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SNSの誹謗中傷で書類送検、妻を流産に追い込んだ“ネット上で人格が変貌”した夫の言い訳

週刊女性PRIME / 2021年10月23日 21時0分

※写真はイメージです

 年々増加している、ネット上での「誹謗中傷」トラブル。最近では事態を重く見て訴訟問題に発展するケースも少なくない。NPO法人World Open Heartの理事長・阿部恭子さんの元には、誹謗中傷で「加害者の家族」となった人からの相談が増えているという。加害者本人の口から語られた驚くべき“言い訳”とはーー。阿部さんによる解説。

眞子さまも心を痛めた誹謗中傷

 2020年5月、プロレスラーの木村花さんがSNSの誹謗中傷により自ら命を絶つに至った事件を受け、国会でも法規制の必要性が議論されてきた。その後も、SNSの誹謗中傷を巡る問題はあとを絶たず、被害は芸能界や皇室にまで及んでいる。

 眞子さまの婚約者である小室圭氏は、母親の金銭トラブルが発覚するなど、皇族の婚約者にふさわしくないとして苛烈なバッシングを浴びてきた。一方的に報道され続けている数々のスキャンダルについて、小室さんとしても言い分はあるだろうし、すべてが真実とは限らない。

 しかし、小室さんを「成り上がり者」として軽蔑し、地位を剥奪したい人々にとって、もはや真実などどうでもよく、評価を下げる情報しか求めていないのではないだろうか。

 こうした世間の反応に、反論できない眞子さまは心を痛め、精神のバランスを崩されたとしても無理はない。インターネット上に自分に対する心ない言葉が溢れている事実は、この世に存在してはならないような感覚を引き起こし、人を追いつめる。

 集団による言葉の暴力によって生活を脅かされ、命を絶つ人が減らない状況に鑑み、誹謗中傷をした投稿者の特定を容易にする法改正が行われる等、被害者救済も進められている。こうした追い風を受けて、泣き寝入りせずに法的手段を講じて戦う人々も増えており、誹謗中傷の書き込みをした「加害者」の家族から相談を受けるケースも増えている。

 被害者からの訴えを受け、家族でありながらこれまで見たことのない姿に「まるで別人格」と驚愕する加害者家族もいて、匿名世界の闇も炙り出されている。ここでは、誹謗中傷の書き込みを特定され「加害者」となった人々の心理に迫りたい。

夫が「加害者」になったショックで流産

 恵(仮名・30代)の夫は、好きなアイドルのSNSに、性的な書き込みや、容姿を侮辱する書き込みを頻繁に行っており、相手からブロックされると拒否されたことに逆上し、別のアカウントから「家まで行く」「犯す」などと書き込み、脅迫と侮辱の疑いで書類送検された。

 恵には二人の子どもがおり、三人目の子どもを妊娠中だったが、事件のショックで流産してしまった。

「もう十年以上一緒にいますが、夫が命令形で話すのさえ聞いたことがなかったんです。ネット上での表現は、とても夫とは信じられませんでした。子どもになんて説明すればいいのか…」

 妻として何も気づけなかった罪悪感と夫への失望は計り知れないが、当の本人にはまったく反省の色が見えない。

「批判されたくないなら写真なんて載せなきゃいいんですよ。どうせ刑事事件にして話題を集めたいんでしょ。“犯す”なんて冗談ですよ、みんな書いてたし」

 と、被害者に責任転嫁するばかりだった。ところが、妻が流産した事実に触れた途端、表情が一転。

「本当に申し訳ない……。馬鹿なことをしました」

「二度とこんなことは絶対にしません」

 と涙ぐみ、ようやく改悛の情を見せていた。匿名ゆえにネット上では人格が豹変し、攻撃的になる人々も少なくないようだ。刑事告訴もあり得ることから、家族が犯罪者になる恐怖を訴える相談はあとを絶たない。

匿名で剥き出しになる憎悪

 相手が刑事事件の被告人や事件の加害者であったとしても、誹謗中傷が許されるわけではない。

「スマホを取り上げるわけにもいかないし。せっかく頑張って希望の大学に合格したのに。こんなことで退学になったらと思うと不安で仕方ありません」

 正子(仮名・40代)の大学生の息子は、インターネットの掲示板で知人がある事件に関与しているといった書き込みをした。被害者から民事裁判を起こされ、親として損害賠償の支払いを済ませたばかりだ。息子は、これまでも主義主張の異なる政治家に執拗に電話をかけ警察から注意されたり、SNSでトラブルを起こしていた。本人に話を聞くと、

「僕たちは不正を追及してるんです。そもそもマスコミがだらしないから悪いんですよ」

 と挑発的な反論をするものの、抗議活動は実名ではなくなぜ匿名なのかを問うと、

「大学や家族に迷惑がかかるから」

 と、加害性を認識していないわけではないようだ。匿名ならば、普段、他人には見せない「怒り」をストレートに解放できるという。しかし、結局、事件化すれば尻拭いをさせられるのは親なのだ。親としての不安は尽きない。

歪んだ自己実現のリスク

 正義を声高に叫ぶ人ほど自らの加害性に鈍感である。「相手にもっとよくなってほしいと思って」「世の中から不正をなくしたくて」など理由はどうあれ、手段が行き過ぎれば犯罪になることもある。

 被害者と一対一ではなく個人対集団の中で、同様の書き込みをする人との連帯感によって行為がエスカレートしやすい。表現が過激になればなるほど目立ち、加勢する書き込みも増えることによって、オピニオンリーダーになった気分になり承認欲求が満たされるという。

 しかし、事件化して「加害者」になった途端、周囲は一気に冷ややかになり味方してくれる人はいなくなる。今度は自分や家族が攻撃の対象になることもあるのだ。

「人を呪わば穴二つ」肝に銘じる必要がある。

阿部恭子(あべ・きょうこ)
 NPO法人World Open Heart理事長。日本で初めて犯罪加害者家族を対象とした支援組織を設立。全国の加害者家族からの相談に対応しながら講演や執筆活動を展開。著書『家族という呪い―加害者と暮らし続けるということ』(幻冬舎新書、2019)、『息子が人を殺しました―加害者家族の真実』(幻冬舎新書、2017)、『家族間殺人』(幻冬舎新書、2021)など。

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