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「NISA?知らない、やりたくない」慎重派に伝えたい、投資以外でお金を増やす方法

週刊女性PRIME / 2024年6月3日 8時0分

退職金などを活用して老後資金作りをするのもひとつの手 ※写真はイメージです

 銀行の普通預金に預けるだけでは、ちっともお金が増えない。老後生活は大丈夫?

 そんな不安につけ込むように、有名人をかたった投資詐欺広告がインターネット上にあふれ、話題になった。詐欺ではなくても、やっぱり投資には怖い印象がつきまとう。

詐欺の投資広告がネットに蔓延中

「投資は、長期的に見ればお金が増える可能性が高いのですが、元本割れのリスクもあることを忘れてはいけません。

 実際、夫の退職金1000万円のうち300万円を投資に一気につぎ込んだところ、世界情勢の影響で相場が下落して200万円以下になってしまい、老後資金が目減りするので売るに売れない、という人がいました。

 その後、相場が持ち直して資金も少しは元に戻りつつあるようですが、せめて元本は取り戻したいと祈る気持ちで日々、残高を確認しているようです……」

 と言うのはファイナンシャルプランナーの伊藤江里子さんだ。なけなしの老後資金が減って、いつ元に戻るかわからない状態になったら、パニックになりそう。

「投資は、たとえ買ったときより低くなってもうろたえずにすむ余裕資金でやるのが大原則。“減ったら困るお金”で取り組んではいけないのです」(伊藤さん、以下同)

 では、余裕資金がない場合は、諦めるしかない?

「お金が目減りする心配のない金融商品の中から、少しでも有利なものを探しましょう。今は金利が上昇傾向で、以前よりは金利のいいものが増えています。

 その他にも、年金を増やす方法や、節税効果のある方法、ポイントを増やす方法など、お金を増やす方法はたくさんあります」

 安全にお金を増やす方法、さっそく教えてください!

安心な“元本割れなし”で着実に増やす

 預貯金、株式、保険など、お金を運用するための金融商品はさまざま。その中で、預けたお金が減らないものを探したい!

 真っ先に思いつくのが、銀行の預金だ。この預金金利が今年の春、上昇した。2016年から続いていたマイナス金利政策が今年3月19日、ついに解除されたためだ。

 メガバンクの普通預金金利は0.001%から20倍の0.02%にアップ。メガバンクだけでなく、地方銀行などもこれに続いている。

「ただ、上がったとはいえ、低金利状態は続いています。一番金利の低い普通預金に置きっぱなしではもったいない。少しでも増やしたいなら、定期預金を活用しては?」

 その場合、キモとなるのが銀行選びだ。メガバンクの1年ものの定期預金の金利は、0.025%。100万円を1年預けても利子は250円。

 今後の金利上昇を見込んで、みずほ銀行などが提供している、6か月ごとに金利が見直される変動金利定期預金を利用する手もあるが……。

それよりもおすすめは店舗を持たない楽天銀行やSBI新生銀行などのネット専業銀行や、東京スター銀行のスターワン口座といった銀行のネット口座です。人件費や店舗維持のコストがかからないぶん、より高い金利が設定されています。

 特にネットで新規口座を開設した人向けのキャンペーン金利はかなり高い。最初の1年間限定ですが、オリックス銀行は0.5%。東京スター銀行スターワン口座は0.45%、SBI新生銀行は0.4%。

 100万円を預ければ1年で4000~5000円の利子がつくわけで、これは大きい。その後は1年ごとに自動更新で通常の金利がつきますが、それでもメガバンクよりは高めです」

 こうした定期預金のキャンペーン金利は期間限定のものも多く、特にボーナス前になるとネット銀行や地銀、信金などを中心に各種出てくる可能性が高い。この6月はこまめにチェックしよう。

個人向け国債にも注目すべし

 銀行預金以外にも、元本保証の金融商品はある。伊藤さんのイチ押しは“個人向け国債”だ。国債とは、国が発行する債券のこと。

 債券は、投資家からお金を借りるときに発行する借用証書の一種で、自治体が発行する県債や市債、企業が発行する社債などもあり、いずれも利子をつけてお金を返すことを約束している。

「ただ、債券の発行元が破綻してお金が返ってこないリスクはあります。その点で、国債は安心度が高いですね」

 一般の人が買いやすい個人向け国債はいくつか種類があるが、おすすめは変動10年というタイプだという。

「世の中の金利の動きに合わせて金利が変わる変動10年を選びましょう。現在の利率は0.57%で、今後、市場の金利が上がっていけば、この利率も上がります。満期は10年ですが、利子は半年ごとに受け取れます」

 個人向け国債は銀行やネット証券会社など、多くの金融機関で扱っていて、どこで購入しても手数料はかからない。いつも使っている金融機関にまずは問い合わせてみよう。

“基礎年金だけ”繰り下げて年金を増やす

 長い老後生活を支える土台となる公的年金。これを増やす方法がある。年金をもらい始めるのは通常65歳だが、この時期を66歳以降に遅らせて“繰り下げ受給”すれば、受給開始を1か月遅らせるごとに年金が0.7%増え、その増額は生涯続く。

