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《がん最新情報》10年生存率は59.4%、4人の名医に聞いた「実は治りやすいがん」

週刊女性PRIME / 2024年1月28日 21時0分

※写真はイメージです

 なんらかのがんにかかった場合に5年後も生きている「5年生存率」は、最新のデータでは64.1%。10年後の「10年生存率」だと59.4%だ。つまり、がんが見つかった人のおよそ6割は10年後も生きているということ。

実は少なくないリスクの低いがん

 ひと昔前に比べればたしかに数字はよくなっているが、いまだに100人ががんになれば10年以内に約40人が命を落とすことになる。怖い病気であることに変わりはないが……、

「ひと口にがんといってもさまざまな種類があります。中には、生存率のきわめて高いものもありますよ」

 と言うのは日本大学の高橋悟先生だ。

 国立がん研究センターが公表しているがんの種類別の5年生存率を調べてみると、たしかに膵臓(すいぞう)がんなど、とても低いものもあれば、生存率99%という前立腺がんなど、かなり高いものもあることがわかる。

「とても予後の悪い難治がんもあれば、きちんと治療をすれば問題なく治るがんもあるのです」(高橋先生)

 また、治るだけでなく、金銭的なメリットがある場合も。一部の住宅ローンは、がんと診断されると借入残高が0円に、つまりいくら残っていても返済が一切不要になるのだ。

 早めに治って早期回復でき、人によっては多額の住宅ローンがチャラになるケースもあることを考えると、必要以上にがんを恐れて目を背けるのはよくないのかもしれない。

 生存率の高いがんを個別に紹介していく。もし気になる症状があるならこれを機にぜひ受診してほしい。なお、注意点が。

 治りやすいがんがあるのは確かだが、それはすべて適切な治療を受けた場合の話。放置してよいわけではないので、早めの受診や定期的な検査を忘れずに。

ゆっくりと進むものも【甲状腺がん】

 まずは、男性より女性に多い甲状腺がん。生存率の高いがんの筆頭格だ。

「甲状腺がんの中で最も多く、約90%を占めるのが乳頭がんという種類なのですが、このタイプはとてもゆっくりと進むことが知られています。命にかかわることが非常にまれながんです」

 そう教えてくれたのは、広島大学の上田勉先生だ。

 甲状腺というのは、のど仏の下にある小さな臓器。蝶(ちょう)が羽を広げたような形をしていて、そこから甲状腺ホルモンというホルモンが一定の量、分泌され続けている。そこにできるがんが甲状腺がんだ。

「甲状腺がんの中には、未分化がんと呼ばれるタイプなど、数は少ないですが、悪性度が非常に高く、治療の選択肢も限られるものもありますが、乳頭がんはおとなしいがんで、手術したとしても取り除きやすいのが特徴です」(上田先生、以下同)

 ゆっくりとしか進行しないことが多く、早く見つかれば手術で治る可能性が非常に高いという。どうすれば早期発見できるのか。

「胃がんや肺がんと違って甲状腺がんには効果的な定期検診がありませんので、自覚症状が出たら早めに医療機関に行くようにしてください」

 食べ物を飲み込んだときのちょっとしたのどの痛みなどの違和感や声のかすれ、のどの腫れが2週間以上続いたら要注意だという。ポイントは2週間。

 私たちの身体には細胞や組織を修復するシステムが備わっているため、ちょっとした痛みや腫れなら徐々によくなっていくが、がんによる症状は時間の経過とともに軽くなることは少ないからだ。

「気をつけてほしいのは、内科ではなく耳鼻咽喉科に行ってほしいということです。甲状腺など、のどの専門家は耳鼻咽喉科です。正確な診断をするためにもぜひ耳鼻咽喉科を受診してください」

近年急増している【のどのがん】

 この15年で2~3倍に増えているがんをご存じだろうか。それはHPVウイルスが関係している“のどのがん”だ。

 HPVウイルスというと、女性の子宮頸(けい)がんを引き起こすウイルスとして有名だが、子宮ではなくのど、というのはどういうことなのか。名古屋大学の西尾直樹先生に話を聞いた。

「簡単に言うと、オーラルセックスを含む性的接触によってHPVウイルスに感染してできたのどのがん、ということです。近年、患者数が増えているのは、性行為の欧米化が主な原因だと考えられています」

 2000年前後から普及したDVDやインターネットなどにより、欧米では一般的だった口や舌で相手の性器を刺激するオーラルセックスが日本でも広がり、それが原因でHPVによるのどのがんが増えたのだと考えられるという。

「HPVウイルスに感染したことによってできるがんは、中咽頭と呼ばれるのどの真ん中あたりにできるので、“HPV関連の中咽頭がん”といいます。

 感染しても発症まで10年や20年かかることもあり、40代や50代での発症が増加しています。患者数は男性のほうが多いですが、増え方は女性のほうが多いです」(西尾先生、以下同)

 女性でも増えている理由のひとつは、HPVウイルスは子宮だけでなく男性器にも感染するため。オーラルセックスでそのウイルスが女性ののどに感染することもあり、もともと患者数が少なかった女性のほうが増え方が多いのだ。

 なぜHPV関連の中咽頭がんは治りやすいのだろうか。

「中咽頭がん自体は決して治りやすいわけではなく、むしろ苦しむ人が少なくありません。ただし、過度の飲酒や喫煙による遺伝子のダメージが原因の一般的な中咽頭がんとは違い、HPV関連の中咽頭がんはウイルス感染によるもので、遺伝子のダメージが少ないので治りやすいのだと考えられています。

