ちます。脳と腸は密接な関係があるため、腸内環境を整えてくれる食物繊維が多い根菜類もおすすめです」

 お酒なら赤ワインに含まれる「レスベラトロール」が注目されている。

「ポリフェノールの仲間で、抗酸化効果があります。イタリア・ミラノ大学の研究では、レスベラトロールによって、認知症にかかりにくくなる可能性があることも発表されています」

白米より玄米、無添加の調味料を

 認知症予防のためには、毎日食べるお米は白米より玄米がおすすめだ。

「ストレスは認知症の大敵ですが、玄米のまわりにあるフェルラ酸には、ストレスをやわらげる作用があります。精米してしまうと、このフェルラ酸が抜けてしまうため、白米より玄米がおすすめなのです。また、玄米は、ビタミンやカリウム、マグネシウムも豊富です。さらに、玄米はしっかりかまないと飲み込めませんが、かむことは認知機能の向上につながります」

 脳にとって“毒”となる食品添加物を避けるため、調味料選びにも気を配ってほしい。

「塩は海塩や塩麹、味噌は保存料が入っていない生タイプのもの、ろ過していないもろみしょうゆやしょうゆ麹などが安心できます。甘みは白砂糖を避けて、精製されていない黒砂糖やてんさい糖を控えめに使うとよいでしょう。フルーツなどの果糖で補うのもおすすめです」

【白澤先生がおすすめする認知症予防にも効く食品成分】

(1)フェルラ酸
 認知症の原因となるストレスをやわらげてくれる。精製していない米や小麦、大麦などの穀類、米ぬかなどに多く含まれる

(2)LDLコレステロール
 神経系の働きを活性化させるため、実は高齢者には必要。豊富に含まれる卵は積極的にとるべき

(3)食物繊維
 脳と密接な関わりがある腸内環境を整える。海藻類やこんにゃく、果物、里いも、大麦、オーツ麦などに含まれている、水溶性食物繊維が特におすすめ

(4)イソチオシアネート
 抗酸化作用があり、認知機能を改善する。キャベツ、ブロッコリー、白菜、チンゲン菜、カブ、ルッコラ、カラシなどといった、アブラナ科の野菜に多く含まれている

(5)フラボノイド
 ポリフェノールの一種。抗酸化作用があり、記憶力を高めてくれる。色の濃い野菜や果物、緑茶、赤ワイン、ココア、甘味料のステビアなどに多く含まれている

深い眠りが脳の“ごみ”を除去

 運動と食事以外では、睡眠の質を上げることも重要だ。

「深い眠りに入っているときは、脳にたまったごみともいえる疲労物質が掃除され、認知症の原因となる物質が蓄積しにくくなることがわかっています。最適な睡眠時間は人によって異なりますが、眠りの浅い方は、日中に運動するなど、深い睡眠が得られる工夫をなさってください。若々しい環境で、脳への刺激を保つことも認知機能にはよいので、いくつになっても生きがいを持つことも忘れないようにしたいですね」

 最後に家族が認知症になって困っている人へのアドバイスをいただいた。

「認知症になった方が、怒りやすくなったり、興奮したりして、トラブルになるケースが少なくありません。以前はこういった患者さんには向精神薬が処方されていましたが、GABA神経の再生を誘導するサプリメントを3か月くらい服用することで、症状が落ち着くことがわかっています。認知症改善の研究は日々進化しているので、専門家に相談しながら、上手に付き合ってください」

【白澤先生が提言! 認知症に効く生活習慣】

(1)添加物を避けて、まんべんなく食べる
 多様な栄養素をとることが脳の健康維持につながる
(2)運動をする
 背骨と筋肉を意識して鍛えること。寝たきりにならない身体づくりを
(3)刺激を保つ
 脳に刺激を与えられるよう若々しい環境に身を置く

【白澤先生がすすめている最新治療法】

(1)機能性脳波検査や前頭葉機能評価などの各種検査をして、その人に合った治療をする
 神経幹細胞を活性化させ、栄養学に基づいた解毒を続けることが基本。多くの人に効果が表れているという

(2)背骨を動かす
 背骨を動かすことは、神経系の刺激になり、脳を活性化してくれる。積極的に動かすようにしよう。GYROTONIC(R)(ジャイロトニック)というメソッドがおすすめ

(3)グルテンフリーの食事
 小麦に含まれるグルテンが脳の萎縮や炎症に悪影響を及ぼすため、パンやパスタ、小麦入りのそば、うどんなどの小麦製品は避けたほうがよい

(4)GABAの活用
 精神を安定させる神経伝達物質・GABAのサプリメントの服用で、興奮状態にある患者さんが落ち着き、認知機能が改善することがわかっている

答えてくれたのは…… 白澤卓二先生
1958年神奈川県生まれ。医学博士。白澤抗加齢研究所所長、お茶の水健康長寿クリニック院長。千葉大学予防医学センター客員教授。千葉大学医学部卒業後、呼吸器内科に入局。2007年より'15年まで順天堂大学大学院医学研究科・加齢制御医学講座教授。寿命制御遺伝子やアルツハイマー病などの研究が専門。

(取材・文/紀和静)

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