 最大の75歳まで遅らせた場合、年金は82%もアップする。

「自分や夫の年金の見込額を、年金事務所の窓口や自宅に届く“ねんきん定期便”で確認して、少ないと不安になったら、繰り下げ受給を検討して」

 ただし、繰り下げ受給により毎回の振込額が増えても、トータルの金額で得するとは限らない。繰り下げ受給をするまでの待機期間中、年金はゼロのため、通常の受給なら受け取れたはずの金額を増額分で取り戻す“損益分岐点”を超えるには約12年かかる。

「日本人の平均寿命は、男性がおよそ81歳、女性が87歳です。それをふまえ、80歳で損益分岐点を超えるよう、受給開始を68歳にするという手も。その場合、年金は25.2%アップします」

 気になるのが自分の健康状態だ。年金受給を我慢している間に大病を患ったりしたら、65歳からもらい始めておけば……と後悔しそう。

「いったん増額した年金をもらい始めたら取り消しはできませんが、もらい始める前なら、年金事務所で手続きをすれば、65歳からもらい始めたものとして、それまでもらっていなかった年金をまとめて受け取ることもできますよ。それ以降は65歳からの通常受給と同じ額をもらうことになります」

 なお、年金が増えると、それに応じて税や社会保険料も増える。もともと年金が少ない専業主婦などは影響が少ないが、現役時代に収入の多かった元会社員は注意して。

年金の“家族手当”をもらい損ねるな

 年金は誰もが受け取る基礎年金と、会社員や公務員だった人が上乗せしてもらえる厚生年金の2種類がある。そして繰り下げ受給するかどうかは別々に決められる。

 例えば、妻の基礎年金は繰り下げ受給し、夫は基礎年金も厚生年金も通常どおり65歳から受給する、といったことも可能だ。

「会社員の夫と年下妻カップルの場合は、夫の厚生年金は繰り下げ受給しないほうが有利なケースがほとんどなので注意。待機中は“加給年金”が受け取れなくなるからです」

 加給年金とは、厚生年金にプラスされる家族手当のようなもの。妻の厚生年金加入期間が20年未満、妻の年収が850万円未満などの要件を満たしたとき、妻が65歳になるまで受け取れる。加給年金の金額は年約40万円なので、これをもらえなくなるのは痛い。

「加給年金をもらえる人は、厚生年金を繰り下げ受給すると損する可能性が大。その場合は基礎年金だけを繰り下げるのがおすすめ。一度、年金事務所に相談してみてください」

税金をがっぽり減らして老後資金を増やす

「働いている人は少しでも税金を減らして、その分を老後資金にまわしたいですよね。それを可能にするのが個人型確定拠出年金、通称“イデコ”です」

 イデコは投資用のイメージが強いが、実は定期預金など元本保証の金融商品も用意されている。

「イデコの最大のメリットは掛け金の全額が所得控除の対象となること。仮に毎月の掛け金が月1万円、年12万円なら、年間所得から12万円を引いてから所得税や住民税が計算されます。年収300万円で住民税率10%、所得税率5%の人なら、年間1.8万円、税金が軽減されます」

 年収300万円、50歳の人が65歳まで働き続けて掛け金として毎月1万円を払っていた場合、節税効果は累計27万円になる。単に銀行で定期預金していた場合に得られる利子に比べると圧倒的な数字だ。稼いでいる人はやらない手はない!

「注意点もあります。所得控除のメリットは、所得税や住民税を払っている人しか受けられません。また、手数料がかかるといったデメリットも。ですから、税がかかるほど働いていない人にはおすすめできないのです」

 手数料は、加入時に2829円かかるほか、毎月の手数料があり、これは金融機関によって異なる。

「ネット証券など、手数料の安いところを選ぶことが、イデコの最重要ポイントだといえます」

小規模企業共済も大きな節税効果あり

「自営業やフリーランスの人なら“小規模企業共済”も所得控除を受けられておすすめです。会社員のように退職金をもらえない自営業の人が自分で退職金を積み立てる制度なのですが、積立金を全額控除できるので、節税効果が大きいのです。

 イデコとは違い、払い込み中にお金に困ったとき、低利で貸し付けを利用できる点も心強いですね」

 自営業者はイデコと小規模企業共済を併用して、節税効果をぜひ最大限に!

ひと手間かければみるみるポイントが増える

 ○○ペイといった電子マネーのポイントや共通ポイントは、現金のようにいろいろなお店で使えて便利。これを積極的に増やし、活用することで、浮いたお金は貯めたい。

 このポイントをめぐっては各社がユーザーを取り込むためにさまざまなキャンペーンを展開中だ。例えば4月にTポイントから生まれ変わった“Vポイント”では、6月末までアプリの連携などをした場合にポイントアップされる。

「お得情報を見逃さないために、○○ペイやポイントの画面で使えるクーポンやキャンペーンがないかこまめにチェックして。

 クレジットカードでネットショッピングする際も、会員サイトをチェックすると、“このサイトを経由して通販サイトに行くとポイント還元が5%にアップ”といった情報が出ています」

 それらを利用して上手にポイントアップをはかりたい!

「ただ、あのポイント、このポイントと手を広げすぎると、ポイントが分散したり、お得情報を見逃したりして貯まりにくい。ポイントは絞り込んで使うといいでしょう」

※文中の金利・利子は5月15日現在、税引き前のものです

教えてくれたのは……伊藤江里子さん●中立の立場のファイナンシャルプランナーとして、住宅購入から資産運用相談保険の見直しなど数多くの相談に応じる。


取材・文/鷺島鈴香

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