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大腸がん人口が少ない町を発見!超善玉菌を増やす《がんに勝つ腸活》ごはん

週刊女性PRIME / 2024年6月16日 8時0分

腸善玉菌を増やす腸活レシピ

 いまは2人に1人ががんになる時代、日本人の死因1位もがんだ。がんで死なないことが健康長寿への一番の近道だといえるだろう。

腸内環境とがんが関係していた

「たくさんの種類があるがんの中でも、日本人女性の命を一番奪っているのは大腸がんです。罹患(りかん)した人の数でいえば乳がんが最多ですが、死亡者数でいうと大腸がんが第1位です」

 と教えてくれたのは、消化器専門医の京都府立医科大学教授の内藤裕二先生だ。

 乳がんよりも進行した段階で見つかることが多く、やっかいな大腸がん。1年間で新たに診断される人は約16万人で、年々増えている。

 大腸がんが増えている原因のひとつは、食生活の欧米化だ。牛肉や豚肉、また、ハムやソーセージ、ベーコンといった加工肉が食卓に上る頻度が増え、豆類や根菜、海藻といった食物繊維が豊富な食材を食べる回数が減っていることが増加の一因だ。

「また、肥満やアルコールのとりすぎ、運動不足や喫煙なども大腸がんの発症に関わっている可能性が高いとされています」(内藤先生、以下同)

 そんな中、新たに注目されているのが、腸や口の中にいる悪玉菌と大腸がんとの関係。大腸がんの人はフソバクテリウムという悪玉菌が多いことがわかったのだ。

「フソバクテリウムというのは口腔内や腸内にいる細菌で、口の中だと歯周病を引き起こす細菌のひとつです。大腸がん患者のがん組織や便からもこの菌が検出されたと海外から報告があり、いま各国の研究者が大腸がんとこの菌の関係を調べています」

 最新研究によって、この細菌が大腸がんを悪化させている可能性が高いことが判明したのだ。悪玉菌といえば、便秘や肥満、免疫力低下の犯人と思われていたが、どうやら、がんにも関係しているということ。

 驚きの研究結果だが、実はそのことをさらに示唆しているのが、京都のとある町の人たちの“お腹の中”だという。

京丹後の人たちは酪酸菌が多い

 日本は世界でトップクラスの長寿大国だが、その中でも長寿の町といわれるのが、京都府にある京丹後市。

 京都駅から特急で約2時間半かかる日本海側に位置するこの町は、もっとも長く生きた男性としてギネス記録になった故・木村次郎右衛門さんの出身地で、100歳以上の人が多いことで知られている。なんと、全国平均の3倍以上もの長寿の人がいるのだ。

 なぜ京丹後市には長生きの人が多いのか。その秘密を探るべく、京都府立医科大学は7年前から高齢者を対象に食事内容や睡眠時間、血液検査の結果など、600項目以上を調査し、15年間観察する「京丹後長寿コホート研究」に取り組んでいる。

 その項目のひとつが腸内細菌なのだ。

私たちが京丹後の高齢者に協力してもらい、腸内細菌を調べたところ、ほかの地域と比べて特定の善玉菌が多いことがわかったのです

 京丹後市の近くにある京都市と比べて、京丹後市の人に多かった腸内細菌は「酪酸菌」と呼ばれる種類だ。

 私たちの腸にいる善玉菌は、私たちが食べたものをエサにしていて、私たちの健康にいい物質をつくり出している。酪酸菌は酪酸という物質をつくる善玉菌のこと。

 これまで善玉菌というと、乳酸菌やビフィズス菌が取り上げられることが多かったが、近年注目されているのが酪酸菌だ。

 酪酸菌がつくり出す酪酸が増えると、大腸の壁の細胞の働きが活発になり、酸素が消費されて腸管に入らず、善玉菌が好む無酸素状態が保たれる。もし酪酸が少ないと腸管に酸素が入り、酸素があっても生きられる悪玉菌が増えてしまうのだ。

