『虎に翼』父親役、49歳でブレイクした岡部たかし「“売れる”ことは30代中盤で諦めていました」
週刊女性PRIME / 2024年5月29日 6時0分
朝ドラ『虎に翼』が絶好調。主人公・佐田(旧姓・猪爪)寅子(伊藤沙莉)を愛情深く見守る父親・直言を演じているのは、岡部たかしだ。
「オファーをいただき“すごいことやな”と思ったんですけど、妻役が石田ゆり子さんであることに、もっとびっくりしました」
下積み時代は治験のアルバイトも
違う現場でも共演者から『虎に翼』の話はよくされる、と照れくさそうに話す。
「やっぱり朝ドラは、本当にみんなが見てくれているんやなと実感しますし、すごいなと思っています」
前・朝ドラ『ブギウギ』にも出演。アホのおっちゃん役だった。
「インパクトの強い役名からの、ヒロインの父親。しかも銀行マン。視聴者の方にはややこしかったと思うので、オファーしてくれた人が“失敗した”と思ってるんじゃないか、と思ったり(笑)。『虎に翼』の最初のうちは“アホのおっちゃんや!”みたいな声は多かったんですが、物語が進む中で“寅子のお父さん”というイメージが定着してきたのかなと思います」
3作連続での朝ドラ出演をひそかに狙っていたそうだが、
「それはなさそうです。あははは」
めでたく日本初の女性弁護士のひとりとなった寅子。無謀にも思われた挑戦の中で、直言は絶対的な味方であり続けた。実生活ではどんな父親なのだろう?
「直言には共感するところもあります。自分自身、“強いお父さんでありたい”というポワーンとした理想はあったんですけど、実際の息子(俳優・岡部ひろき)との関係は、先輩後輩みたいな感じ。こんな友達親子になるとは思わなかったですね。息子が俳優になりたいと言ったときも“やりたいことをやりなさい”という感じでしたし」
岡部は30代半ばに離婚をしている。
「だからじゃないですか? ずっと一緒に住んでいたら、直言のような優しい父親でいられたかはわからないですね」
一昨年のドラマ『エルピス-希望、あるいは災い-』でのセクハラ暴言プロデューサー・村井役でブレイク。49歳だった。
和歌山の高校を卒業し、建設会社の現場監督を経てフリーターに。“劇団東京乾電池”の公演を見て、俳優を志す。同劇団に入るも、ほどなく退団。気の合う演劇仲間と遊びつつ、バイト三昧だったという。
「うどんやお寿司のデリバリー、居酒屋、タクシーの配車、ガードマン……いろんなことをやりました。それこそ、薬の効果を調べる“治験”なんかも」
4月に放送された『情熱大陸』では“1000回のオーディションで995回は落ちていた”と語っている。さぞ、苦労したのかと思いきや、
「どこまでが苦労なのかわかりませんが、楽しかったです。貧乏、貧困ではありましたけど。俳優をやめようと思ったこと? ないですね。ただ“売れる”ことは30代中盤で諦めていました。それを考えたら評価ばかりが気になって、自分の理想とかけ離れていき、苦しむと思ったので。俳優で飯を食える可能性はなく、バイトをしながら自分が演出する作品や、好きな舞台をちょこちょこやっていくんやろうなと思っていました」
『エルピス』の脚本家・渡辺あやが書いたドラマ『ストレンジャー〜上海の芥川龍之介〜』('19年)にも岡部は出演している。『虎に翼』の梛川善郎監督はドラマ『あなたのブツが、ここに』('22年)の監督でもある。
「一緒にお仕事をしたみなさんがまた呼んでくれることは、役者冥利に尽きます。たまたまかもしれませんが、それが今につながっているのかなぁと思っています」
“これをやりたい”という希望はない
ブレイクの実感について聞いてみると、
「なんかカッコつけてるみたいなんですけど(笑)、あんまり感じてないです。休みもありますし。自分自身のことを話す取材が多くなったな、とは思いますけど」
放送中のドラマ『約束〜16年目の真実〜』(日本テレビ系)にも出演している。売れっ子俳優の仲間入りを果たしたが、これからをどう考えているのか?
「あんまり“あれをやりたい”“これをやりたい”という希望はないですね。これからどんな人と出会って、どんな仕事をしていくのか。僕自身がいちばん楽しみにしているって感じなんですよ」
写真撮影中は、すぐにふざけてしまう。照れ屋でおちゃめなイケオジの信念は、ブレることはない─。
『虎に翼』、クランクアップ!
戦争の激しさが日に日に増す中、直言を病魔が襲う……。
「僕のクランクアップは、(伊藤)沙莉ちゃんをはじめ、ご自分の出番を終えた(石田)ゆり子さんや森田(望智)さんも待っていてくれて。みんなで祝ってくれました。僕としては“寅子をよろしく”“みんな、ほんまに頼むよ”という気持ちでしたね」
印象に残っているのは、直道(上川周作)と花江(森田望智)の披露宴。
「汗だくで踊り狂ったので(笑)。寅子が『モン・パパ』を初めて歌ったのもあのシーンでしたね。これからの寅子が“はて?”をどう解消し、困難に立ち向かって突破していくのか。さらに見応えがあるんかなと思っています」
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