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「選挙をすれば自民党の負けは明白」元国会議員らに聞いた政権交代のシナリオ

週刊女性PRIME / 2024年5月23日 6時0分

(左から)萩生田光一氏、菅義偉氏、岸田文雄氏、小泉進次郎氏、石破茂氏

「今、解散総選挙をしたら自民党は負ける」

 5月13日、自民党本部が地元議員と意見を交わす座談会を新潟で開いた際の、平井卓也広報本部長の発言だ。

 裏金問題とその対応に有権者の怒りは収まらない。解散総選挙が望まれるが岸田首相はなかなかその座を譲らない。ここで選挙をしたら'09年のような政権交代はあり得るのだろうか。

 そこで、有識者たちに注目のポイントを予想してもらった。

6月解散総選挙はある?

 もっとも気になるのは解散総選挙の時期。早くも6月に解散があるのでは、との報道もあるが、それぞれの見方は?

 まずジャーナリストの大谷昭宏さんは、

私は6月解散はないと思っています。岸田首相のまま9月の総裁選を行い、続投する。そうなると来年10月の任期満了にともなう衆議院選挙で自民党が負けて政権交代になる。ただ、岸田首相では戦えない、と総裁を替えたところでも政権交代は起きるんじゃないかと思っています。それはその選挙戦を戦う顔、総裁次第になるとは思います」

 と、解散総選挙はないと大谷さんは分析。選挙をしたところで、首相を交代しなければ戦えないと予想する。前参院議員でジャーナリストの有田芳生さんも、

「岸田さん本人がやりたくても支持率がここまで下がっているので難しく、周囲が止めていると聞いています。支持率が少しでも上がれば解散総選挙はあり得るのですが、6月はないでしょうね

 と6月解散総選挙には否定的。

 元自民党衆院議員でコメンテーターの金子恵美さんも、

今の内閣支持率では厳しいと思っています。岸田首相は内閣改造のタイミングを常に見てはいるようですが、正直、今の支持率では踏み切れないと思います」

 政治ジャーナリストの角谷浩一さんは、「複雑な問題がある」とした上で東京都知事の小池百合子氏がキーマンだと予想する。

国会の会期末にあたる6月20日は、東京都知事選の告示日です。小池さんがどちらの選挙に立候補するのか、という点も実は大きなポイントになっている。都知事選に立候補しなければ国会に来る。つまり再び衆院選に立候補する可能性があるということです。

 この会期末はいろんな思惑、駆け引きが入り交じる、という意味でも解散があるとみられています」

 6月の解散総選挙はないという予想が多数派だが、目が離せない状況であるのは間違いない。

自民党は過半数の議席を取れる?

 岸田内閣の支持率が低下の一途をたどっていく中、次の選挙で政権与党となる過半数の議席を確保できるのだろうか。

「自民党と公明党の連立政権で過半数を取れるとは思いません」

 と、話すのは大谷さん。公明党が離れる可能性も示唆する。

「これだけ自民党の人気が低下すると、自民党と組みます、と言えば公明党自身にも票が入らなくなる可能性もある。1つの小選挙区につき公明党票は1万~2万あるといわれており、公明党は自主投票の形をとる可能性も非常に高いです」

 一方、有田さんは支持率が低かった森喜朗元首相時代を振り返る。

'00年に、森氏が総理を辞めたときの解散選挙時は支持率が16%ほどでした。ですが、選挙をやってもほとんど負けていません。

 一般の世論調査で内閣支持率が下がった、上がったなどと報じていますが、一般社会の世論調査と選挙に行く層は全然異なるんです。自民党の固い支持層や公明党の支持者は選挙に行きますが、世論調査に答える人は選挙に行かないケースも多い。世論調査=投票率ではないんです

 金子さんは「(過半数は)ギリギリだと思っています」とした上で、元自民党議員ならではの見解を示す。

「当選4回の中堅や副大臣・大臣などを経験した人も同期の議員にいますが、今、『地元を回っていると心が折れる』とみんな話しています。安倍派、二階派に関係なく、自民党全体として、お金に関しての問題には特に厳しい目が向けられているんです。後援者から『今回は応援できない』と明確に言われる人も結構、多い。自民党支持者ですら厳しい声をあげている。あとは無党派層の動向次第ですが、政権交代まではいかない微妙なラインになると思っています」

 角谷さんは、

「現状では、選挙をすれば自民党の負けは明白じゃないですか。今年は春闘で一部の企業の給料が上がった。そして6月には4万円の定額減税も行われる。岸田政権からするとそれで国民の懐が温かくなってくれば、政治とカネの問題に対する怒りは収まってくると思った。

 ですが、増税や円安による物価高はそれよりも大きく、あまりにも厳しい。給料が上がっても、それ以上に物価が上がれば国民生活は厳しいまま」 

 と、岸田増税が生んだ国民の怒りを重視。長く続いた自民党一強政治は崩れそう?

議席を増やす政党、減らす政党はどこ?

「立憲民主党と共産党を含む野党が過半数になり、そこに国民民主党がプラスされるのではないでしょうか。どちらにしても自民党と公明党の連立政権では過半数が取れない状況です。そうなると野党連合での連立政権という形になると思います」(大谷さん)

 と、'09年の民主党政権交代のような形ではないと予想する。『0歳児に選挙権を』などと言い出した日本維新の会に対して、

あと2、3回選挙をしたら消滅するのではないか」と大谷さんはバッサリ。「大阪万博に絡んでいる連中は全部ダメだって世間は思っていますから

 有田さんは政権交代そのものを「ない」と予想。

「自民党だけでは政権維持できないことになれば、自民党は新たな対応をしていく。もしくは野党と一致して新たな連立政権を組む可能性もあります」とした上で「立憲民主党は議席を増やすでしょう。共産党は増えても数議席、れいわが少し伸びるくらい」と、立憲民主が野党第1党になると予想。維新の会に関しては大谷さんと同じく、

「大阪万博の影響があるから伸びないでしょう」とした。

 金子さんは立憲民主と維新の会の議席が増えるのではと予想する。

「確かに維新は万博の問題があり、マイナス要因にはなっていますが、少なくとも議席を減らすような結果にはならないでしょう」(金子さん)

あの裏金議員の当落は?