 5年生存率も、中咽頭がん全体では61.3%ですが、HPV関連に限るとステージ1や2の早い段階なら80%以上と高いです」

 以前から中咽頭がんの中には、なぜか簡単に治ってしまう人がいたのだという。

「昔はまだ患者数も少なく、HPV関連かどうか調べてはいなかったのですが、そういう人はきっとHPV関連だったのだと思います」

 HPV関連の中咽頭がんも先ほどの甲状腺がんと同様、のどの違和感が自覚症状のひとつ。こちらも専門は耳鼻咽喉科なので、違和感が2週間以上続いたら受診したい。

自分で見つけやすい【皮膚がん】

 続いては皮膚がん。その中でも顔にできやすい基底細胞がんというタイプは、ほぼ死なないがんといっていいと大阪医科薬科大学の森脇真一先生が教えてくれた。

「皮膚がんの中で一番多いのが基底細胞がんですが、死亡率は0.1%以下です。私はこれまで1000人近くの患者さんを診てきましたが、亡くなった患者さんはひとりもいません」(森脇先生、以下同)

 基底細胞がんは転移せず、適切な治療を受ければ再発することも少ない。

「しかも顔にできやすいので、本人が見つけやすいという利点もあります。進行するスピードが遅いのに発見が早いのが、生存率の高さの要因だといえます」

 手術でがんを切除しても、高齢者が多いせいもあってしわがちょっと増えたかな程度で、傷もあまり目立たないというから、恐れる必要のないがんのように思えるが、注意点がある。

「皮膚がんの中にはメラノーマという非常に悪性度が高く治りにくいがんがあるのですが、基底細胞がんもメラノーマも、どちらもほくろやしみのようなものが皮膚にできます。

 進行が遅い基底細胞がんだろうと自己判断して放置すると取り返しのつかないことになる場合があるので、今までなかったほくろやしみを見つけたらよく観察してください

 本当のほくろやしみの場合、大きさや形が変わることはほとんどないが、がんの場合は徐々に育つ。少しずつ大きくなっていく場合はがんの可能性があるという。

「そういったほくろやしみを見つけたら、早めに医療機関を受診してください。基底細胞がんは丸い斑点状になることが多いのに対し、メラノーマは形がいびつになりますが、いずれにせよ、適切な治療が必要なので、徐々に大きくなる場合は迷わず皮膚科専門医へ」

 ただし、ホームページや看板に「皮膚科」と書いてあっても皮膚科専門医でない場合もあるので要注意。

「内科や外科の医師が皮膚科を掲げている場合もあります。見分けるコツは診療科の順番。内科や外科が専門の医師の場合は『内科・皮膚科』や『外科・皮膚科』といったように皮膚科を2番目以降に書いているはずです。

『皮膚科』や『皮膚科・アレルギー科』など、最初に皮膚科を掲げている医療機関に行けば、皮膚科専門医の可能性が高いです。がんかどうかをすぐに調べてくれるはずなので、気になる症状がある人はぜひ行ってください」

10年生存率98.7%【前立腺がん】

 国立がん研究センターが全国240の病院の約24万件のデータを調べたところ、前立腺がんの人の10年生存率はなんと、98.7%。

 しかも、ほかの臓器に広がっているステージ4を除くステージ1、ステージ2、ステージ3はすべて生存率100%だった。

 つまり、比較的早めに見つけた場合、前立腺がんで亡くなる人は10年たってもひとりもいなかったということ。

「多くの前立腺がんは進行がゆっくりで、治療の選択肢も多く、治りやすいがんといっていいと思います」

 と言うのは、日本大学の高橋悟先生。

 前立腺というのは男性特有の生殖器官。膀胱(ぼうこう)のすぐ下にあり、膀胱から続いている尿道の周りを囲んでいて、精液の成分をつくるなどの働きをしている。

 前立腺がんは50代から増え、高齢になるほど多くなる。最新のデータでは、日本で前立腺がんを発症した男性は年間約9万5000人で、男性がかかるがんの第1位だ。

 患者数が増えたのは社会の高齢化などいくつかの要因があるが、検査の普及や検査機器の進歩などにより、小さな前立腺がんも検知できるようになったため、発見される人が増えたことも一因と考えられている。

「前立腺がんは進行が遅いため約2割はすぐには治療の必要がありません。そのため“診断=治療”というわけではなく、検査をして進行していなければ、経過観察だけをする『監視療法』という選択肢もあります」(高橋先生、以下同)

 前立腺がんが進むと頻尿や尿が出にくいなどの症状が出るが、そこまでいくとかなり進行している場合が多い。

「早期発見のためには『PSA検査』という採血だけで済む検査が有効です。無料で行っている自治体も多いので、50歳以上の男性はぜひ受けてみてください」

 また、遺伝的な要因も指摘されているため、父親や兄弟に前立腺がんを発症した人がいる場合は、40代でも受けることを検討してほしい。

 

教えてくれた人……高橋 悟先生●日本大学医学部附属板橋病院長。日本泌尿器科学会代議員。
教えてくれた人……上田 勉先生●広島大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科准教授。日本頭頸部癌学会代議員。
教えてくれた人……西尾直樹先生●名古屋大学耳鼻咽喉科講師。日本頭頸部癌学会代議員。
教えてくれた人……森脇真一先生●大阪医科薬科大学皮膚科教授。日本皮膚悪性腫瘍学会理事。

取材・文/長島 渉(メディカルライター)

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