 実際、酪酸菌が多い京丹後の人たちは悪玉菌が少なかったという。

 そして、肝心のがんとの関係でいうと、近くの京都市と比べると大腸がんにかかる人は半分以下。やはり、腸内細菌と大腸がんは関係があるのだろう。どうしたら酪酸菌を増やすことができるのか。

「京丹後の人たちの特徴は、ひとつはよく身体を動かすこと。畑仕事や漁業などに従事している人が多いということもあるのですが、京丹後は少し前までコンビニもなかった町で、近所の家に出かけるといっても距離が長く、必然的に歩く距離も多くなるのです。

 もうひとつの特徴は、やはり食生活。根菜や海藻類、豆類を日常的に食べている人が多かったです。それらに多く含まれる水溶性食物繊維が酪酸菌を増やすのに効果的なのだと思います。

 私たちが調べたところ、京丹後市の高齢者の4人に1人は毎日、全粒穀物を食べていましたが、玄米などの全粒穀物にも水溶性食物繊維は多いです」

 そこで、管理栄養士監修の酪酸菌を増やすレシピをご紹介する。水溶性食物繊維の多い食事に変えると、4週間ほどで腸内細菌に変化があったという実験結果も複数あるので、ぜひ、日々の食生活に取り入れてほしい。

「食事ももちろん大事ですが、大腸がん予防にもっとも大切なのは、やはり、定期的な検診です。40歳以上の人を対象に年に1回の受診が推奨されていますので、自治体などから案内がきたら忘れずに受けるようにしてください」

 特に女性は、大腸がん検診で要精密検査の案内がきても、「私は痔だから大丈夫」とか、「生理の血がついただけ」と自己判断して精密検査に行かない人も少なくない。大腸がんが進行した段階で見つかることが多いのは、そのことが関係しているという指摘もあるから要注意だ。

がんの最新治療も腸内環境次第

 大腸がん以外のがんは、腸内環境とどういった関係があるのだろうか。

 腸には多くの免疫細胞が集まっているため、腸内環境が乱れると全身の免疫機能が低下し、がん細胞を攻撃する力が弱くなってしまう。

 そのため、大腸がんだけでなく、胃がんや膵臓(すいぞう)がん、さらに、腸とはつながっていない乳がんや肺がんなどにも影響があることがわかっている。

 近年、腸内細菌と全身のがんとの関連を示すデータが続々と報告されているのだが、その中でも注目されているのが、がんの最新治療法との関係だ

 がんの新しい治療法である免疫療法は、患者の免疫細胞が、がん細胞を攻撃する力を高める治療法として、近年脚光を浴びている。ノーベル賞を受賞した本庶佑さんが開発に貢献した免疫チェックポイント阻害薬を使った治療が主ながん免疫療法だ。

 男性の死亡数1位の肺がんをはじめ、全身のさまざまながんに対して期待の大きい治療法なのだが、実はこの薬を使っても2割程度の患者にしか効果がない。

 なぜ、効く人と効かない人がいるのか、何がどう違うのか、世界中の研究者が理由を探っているところだが、その理由のひとつに腸が関係しているのでは、という研究が2022年に発表された。

 順天堂大学や明治ホールディングスなどの研究によって、特定の乳酸菌がつくり出す物質が免疫チェックポイント阻害薬の治療効果を高める可能性があることがわかったのだ。

 さらに、薬の効果を高める可能性のある新種の腸内細菌が、国立がん研究センターのグループによって世界で初めて発見された。現在、その菌の働きを薬にする研究を国の援助を受けて行っているところだという。

 がんの新薬が効果を発揮できるかどうかも腸が関係していたとは、驚きの事実ではないだろうか。

 免疫力アップやお肌の健康につながるといわれて腸活がブームになって久しいが、がんとの関係で改めて世界中の注目を集めている腸内環境。がん対策のためにも、ぜひ、腸活をがんばりたい。

