若返りも期待「夕食後16時間は食べません」医師が実践する食事法で腸内環境が改善
週刊女性PRIME / 2024年5月27日 6時0分
石原新菜先生が提唱し、自らも実践する「16時間断食」。1日のうち16時間食べない時間をつくり、あえて飢餓状態をつくり出すことで、さまざまな健康効果や若返り効果が期待できるという。なぜ、断食が必要なのか。
食べすぎは体調不良、肥満や病気を招く
「これまで正しい食習慣として1日3食が推奨されてきましたが、最近ではリモートワークの推進などで日中の活動量が低下し、摂取エネルギーが余りやすくなっています。人にもよりますが、十分な運動ができていない人にとって1日3食は食べすぎなのです。
食べすぎが続くと栄養過剰で、細胞を傷つける活性酸素が血液中に充満し、ドロドロになります。すると酸素がうまく運べなくなり、だるさや疲労感、精神不安定など慢性的な体調不良や老化を引き起こします」
また食べすぎで肥満になると脂肪細胞から悪玉ホルモンが分泌され、糖尿病や心筋梗塞、脳出血、脳梗塞、がんなどの病気のリスクを高めるため注意が必要だ。
「そもそも人間の身体には、1日3食という食習慣は適していません。1日3食食べると胃腸に次々と食べ物が入ってきて、消化器官の疲れを招いてしまうんです。すると血流低下や免疫力低下などを引き起こすことに」
1日のうちで食べない時間をしっかりつくり、胃腸をきちんと休ませてリセットすることが大切なのだという。
「胃腸が休めるようになるのは、食べ物が完全に消化されて空っぽになってから。そのためには16時間程度必要です。さらに古い細胞が新しく生まれ変わるオートファジーが働き出すのも、断食から16時間後から。断食の効果を得るには16時間が必須なのです」
オートファジーとは、飢餓状態になることで細胞が古くなった悪玉タンパク質を分解してエネルギー源にする仕組みのこと。オートファジーの働きはダイエットや便秘解消、身体の若返りにも有効。さらにはがんや生活習慣病の予防も期待できることがわかっている。
「また断食から10時間たつころには脂肪の燃焼や分解が始まり、ダイエット効果も期待できます。そもそも人類は、太古の狩猟採集時代、何日も食べられずに飢餓状態に陥ることがよくありました。
そのため人の身体は摂取エネルギーを効率よくため込み、飢餓状態では蓄えたエネルギーを消費できるようにプログラムされています。これは現代の私たちの身体も同じ。断食であえて飢餓状態をつくり出し、空腹を感じることで自然とエネルギーが消費され、肥満予防につながります」
朝食を飲み物に置き換えるだけ
ただ、16時間と聞くと、長くて続けられない……と感じる人も少なくないだろう。
「おすすめは、比較的無理なく実践しやすい朝食の断食です。夕飯後から翌日の昼食まで食べない時間をつくります。16時間のうち、およそ半分の7〜8時間は睡眠時間なので、空腹を我慢するのは寝る前の4時間と、起きてからの4時間だけ。そこまでハードルは高くありません。
また朝は前日に食べて身体にたまっているものを排泄(はいせつ)する時間帯なので、しっかり朝食を食べるのは実は身体の生理にも反しているんです。朝食断食は余分なものを排出する手助けにも有効です」
ちなみに断食中も水分はいつでもとることができる。特に朝はエネルギー源となる糖質が入ったジュースなどもOKだ。
「私は朝食に、にんじんりんごジュースを飲んでいます。朝食には紅茶にすりおろしたしょうがを入れたしょうが紅茶もおすすめ。
お昼は意外とすぐにくるので続けやすいですよ。小腹がすいたときは黒糖入りのしょうが紅茶をよく飲みます。たまにココアを飲むことも。
また、16時間の間にどうしても空腹が我慢できないときは、できるだけ胃腸に負担の少ないナッツやドライフルーツ、みそ汁、高カカオチョコレートなどを食べるのがおすすめです。私は家とクリニックにナッツ、みそ、ココア、あとは梅干しを常備しています」
食事は腸内環境にいいものを腹八分目
断食明けとなる昼食は、胃腸の負担にならない消化によいものを選ぶのがコツ。夜は好きなものを食べることができる。
「お昼は、胃腸に負担の少ないそばなどがおすすめ。私も昔はわかめそばを食べていましたが、10年前ころから昼食後に眠気やだるさを感じるようになって、代わりにしょうがたっぷりみそ汁と梅干しを食べるようになりました。
夕食は何を食べてもいいですが、腹八分目で止めるのがポイント。私は肉の脂質が苦手ということもあり、和食が基本です。毎日もずくや納豆、刺身、煮物、キムチなどの漬物など食べて腸内環境にも気を使っています」
石原先生はこうした16時間断食を18年間続け、劇的に体調が改善されたという。
「研修医時代、不摂生と寝不足、ストレスが重なって常に体調が悪くなり、生理も止まってしまったんです。そこから朝食をにんじんりんごジュースに切り替えて16時間断食を続けたところ、ひどかった生理痛や便秘と無縁になり、体調もすごくよくなりました。
2人の子どもの妊娠中や産後も続けましたが、授乳中一度も乳腺炎になることもなく、長年不調知らず。健康だけでなく、ダイエットや美容にも効果的なので本当におすすめです」
最後に注意したいのが、断食を始めるタイミングだ。
「仕事が忙しくストレスがたまっているときや食欲が増す生理前などは挫折しやすくなるため避けたほうがいいでしょう。できるだけ気持ちにゆとりがあるときに始めるのが続けるコツです。
慣れるまでは、断食の時間を12時間や14時間で試してみるのもあり。週末1日朝食断食するだけでも効果があるので、無理のない範囲で続けてみてください」
※持病のある方はかかりつけ医に相談のうえ、実施してください
名医の格言
・1日3食は胃腸の疲弊や肥満などを招き、体調の不調やさまざまな病を引き起こす
・朝ごはんを飲み物に置き換えるだけで身体への負担が減り、健康や若返りが期待できる
石原先生のある1日のタイムスケジュール
6:30 起床。にんじんりんごジュースを飲む
9:30 クリニックに出勤
12:00 しょうが紅茶を飲みながら取材を受ける
13:00 【断食終了】診察前にしょうがたっぷりのみそ汁をマグカップ1杯と梅干しを食べる。ときどきお煎餅をつまむ
17:30 5kmのランニングと筋トレ
18:30 銭湯とサウナへ
19:30 夕食&晩酌
21:00 【断食開始】リラックスタイムへ
24:00 就寝
毎日お手製!にんじんりんごジュース
18年間、朝食はにんじんりんごジュースのみ。作り方はにんじん2本、りんご1個をジューサーにかけるだけ。朝の忙しい時間も簡単に作れる。
石原新菜先生●イシハラクリニック副院長。著書に『お医者さんがすすめる 不調を治す10倍ショウガの作り方』(アスコム)など。
取材・文/井上真規子
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