 国民には増税を強いる一方で判明した議員たちの裏金問題。政治資金収支報告書への記載漏れや誤表記があった85人の総額は5年間で5億7949万円! 次の選挙でしれっと当選するなんて許せない! 最多は二階俊博元幹事長の3526万円。次いで三ツ林裕巳衆院議員の2954万円、萩生田光一前政務調査会長の2728万円と続いている。萩生田氏に関しての見方はさまざまで、

萩生田さんの場合は約4万5000票ある公明党がどんな対応をするかにかかっている。総選挙で野党が『対決の構図』にできるかどうかがカギです」(有田さん)

「萩生田さんは自民党の顔としても汚れきっちゃっていますからもうダメですよね。うさんくささがついて回るんです。7月7日の東京都議補選がありますが、自民党は4月の衆院補選(東京15区)では不戦敗になっている。都連会長の萩生田氏の手腕が問われます」(大谷さん)

 他の注目議員の当落に関しては、

44人の下っ端議員は落ちていくと思います。選挙になれば相手候補は『こいつはカネをもらっている』と攻撃するでしょう。そうなれば、有権者としては不正をしていた政治家には入れたくない。自分の住んでいる選挙区を汚い選挙区と見られたくないわけですよ。カネに汚い、不正をしているような議員を送り出すようなところじゃないと、訴えたいわけですから」(大谷さん)

萩生田さんは選挙を危ぶむ声もあるようですが、次の自民党の中核、顔となる方です。引退を表明した二階さんの後継の三男・伸康さんは立候補すれば勝つと思いますし、麻生太郎さんも負けることはないですね。とはいえ、先の補選で島根1区がまさかの大敗でした。こうなってくるとこれまで保守地盤であったところで、後継として新人が立候補するところは厳しい局面を迎えることになるかもしれません」(金子さん)

 裏金以外にも差別発言などで不信を買っている杉田水脈議員に関しては、

彼女は自民党が公認しないと思いますよ。規則として比例単独の公認は2回まで。そのルールで出られないのをわかっていて確信犯的に差別的な発言をしていると思います。やけになっているのでは」(有田さん)

安倍さんという後ろ盾がいて議員活動ができていた杉田さんは、一定数の保守的な思想の人たちには支持されていますが、差別的な発言に嫌悪感を抱く人も多いので次は厳しいでしょう」(金子さん)

ズバリ、ポスト岸田は?

 岸田首相で選挙を戦うのは難しいというものの、選挙に勝てる「顔」は今自民党にいるのだろうか。

「なかなか難しいところですね。まず上川陽子さんは、担ぐ周囲の熱が一時期より下がっているなと感じています。石破茂さんは党内の指示がまとまるか? 茂木敏充さんは、もちろん可能性は高いとは思いますが幹事長という立場で総裁選に出ることは党としては受け入れがたい。

 小泉進次郎さんもやる気はあるでしょうがまだ早い。河野太郎さんは引き続き狙っているでしょうが、少しタイミングを逸しているように感じます。菅義偉さんの再登板はバランスが良いとみている人もいる。ただそれにはやる気を出してもらう必要がありますが……。だからポスト岸田は『岸田』って言われてしまうんですよね」(金子さん)

 角谷さんも、

僕は岸田さんが勝つと思っています。石破さん、河野さん、進次郎さん……今回の総裁選には出馬しないと思うんです。こんなところで総裁になるメリットはないんです。解散総選挙もいつあるかわからない、来年には参議院選挙もある。

 今、自民党の総裁になり、総理大臣になったところで自分の政治は何もできないんです。この面倒くさい事態は岸田さんに押しつけたほうがいい、というのが党内の判断になると思います」

 と、消去法として岸田再選を予想した。

      *

 '09年の自民党から民主党への政権交代は、国民の怒りが招いた結果だった。

 岸田増税内閣に苦しめられてきた国民が唯一、反旗を翻せるのが選挙。あなたの怒りをその一票にぶつけてみてはどうだろうか。

予想してくれたのは……

大谷昭宏さん●ジャーナリスト。早稲田大学卒業後、読売新聞大阪本社入社。社会部記者として、朝刊社会面コラム「窓」欄を7年にわたって担当。大阪に個人事務所を設立し、ジャーナリズム活動を展開する。

有田芳生さん●元参院議員・ジャーナリスト。立命館大学卒業後、出版社勤務を経て1986年からジャーナリストに。オウム問題などに切り込み、2010年から2022年まで参院議員を務めた。

金子恵美さん●元自民党衆院議員・コメンテーター。早稲田大学を卒業後、新潟放送に入社。フリーライター、新潟市議、県議を経て、2012年衆議院議員総選挙に自民党公認で初当選。第3次安倍第2次改造内閣で総務大臣政務官を務めた。

角谷浩一さん●政治ジャーナリスト。日本大学卒業後、東京タイムズに入社。その後、小学館『週刊ポスト』で政治を担当、『SAPIO』、テレビ朝日報道局を経て独立。執筆の傍ら、テレビやラジオなどに出演中。

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