超善玉菌を増やす腸活レシピ

 京丹後市の人たちに多かった酪酸菌は、水溶性食物繊維を多く含んだ食生活を送ることで増やせる。まずは副菜レシピをご紹介。

長いもとごぼうの梅ごまマリネ

 根菜は腸内細菌の大好物♪

材料(作りやすい分量)
・長いも……1/4本
・ごぼう……1/4本
・サラダチキン(プレーン)……1個
 A〔梅肉(種をとってたたく)……2個分、水……大さじ2、白すりごま・ごま油……各大さじ1、しょうゆ・砂糖……各小さじ1、おろしにんにく……小さじ1/2〕

【作り方】

(1)長いも、ごぼうはせん切り、サラダチキンは細かく裂く。ごぼうはゆでて粗熱をとる。

(2)ボウルにAを合わせて(1)を加えてあえる。

青のりビーンズ

 ポリポリ食感で箸が止まらない

材料(作りやすい分量)
・水煮大豆……1パック(150g)
・お好みのきのこ(写真はまいたけ)……100g
・片栗粉……大さじ2
・オリーブ油……大さじ3
 A〔青のり……大さじ1/2、塩……適量〕

【作り方】

(1)大豆は水けをとり、まいたけは粗刻みにして片栗粉をまぶす。

(2)フライパンにオリーブ油を入れて熱し、(1)を加えて表面がカリカリになるまで炒めながら揚げる。

(3)ボウルに(2)を入れ、Aを加えてあえる。

わかめとなすの甘酢あえ

 オクラとわかめのヌルヌルは食物繊維

材料(作りやすい分量)
・乾燥わかめ……大さじ1
・なす……2本
・オクラ……1パック
 A〔しょうゆ……大さじ1/2、酢……大さじ2、砂糖……大さじ1と1/2〕

【作り方】

(1)わかめはもどす。なすとオクラはへたをとり、ラップに包んでレンジでなすは3~3分半、オクラは40秒~1分加熱する。粗熱をとって食べやすく切る。

(2)ボウルにAを合わせて(1)を加えてあえる。

バナナの蒸しケーキ

 ホットケーキミックスでお手軽に

材料(作りやすい分量)
・バナナ……2本
 A〔ホットケーキミックス……150g、牛乳……1/2カップ、卵……1個、はちみつ……大さじ3、白すりごま……大さじ2〕

【作り方】

(1)ボウルにAを合わせて混ぜ、バナナをつぶしながら入れる。

(2)耐熱容器にサラダ油(分量外)を薄く塗り、(1)を流し入れてレンジで4~5分加熱する。粗熱をとって容器からはずして食べやすく切る。

りんごのシャーベット

 皮ごと食べればさらに効果アップ

材料(作りやすい分量)
・りんご……………………1個
 A〔はちみつ……大さじ2、レモン果汁……大さじ1/2〕

【作り方】

(1)りんごは4等分にして芯をとる。

(2)耐熱皿に(1)を並べ、Aを合わせてかけ、ラップをしてレンジで4~5分加熱する。

(3)粗熱がとれたら保存袋に入れて冷凍する(皿に残った汁は食べる際にかけてもOK)。

キウイの食べるスムージー

 牛乳の代わりに豆乳でもOK

材料(1人分)
・キウイフルーツ(緑)……1個
・ヨーグルト……大さじ3
・はちみつ……大さじ1/2
・牛乳……100ml

【作り方】

 ボウルにすべての材料を入れてつぶしながら混ぜ、器にそそぐ。

主食を全粒穀物にするとより効果的!
 白米ではなく、玄米などの全粒穀物には食物繊維が多く含まれている。実際、京丹後の人も全粒穀物を多く食べていた。
 白米にもち麦などを少し混ぜるだけでも効果あり。

※電子レンジは600Wで使用しています
※はちみつは1歳未満の乳児には与えないでください。

管理栄養士・寺島モエカさん


取材・文/長島 渉(メディカルライター) 

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